夕凪を写しに_001

コメント欄に赤い糸が降りてきた話(1)

私の漫画に詩を書いてくださったtamitoさん。彼との奇跡的な出会いについて、胸に秘めていた熱い想いをそろそろぶちまけようと考え、長い下書きを保存したのが昨日です。
あんまり長くなりすぎたので中断し、今日その続きを書こうとしたら、かねきょさんが私の漫画を取り上げて記事にしてくださってるのを発見しました!

わあ、嬉しい!めっちゃ褒めてくださってる。恐縮です。でも嬉しいです。ニヤケます。でへ。
かねきょさん、ご丁寧に紹介してくださってありがとうございます!貴重なお時間を使って書いてくださったお気持ちが何より嬉しいです。うるる。

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「夕凪シリーズ」という名前で、連作漫画を描いてます。
「夕凪を写しに」というタイトルのものが最初で、16ページの読み切りにするつもりでした。

前々から、LGBTをテーマにした漫画が描きたかった。よっしゃ描こう!と行動するきっかけになったのは、半年ほど前にケーブルテレビで見た「恋とボルバキア」というドキュメンタリー映画でした。

この映画に出てくる「王子」という青年。見た目はすらりと背が高く、モデルのようにかっこいい男性なのですが、心の中には女性も同居しており、男性と女性を行ったり来たりしているとインタビューで答えています。

私自身の中にも男寄りの気持ちが少なからずあることを自覚しているので、二つの性をどちらかきっぱり選べないもどかしさがよくわかる。それでこの王子さんのような青年の話を描いてみたいと思いました。

よし描くぞ!16ページ分のネームを一気に描き、いざペン入れ。いつものゆるい絵柄でなく、シリアスに仕上げるのだ!背景もきちんと入れる。セリフやト書きもじっくり吟味。
めちゃくちゃ疲れました。たった16ページのモノクロ漫画に二ヶ月ぐらいかかった。

やっと完成したものの、どこかに発表するという考えはありませんでした。自分のために描いたという意味合いが強かったし、できあがってみれば漫画と詩と小説の融合みたいな小難しい感じになってるし、到底誰にも受け入れられないだろうと思ったのです。
それに私は自分で書いた詩が気に入らなかった。何度も直したけど満足できなかった。tamitoさんが詩を書いてくださったのは3作めです。1作めを描いているときはまだtamitoさんの存在を知らなくて、頼めそうな詩人に心当たりもなかったから、仕方なく自分で書いたのでした。

漫画は誰にも見せず、しばらくPCの中に眠っていました。数ヶ月経ったときに、何のはずみかふとその漫画のことを思い出し、読み返してみたら自分で記憶していたほど不出来というわけでもない、ような気がする、と思えました。それで思いきってnoteとTwitterにアップしたわけです。誰か一人の心に届けば嬉しいなと思って。

そしたらなぜかその漫画がnote編集部のおすすめにピックアップされ、そのせいで、いやそのおかげで想定よりも多くの人の目に触れることになってしまいました。ビビりましたよ。どんな反応されるか怖くて。
しかしそれは杞憂でした。みなさんあたたかいコメントを寄せてくださった。私もほっとひと安心。よかったよかった。楽しんでいただけたなら何よりです、読んでくださってありがとうとコメントを返していたのですが、ある言葉に私の心臓が「うっ」となりました。

「続きが読みたいです」

うっ……いや、これはあの、読み切り漫画なのでね、続きはないのですよ。

「この先どうなるか、すごく気になります!」

うっ!気になりますか……まあ幸せになるんじゃないかと思うけど、ご想像にお任せしますよ。

「続編も楽しみにしてます!」

いやいや、続編ないって!ないよ、続編。ないと思うよ、たぶん……。
と、このあたりから心臓がぎゅんぎゅん痛み出し、(読み切りのつもりで描いたんだけどなあ。続きは描かないって言いにくいなあ。このまま描かないと人でなし?描いたほうがいいの?でもこの絵柄で描くの大変なのよ。大変だけど描くのは楽しいのよ。あの作業をまた繰り返すなんて……心臓が痛い!痛いけど嬉しい!)
ひとり悶絶Mプレイ。

意を決して2作めを描くことにしました。夕凪シリーズ2「満ち汐」と題し、ネームはすぐできた。ネームは楽しいんです。落書きみたいな絵と字で、どんどん話が盛り上がってくる高揚感がたまらない。
完成したネームをPCに取り込み、描きたい人物だけペン入れして、あとはアシスタントさんが背景やらモブやら入れてくれる。という仕組みならいいのですが、いかんせんうちにいるのは昼寝中の猫だけ。全部自分で描くしかない。うぬぅ。

この2作めには詩を入れませんでした。うまく書けないから。無理に入れるのはやめました。詩を書くって、文章書くのとは全然違いますよね。言葉のセンスが問われますよね。
しかもこの漫画の中で、主人公は詩人なわけです。詩誌に投稿した詩がきっかけで注目されている若手の詩人なんです。詩集まで出してるし、どうやらそれ一本で生計を立てているようなんです。
そんなプロの詩人の詩を、悶絶Mプレイとか言ってる私が書けるわけないではないか。なんで「かっこいいから」という理由だけで詩人なんて設定にしたんだよ。私のバカ!

この2作めを人物デッサンや背景に苦心しながら描いている途中で、私はtamitoさんという詩人の存在を知るわけです。ああ、tamitoさん、やっと登場!

今書いてるこの記事のタイトルにある、「コメント欄に赤い糸が」まだ降りてきてませんが、この先長いのでいったんここで区切ります。次に投稿するまで、私が心をわしづかみにされたtamitoさんの詩を、どうぞご堪能ください。「矜持」です。

これぞ詩人の作品。

最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。