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【臨床生理・病理】「がん」ってなんなの?⑦ 〜良性腫瘍と悪性腫瘍〜

こんばんは!!!ねこのてでございます!

 シリーズ7回目の記事は、「良性腫瘍と「悪性腫瘍」についてです。ここまでの記事を読んでいただいた方であればかなりイメージが付きやすいはずです!
前回の記事では、がん細胞の特徴を①〜⑤まで挙げましたが、その中で「生命を脅かす」ことになる厄介な特徴はなんでしょうか?

(①〜⑤を確認したい人は見て下さい↑↑最後の方にあります!)

①の「不死」はまぁ、どうってことない。細胞が死ななくたって大人しくしていてくれたら体には何も影響しませんからね。

②の変な構造をしていたって、悪さをしなければどうってことない。
③ですけど、増殖してもよほど大きくなったりして体調に悪影響を及ぼさない限りは大丈夫!
④はどうでしょうか?
はい、これが最も厄介なんです!がん細胞はとにかく大食いで悪食なので、とにかく栄養を欲する。だから、こんなのが体のあちこちに飛んでしまうと、栄養を奪われて衰弱してしまうんです(④の結果としての⑤ですよね)
 つまり、がんの「転移や浸潤」という特徴が、周囲の組織構造も壊して最終的に体を衰弱させる大きな要因なんですね。

このやっかいな「転移、浸潤」の特徴を持たない細胞たちの特徴は①〜③のみとなります。
「ただ死なず、構造も所々変で、自分で増殖はするけど転移・浸潤はしない。」細胞ってこと。④、⑤の特徴がないので、この細胞が体のどこかにいても、特に体に悪さをしない。少なくとも、この細胞が原因では命を落とさない。

 このような特徴をもった細胞からなる腫瘍を「良性腫瘍」と呼びます。ちなみに、良性腫瘍が生まれる原因も、セントラルドグマのエラーですよ!がんと同じです。
ただ、がんと違って、「転移とか浸潤しない大人しい腫瘍」を良性腫瘍というのです。


 良性腫瘍は、ただそこで徐々に大きくなっていくのみなので、周囲の組織との境界も明瞭で、比較的組織像も均一よっぽど良性腫瘍が原因で体に害が出てこない限り、手術とはなりません。
(頻度としてよくあるのは、女性の子宮筋腫でしょうかね。筋腫が大きいと、子宮内膜をゴリゴリ圧迫するので、不正出血や、生理痛が相当辛いはずです。)
 一方、悪性腫瘍(がん)は浸潤するので、周囲組織は壊すわ破壊するわで大変でした。周囲との境界は不明瞭な事が多く、がん自身の組織も均一でない事が多いです。そのため、がんが「そこに限局」しているか「周囲に浸潤・転移」しているかで、治療方針も生命予後も大きく影響されてしまいます。

 周囲にがんが浸潤・転移してしまっている状態では、がんの原発部位の周囲を手術でがっぽりとらないとそれなりの治療効果を得る事は出来ないでしょうから、手術は大掛かりになり、体には相当な負担です。しかも、細胞レベルの転移までは肉眼で見えないので、「抗がん剤」を使った全身療法も選択されます。

良性腫瘍と悪性腫瘍に違いが皆様に伝わったでしょうか?

 私が放射線治療の部門で働いていた頃、一緒に仕事をさせていただいた放射線治療医とよく論文の読み合わせをしていました。がんの治療については、人類が世界の色んな医療機関でより良い治療を模索しています。日々色んなデータが報告され、出てくるんです。だからそれらの情報にアンテナを張って、しっかりとした「治療効果」が得られる根拠を理解して仕事をする事がとても重要でした。(今もですよ!!笑)

 私たちは、がんに限らずみなさんの「病気」をしっかり画像に写し込むために、こういった根拠を勉強し、確実な検査を行えるよう努力しています。
そして、他の職種もみーんなそうです。がん治療に自分が関わって、本当に他職種の努力と協力を感じました。

 さて、内容的にキリが良いのと、「がん」の病態についてはまぁまぁ記事にできたかなと思っています。ですので、次回はがんシリーズの「最終回」にします!!!

 ねこのて、まだまだ画像関連で伝えたい事がたくさんなんですよ・・・笑
これからも興味のある記事を見ていただけたら嬉しいです!!!

 最終回は、自分が当時見ることのできた、「がん治療に関わる職種」(多すぎて全部は無理ですが!)の活躍を記事にしようかなと思っています。
みんな、やり方や方法は違えど、がん治療に貢献する力を持ったプロフェッショナルでした!



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腫瘍関連の専門書で、内容の良かった本をいつものように紹介しておきます!


↓この本は、外科手術の手技内容をざっと網羅するのに役立ちました!!
オペ後の臓器は配置や形態が変わっているので、画像を読む際にこの予備知識があると、かなりみる「目」が違うと思います。

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