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「玉の肌石鹸」(墨田区緑)

 東京都墨田区といえばイメージされるものは何だろうか。現在はスカイツリーといったイメージが多いかもしれない。しかし墨田区はそれだけではなく、企業や町工場が多くあり、日本のものづくりを支えているといった側面もある。

 そして今回私は、墨田区緑というエリアの中の企業の一つである、玉の肌石鹸株式会社について掘り下げていこうと思う。ちなみに墨田区緑は、墨田区の中の下部分に位置している。


1.玉の肌石鹸株式会社と墨田区

「玉の肌石鹸株式会社」は名前の通り、石鹸の会社だ。その石鹸会社と墨田区についてまずは紹介したい。

玉の肌石鹸は明治25年(1892年)、江戸の頃から本所の名称で知られた由緒ある地(現在の墨田区・緑)に社名「芳誠舎」として誕生しました。化粧石けんの製造を開始して以来、創業120年以上に及ぶ歴史と伝統を誇る石けんの専業メーカーです。長い歴史の中で培われ続けてきた優れた製造技術で、1960年代後半から高級石けんの受託生産を始め、世界的なブランド製品の製造も数多く手がけてきたそうです。

JR両国の駅から錦糸町駅に方向に10分ほど歩くと、住宅街に大きな工場が現れます。

それが玉の肌石鹸の本社で、今もこの自社工場では一日最大10万個の石鹸を生産しているそう。

実は墨田区は石鹸の町で、誰もが名を知る大手石鹸会社の研究所や工場もあるほど。その理由として隅田川から延びるたくさんの小さな支流がポイント。石鹸は元々、油から作りますが、船で油を運ぶなど原料輸送に便利だったので、この地区に石鹸を作る会社が集まったそうです。

↑引用

 筆者にとって、墨田区で石鹸作りというイメージがあまりなかった。しかし上記の引用文から、墨田区が石鹸を作るのに便利な街であることがわかる。
そしてまた、輸送などの観点から考えると、石鹸だけに限らず、墨田区という地区はものづくりに適していることが改めてよくわかる。


2.ストリートビューによる散策

 ここで一旦、ストリートビューを使って周辺を散策してみる。

 こちらが玉の肌石鹸株式会社入り口の目の前である。
その建物を右回りに曲がると

 このような景色になる。こちらの画像の左側の建物が玉の肌石鹸の会社、そして画像の右側は完全に住宅がある。このようなストリートビューから、工場と住宅が近いとわかる。そして墨田区には、多くの町工場がある。すなわち工場にとって住宅が身近に、そして住宅にとって工場が身近にある。墨田区がどのような街であるか、ということが実際にわかる。

3.玉の肌石鹸の特徴

 こちらも引用となってしまうが、玉の肌石鹸は作り方に特徴があるそうだ。

――玉の肌石鹸の作り方の特徴はどういったところにあるのでしょう?

竹下「今も昔ながらの製法で石鹸を作っています。石鹸は油と水酸化ナトリウムを混合し、加熱反応させて作ります。一度、石鹸成分のみの小さなチップ(石鹸チップ)を作り、それから香料や色を混ぜるのですが、このベースとなる石鹸チップ自体を製造する会社は、現在ではあまり残っていません。石鹸チップの多くは、原料となるパームヤシが多く栽培されているインドネシアやマレーシアなどで作られているので、多くの会社ではチップの状態で輸入して、そこから香りや色を練りこんで商品化しています。石鹸チップから作る技術や設備が残っているのは、日本では数社しかありません。」

――昔ながらの製法を貫く理由についても教えてください。

竹下「油との配合を自社で調節できるのは強みですよね。石鹸は石鹸チップの性質によって8~9割の使用感が決まってきます。保湿剤や添加剤を入れることで使用感は変えられますが、一番大事なところはベースとなる石鹸チップの性質なので、そこを自社で調整できます。また油から石鹸を作る場合は、グリセリンなど天然の保湿成分も入るので、使った時の使用感が肌にやさしい石鹸になるんですよ」

↑引用

 筆者は石鹸について詳しくないのだが、石鹸チップというものが石鹸にとって重要ということはよくわかる。そしてその石鹸チップを自社で製造できるということが玉の肌石鹸の大きな特徴であるだろう。


4.今後の展開について

最近はインバウンドとして、海外からの観光客向けの需要も増えていますし、昨年はアジア圏での売れ行きが好調だったので、海外を中心にもう少し打ち出していければ考えております。玉の肌石鹸は“使って楽しい、使って面白い”をコンセプトで作っていますので、魅力的な商品をこれからも生み出していければと思います。

↑引用

 このように、玉の肌石鹸は海外についても考えているという。そして、

玉の肌石鹸では2003年から自社ブランド“TAMANOHADA SOAP”を販売している。

↑引用

このように、玉の肌石鹸は自社ブランドもあり、そしてその公式のオンラインショップのホームページでも海外の顧客を意識しているように感じる。

ホームページは、英語にも切り替えることができるだけでなく、日本円以外に9つもの通貨に切替えて値段を見ることもできる。現在はコロナの影響でインバウンドは厳しいと筆者は考える。しかしこのようにオンラインショップがあることによって、海外からの需要にも対応ができる。

また、Facebookには、

NHK WORLDという、海外向けオンデマンド番組の「Kawaii International」内にて、弊社製品をアメニティーとして導入頂いているホテル「ナインアワーズ」が紹介されます。下記日程にて放送予定ですので、是非ご覧ください!

↑引用

という投稿もされている。
このように発信していくことで、さらに多くの人の手に渡っていくだろう。


5.終わりに

 今回、ストリートビューなども活用しつつ玉の肌石鹸について調べたことで、玉の肌石鹸だけではなく墨田区がどのような地域であるのかというイメージが掴めたような気がする。また、玉の肌石鹸株式会社は伝統を大事にしつつ、新たなビジネスも展開している。その企業の努力や考え方は、工場を経営する人々だけではなく、全ての人にとって参考となるだろう。玉の肌石鹸について国内外のもっと多くの人に知ってもらいたいと考える。


※見出し画像は、みんなのフォトギャラリーから、nojima様の「お風呂とパンダ」という素敵なイラストをお借りました。お礼申し上げます。




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