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【まとめ】上腹部における「腫瘍の由来臓器推定法」

どもっす。ねこのてです!

今年は本当に雪がすごいです。
物置の上に積もった雪はこんもりし過ぎてて、もはやケーキなのか角煮なのかわかりません。そしてぼけっと窓の外を見ながらそんなことを考えていたねこのてはふと思ったのです。

「そうだ、どーせぼけっとしてるなら、あんまり教科書に載ってなくてすぐ使える気の利く記事を書こう」と。笑

早速なんですが、院内で医用画像に関わるみなさん。まずはこの画像を見てください!どんっ!

画像1

http://www.jshbps.jp/modules/public/index.php?content_id=8より引用

矢印に示すように、肝門部周囲に辺縁不整の腫瘤を認めます。
このスライスの画像だけで聞いてしまって大変恐縮ですが、

「この腫瘤はどこの臓器由来か?」と聞かれれば皆さんならどう答えるでしょう。

① 肝門部にあるから、肝臓!
② 肝内胆管だってありえるよ?
③ 場所的に十二指腸じゃん。
④ 肝門部リンパのメタでは?
⑤ 右腎上極の腫瘍がこのスライスに入り込んでいる
⑥ ⑤もありえるなら、副腎腫瘍も。。
⑦ 後腹膜由来じゃないって言い切れるんですか・・・?

みたいな感じで、選択肢はたくさん考えられるんですよね。
上記の問題は話の導入の例として挙げたまでなんですが、こういった場面では、特に境界不明瞭で辺縁不整の大きな腫瘍の由来臓器を推定するのはなかなか難しいのです。

そこで、今日はまとめ記事として「腫瘍由来臓器の推定方法」の読影テクニックを紹介します。これらを知っていれば、腫瘍の由来臓器の推定がある程度可能になります。CT・MRIの画像はもちろん、特に超音波検査ではレポートを書くのにとっても役に立ちますよ!!

では、行きます〜!

はじめに

 画像検査で得られる情報の質的な診断/判断においては、由来臓器の推定はとても重要です!さまざまなテクニックが報告されていますが、各々長所・短所があります。有名な手法を知識として持ち、それらを組み合わせて画像を読むことでより多くの情報を得ることができます。
 骨盤腔は子宮広間膜や膀胱周囲の解剖など、上腹部とは異なる理解が必要なので、今回は上腹部(つまり腹膜腔)に焦点を当てました。図解を交えながら、ご紹介していきたいと思います!

① 「beak sign」を活用する

 このサインは、腫瘍と臓器が隣接している時に臓器の辺縁が腫瘍に向かって伸びている所見が見られれば陽性ととります。この様子があたかも鳥がエサを嘴で挟んでいるように見えるので、「beak sign」と呼ばれています。

画像2

左図はhttps://jp.freepik.comより引用

 比較的よく使用される推定法です。このサインの欠点としては、腫瘍と臓器の隣接部分が最大となる断面で観察できなければ偽陽性となりやすいことが挙げられます。下の図のように、単純に腫瘍が隣接臓器を圧排している状況では、腫瘍と臓器が離れていることが多いために、beak signと区別して考えることが可能です。
このサインは偽陽性が多いことを念頭に、画像上での判断をしてください。

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