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【解剖学】腹部解剖の本質を理解する②

こんちは!!ねこのてです!

 腹部解剖を違った切り口で見ることで解剖の本質を押さえてしまおうぜぇ!!!という今回の記事。そのためには、「配列軸」と「臓器の軸」に着目する必要がありました。早速ですが、今回はその二つの「軸」について、詳しく見ていきましょう〜!!

腹腔を「箱」として考えると臓器配列の軸が見えてくる

 まず、人のお腹を「箱」として考えてみましょう。
まだ何も入っていません。空っぽの状態。ちなみにねこのて腹へったなうです。

 これからたくさんの臓器をこの箱に入れていくんですけど、箱の大きさは変えられません。容積を最も効率よく使って臓器を収めていくには、どうしたら良いのでしょうか?

 答えは簡単!
上の図のように対角線上に臓器を配列するんです。直方体の一辺の長さを超えた配置が可能となるので、より多くの臓器を配置するのに適した伸長といえます。この配列を意識して臓器を配列することが、腹腔内で「空間を効率的に利用する工夫」で、実際の腹腔でも左腸骨窩と右横隔膜下腔を結んだ線が最も長くなります。(腹部単純写真では、左大腿骨頭〜右横隔膜窩を結ぶ線:下図参照)

この配列を、臓器の「配列軸」としましょう。次に臓器自身の軸をそれぞれ考えてみます!

臓器それ自体の「軸」を意識する

【胃】

 胃は形状が変形しやすい臓器ですが、実は噴門部と十二指腸球部の上縁で吊り下げられた臓器です。従って、この2点は動きません。

図のみhttps://www.kensei-hp.jp/dept/radiation/5.htmlより引用

この、噴門部と幽門輪の2点を結んだ直線を「胃の長軸」とします。胃は、内容物によって大きく形を変えますが、常にこの長軸を意識していればたとえ形が変わってもそれに惑わされない「同一視」が可能です。

【十二指腸】
 口側は膵臓と共に固定され、、肛門側はトライツ靭帯によって吊り下げられています。従ってこの2点は動かない。この2点を結んだ線を十二指腸の長軸としましょう。

図のみhttps://www.kensei-hp.jp/dept/radiation/5.htmlより引用

【小腸】
 少し分かりにくいかもしれませんが、腸管膜によって吊り下げられている方向(つまり、腸管膜動静脈の走行に沿う)が「小腸の長軸」です。
小腸は普段は蠕動が盛んな臓器なので、いつも特定の位置にいるわけではありません。
これが、小腸の長軸の想像を難しくしている原因なのですが、頑張って考えてみましょう。
ネッターの解剖学の図を拝借しました!

 間膜を切除した後の解剖図です。濃い緑色が腸管膜根部。「斜め」ですよね。
腸管膜を追うとわかるんですが、薄い緑色のように、一見法則なく並んでいるように見える小腸も、実はこのように斜めに配置されているんです!イレウスなどで、拡張して行き場を無くした小腸のレントゲン写真も見てみましょう。

画像のみhttps://遠隔画像診断.jp/archives/5005より引用

「斜め」の小腸の軸が見えてきますよね。元々、腸管膜根部の固定が体の軸に対して斜めなんだから、こうなるに決まってるんです。繰り返しになりますが、この軸を「小腸の長軸」とします。

【大腸】
 大腸は簡単ですよ!
 固定点は肝彎曲部と脾彎曲部です。横行結腸はこの2点からぶら下がっている状態なので、自由な蠕動が許されていて、内容物に合わせて収縮ができるようになっています。大腸の固定点を結んでみましょう!

画像のみ
http://www.seirei.or.jp/yokohama/section/department/radiation-division/x-ray/index.htmlより引用

見えましたね!これが「大腸の長軸」となります。

【肝臓】
 発生時の動きは腸管と同様なので、軸は腸管と同じ。分かりやすく例えると傘です!
門脈が持つ柄のところで、肝臓を傘だと思って見てください。

https://www.hyo-med.ac.jp/department/radd/page0505.htmlより引用

そうすると、小腸の軸と平行するように「肝臓の長軸」が見えてくると思います。

「配列の軸」と「臓器の軸」を重ねると・・・!!

もう少しです!!
これまで見た配列軸と、臓器の軸を重ねて見ましょう!!!

すると、、

配列軸におよそ垂直に近い角度で臓器の軸が存在していることがわかります!
ただ、実際には椎体が真ん中にありますから、臓器は「よっこい!」って感じで椎体という山をこえなければなりません。
なので、実際の配列のイメージはこうなります。

 このような「臓器の配列」や固定点を意識した「軸」のイメージを常に頭の中で持つと、一元的な腹部解剖が本当によく見えてきます。
超音波検査をする方ならわかると思いますが、膵臓の描出の際には、プローブを右斜め上に傾けますよね?
その理由が、臓器の軸を考えていただければきっとわかるはずです。
超音波検査の際にも、この二つの軸を常に意識すれば、どんな腹腔でもオリエンテーションを見失うことはありません!そして、綺麗な臓器を描出するコツがこの軸を意識したプローブさばきでもあります。


ハイ!てなわけで、きりが良いので、今回はここまでっと。
次回はこの軸がなぜ生じるのか、少し深掘りして紹介したいと思います!!
どもでしたー!


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このような解剖知識を得るための本をご紹介します!
まず、エコーをやる方!これが一冊あると、腹部解剖は相当強くなるはずです。

解剖や画像を理解するのにおすすめの本を載せておきます!

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