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【朗報】食道がんのサポート本ができました!(無料ダウンロードできます)

約1年前、パートナーであるウナさんが食道がんの告知を受けまして、経緯や手術内容、予後などの詳細を、以前こちらに書きました。

食道がんになると、ほぼ8割の人が食道をまるっと取る、半日がかりの大掛かりな手術をするそうで、ウナさんもそれをやりました。この手術をすると体内がこんなふうに改造されます。

食道全部と胃の上部を切り取って、カットラインをつなぐ。


体の中がこうなると、生活がいったいどう変わるのか?

あんまり想像がつかないと思います。
なんとなく、ゆっくり噛んで食べればいいんじゃない? って思う人が多いかも。
実際、ゆっくりよく噛んで食べるように医師からは指導される。

ところがどっこい、馬之助!

馬之助って、いま適当に浮かんだ名前ですがね、「ゆっくりよく噛んで食べればいい」なんてのは、まったくちょこざいな話なんですよ。何をおっしゃる、うさぎさん、てぇやつでさあ。

いままでと同じ調子で、トンカツ定食を食べに行ったとしますね。まず味噌汁を飲みます。ほんのスプーンに1杯ほどの量です。いっぺんに飲むとむせて気管に入り、誤嚥性肺炎で救急車呼ばなきゃならない。

トンカツは一切れがでかいので、端から1センチ程度を噛み、口の中で細かく砕きます。食べ物をポンプの役割で下へ運ぶ食道がないので、自分の意志と引力で喉から胃へ直接落とす必要がある。でかいままでは喉に詰まります。歯でなるべく細かくする。
次に白米です。ごはんもスプーンに1杯量。これもよく噛みます。噛んだらごっくん。顎を手前に引き、自分で作ったタイミングで飲み込みます。

こういう食べ方をしていると、自然とゆっくりにならざるを得ず、細い胃はすぐにいっぱいになってしまいます。下部へ落ちていくのを待つ間は箸を休め、余白ができたら食事再開。これを小刻みに繰り返し、もうこれ以上は入らないと判断したところで箸を置く。トンカツもごはんも味噌汁も、半分食べたらもう限界。

食後は上体をまっすぐに立てておかなければなりません。逆流を防ぐためです。食べてすぐ横になるなんて言語道断。30分は安静にしておく。
おや、眠気が襲ってきましたよ。食後に訪れる謎の睡魔です。強烈です。めまいもします。ふらふらです。飴などの甘いものを摂取しながらやり過ごします。

どうやら気分がよくなってきたと思ったのもつかの間、2時間ほど経った頃、下腹部に痛みが。消化不良による下痢です。トンカツの油がよくなかったのかもしれない。トイレに通いつつ、痛みが去るのを待ちます。

せっかくやっと半量食べたのに、出してしまいました。体重は減る一方。体力も落ち、食べる楽しみも激減し、なんだか気力が湧かない。

術後の3ヶ月くらいは、こんな感じでした、ウナさん。1年経って、まだ続いている症状もあります。というか、気力を取り戻した以外はほぼ全部続いてる。食べ方に慣れたせいで早食いに戻り、あとで苦しむ回数はむしろ増えたかもしれません。

まあ、こういう予後なんですよ。食道がんは切除できても、なかなかツラい後遺症が残る。だけど他人からすると、そんな事情はわからない。一年ぶりに職場復帰すると、同僚の目には(痩せたけど思ったより元気そう)と思われる。昼食をこっそりおにぎり1個で済ませたり、眠気や下痢と必死に闘ったりしている努力は、まわりには伝わらない。ましてや夜、就寝中の逆流を防ぐために上体を30度起こした姿勢で寝ているなんて、知りようはずがありません。

前置きがどえらい長くなりましたが、そういう苦しみをひとりで抱えている方や、これから治療を受けようという方に、「あなたひとりじゃないんですよ。こんな工夫で乗り切っている人がいますよ」と伝えたいがために、できた冊子を今回紹介します。

じゃじゃん!

『食道がん患者会がつくった、退院から家に着くまでに読んでおく、あるある生活〜その時、経験者はどうしてるの?』

長い!

実はただいま4月は「食道がん啓発月間」でして、それに合わせて去年の夏から、有志の患者会メンバー21名+デザイナー1名の合計22名で、必死こいて作り上げた冊子なのであります。

(イラストを担当しました。似顔絵好評で嬉しい!)


zoomで何度も収録内容を話し合い、体験談やアンケートをかき集め、集計データを作り、レイアウトを試行錯誤し、イラストを入れ、タイトルを考えて、ついに仕上がった渾身の一冊。

内容を一部お見せします。






A4サイズ、オールカラーの30ページ。

昨年、食道がんを治療された秋野暢子さんも、ブログで紹介してくださいました。


患者のパートナーとして、ウナさんの苦しみを見てきた私の願いはただひとつ。


苦しみを抱えている患者さんやそのご家族に、この冊子が広く届くよう祈っています。

電子データ(PDF)の無料ダウンロードはこちらからどうぞ。

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