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ハピネスの考察/やれることからやる

自作を語るなんて100万年早いですが、先日投稿したマンガについて少しだけ。

前半コミカル、後半シリアスな展開になりました。最初は全編を通してコミカルにする予定だったんですが、ルークの苦悩につきあっていたら、ああいう結末に落ち着いた。描きながら思っていたんですよ。アントニーはルークに対していったい何がしたいのか。何が言いたいのかって。

幸せの感じ方なんて人それぞれで、「君は十分幸せじゃないか」といくら言われたって、本人がそう思えていなければその人は幸せではない。たとえ資産が100億円あり、世界中に別荘を所有していたとしても、自分は不幸だと思っていたらその人は不幸なんでしょう。中には「ああ自分はなんて不幸なんだろう」と嘆いているほうが、かえって安心できて幸せだという人もいます。こうなってくると幸せの定義なんて簡単には説明できないし、幸せの形は人の数だけ無数にある、という話になる。

マンガを描いている途中で気づいたんですけどね。アントニーは密かにルークが好きだったんだと思います。彼が移住を決めたあの海辺の町は、どうやら自由に恋愛が楽しめそうな土地柄でした。自分を偽らずに生きることを決めたアントニーが、最後にルークをひどく傷つけるような真似をしたのは、あれが彼なりの愛の告白だったのではないかと思います。かなり歪んだ形の。

「君の幸せを祈る」とだけ書かれた絵葉書を何年も送り続けるのは、自由の羽を手に入れたはずのアントニーもまた、幸せを心から味わってはいないという証ではないでしょうか。ないでしょうか、って、アンタが描いたマンガでしょうが! はい、すいません。こういうアントニーの心情も盛り込むことができたらもっと深い話になっただろうと思いますが、ペン入れの途中で気づいたので時すでに遅し。この反省を次回に活かします。読んでくださったみなさん、ありがとう。

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最後まで読んでくださってありがとうございます。あなたにいいことありますように。