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都市の未来にかける①

はじめに

2020年の幕開けに、トヨタは未来を提示した。今年1月、世界最大規模のエレクトロニクス見本市「CES 2020」において、トヨタは静岡県裾野市に「Woven City」と呼ばれる実験都市を開発することを発表した。このプロジェクトでは東京ドーム約15個分の土地に2000名程度が居住する想定だ。
いわゆる「コネクテッド・シティ」「スマート・シティ」である。ここ数年で不動産・鉄道・航空交通などあらゆる業界で取り組みを進めようとしている領域である。

日本の人口は今後30年で3,000万人程度減少するといわれている。これまでにない変化の只中におり、あらゆる仕組みを変化に適用させていかなければならない。高齢化やグローバル化はさらに問題を複雑化させている。人間が生きていく場所というテーマで世界を切り取るとき、私たちは何について考えていくべきなのだろうか。未来の都市に思いを馳せながら、投資の在り方について考えてみたい。

都市のライフサイクル

「都市」は形成・発展→成長→衰退の順をたどる。形成・発展段階においては人口増加を起点として公衆衛生、交通渋滞などの問題が発生する。すなはち人が都市に住むという観点での問題に取り組む必要があった。その後、都市に住まう人々が労働力として結集し成長段階に入ると、公害をはじめとして経済活動が与える問題に直面する。そして、何らかの変化によりこれまでの成長を維持することができなくなった時、その都市は衰退する。


自動車産業の興隆にとともに発展し、衰退とともに財政破綻した米国デトロイトは分り易い例であろう。第二次世界大戦以降、デトロイトは自動車産業の街として都市を形成した。人口はピーク時には180万人を超えていた。しかしながら、1980年代以降の米国自動車産業の衰退に合わせて人口は70万人近くにまで人口は減少した。この間、鉛に関する公害、犯罪率上昇などの問題に直面している。
蛇足ではあるが、近年デトロイトは「廃墟」を活かしながら、町おこしをおこなっているようである。やはり都市は成長と衰退を繰り返す。


<ワンポイント>
ひとつの都市と経済が密接にかかわることもあれば、現在の日本のように国として少子高齢化・人口減少がテーマになることもある。この都市(国)を俯瞰してその動向を見ていくことが投資には重要であろう。

*次回につづく

Fumito Iwakura
NEKO PARTNERS / Managing Director
https://neko-partners.com//

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