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自己紹介と、noteを始めたきっかけ(その2)

これからは好きなもの、愛するものを見逃しはしない。見つけたら、一粒だってこの手からこぼれないように深く包んで指の隙間からそっと覗くようにいつまでも見つめていよう、そう誓った。


再会と転落

今年の4月にBUCK-TICKというバンドと再会し、35年見逃し続けてきたことに、何やってんだ、自分…という腹立ちと呆れまぎれの複雑な感情が沸き衝動的にいろんな行動に出た。その一つがNOTEを始めた事だった。
自己紹介と、再会1枚目の「異空」のレビューから始めようと、あれこれ考えながら下書きをこねくり回していた。仕事と家事の合間にダラダラと2ヶ月も。しかしそれは甘美な時間だった。好きなもののことを考える久しぶりに自分だけの時を過ごす、懐かしさと喜び。永遠にその中にいたいような気持ちになり、グズグズしていた。

6月にオリックス劇場での「異空」ホールツアーライブを観て、感動と興奮ですぐにFCに入った。毎日の通勤で一枚ずつ、アルバムを聴いていた。取り戻せる、今からだって、彼らは死ぬまでやると言っていた。過去のライブ映像も手に入るものは見られるし、何より今が素晴らしいバンドなのだ。
ゆっくりとライブの興奮を記録して、その後はアルバムレビューをしよう。愛するものの記憶として。甘いキャンディを口の中で転がすように、その時間を愛でていこう。そう思っていた。

10/19、ついにFT only&ライブハウスツアー開幕。私はZepp OSAKAでの11/3、4両日チケットを取っていた。ところが初日の神奈川にて、櫻井敦司さんの体調不良により中断、翌日のライブも延期となってしまった。
ああこれはもしかして年末までお休みかな?12/29の恒例の武道館ライブは行けないから来年までお預けになるか…。
ファンの間では心配の声が上がり、しかしやはり皆、なかなかの年齢であるし、万全の体調で臨むのが一番、延期もやむ無し、そう思って運営からの詳報を待っていた。ほんの少しの胸騒ぎを感じながら。
10/24午後3時過ぎ、職場のパソコンで何気なくヤフーニュースを開いた。櫻井さんの顔写真が目に飛び込んできた。動きがあったのだな。ツアー延期か、中止して入院か…記事の詳細に目を走らせた。

「櫻井敦司さん 逝去」

静かな事務所でえ、と大きな声を出してしまい、同僚に驚かれた。「すみません、何でもないです」と繕った。
全く何でもなくない。混乱と動悸で左胸のあたりが早く脈打ち、少し息苦しくなる。
読み間違いだろうか?何度か記事を見直した。

「ステージで倒れ、その夜息を引き取った」

息を引き取るってドウイウイミダッケ。目眩を覚えながらスマホを見ると、BUCK-TICKのアプリに「大切なお知らせ」の文字が見えた。それを開く前にLINEを見ると、私の近況を知る数少ない友人と、夫からのメッセージが来ていた。
頭で理解は出来たが心が内容を飲み込まない。何とか仕事を終えて帰路につきながら改めて「大切なお知らせ」を開く。そこには櫻井さんが亡くなったこと、全ツアーは中止となること、葬儀は既に済まされたことが記されていた。

彼はもう、いないのだ。あの類まれなるバンドのフロントマンは、あの美しい歌声と魂をのせた肉体は、荼毘に付されたんだ。

再会の4月から常に頭の中にBUCK-TICKの曲が流れていて、ほぼ毎日アルバムを聴きながら通勤していた。自宅から職場までの時間でちょうど1枚のアルバムが完結する。その物語に浸り、毎度心を掴まれなが電車に揺られ、半年が経とうとしていた。だけどその日から数日は、いつものようにSpotifyを再生出来なかった。


その後の日々

文字通り、胸に大きな穴が空いたような感覚だった。本当に物理的に空いてんちゃうか?と疑うほど大きな喪失感で、その穴を気遣いながら注意深く呼吸していると、そこから何か塊のようなものがこみ上げて来る。「鼻の先がツンとなり」そこを通過して目頭に到達して大粒の涙になる。それは人前でも容赦なく流れ落ちてきた。ヤバ過ぎる。マスクなしではどこにも出歩けない。
しかし、この気持ちを共有できる人は身近におらず、荒れ狂う胸の内に目を背けて、何とか日常を過ごすしかなかった。


長くて暗くて回りくどいこの文章を読んでいただいた方ありがとう。
次回からはもう、櫻井敦司さんがいるままの世界線で、勝手にレビューとか書いていこうかな。

その前に、お礼を一言。
中学生で狂った太陽に心酔して、今年になって再会して一年経っていなかったけど、あっちゃん、本当にありがとう。突然のことで櫻井さん本人も驚き悔しかったかもしれない。あなたのそばにいた人は皆、未だ胸の穴を持て余しているでしょう。でもあまり心配しないで、ひとまずゆっくり休んでください。心から、ありがとう。



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