ブライトンで実現したデ・ゼルビのモダンサッカー/4231で開花したポジショナルプレーとは

今季、プレミアリーグで躍進中のブライトン。5年前に初めてプレミアリーグに昇格して以来、残留争いの常連チームではありましたが、2019年より監督に就任したグレアム・ポッターにより21/22シーズンはクラブ史上初となるプレミアでの一桁順位を達成。そして、日本代表の三笘薫が正式加入したことで国内でも注目の的に。
開幕から好調を維持していたブライトンですが、9月頭にポッターがチェルシーに引き抜かれる事態に。その後任としてやって来たのがイタリア人の若き戦術家ロベルト・デ・ゼルビです。

デ・ゼルビのプレーモデル

■ロベルト・デ・ゼルビとは

43歳のイタリア人監督が脚光を浴びたのは2018年より指揮を執ることとなったサッスオーロ。それまでもセリエAではパレルモ、ベネヴェントと2チームを率いていたものの、パレルモでは全くの鳴かず飛ばず。ベネヴェントでは途中就任でしたが、就任前の開幕9連敗が尾を引いてしまい最終的に降格。成果を出したとは言えないキャリアを歩んでいました。

ただ、まだ30代の青年監督ということもあり、国内では注目されていたデ・ゼルビ。その後就任したサッスオーロでは「イタリアのグアルディオラ」と言われるほどの攻撃サッカーを披露しました。

基本システムは433。現ユベントスのイタリア代表ロカテッリやベラルディ、偽9番で起用されたケビン・プリンス・ボアテングらタレントが揃っていました。小クラブであるサッスオーロを2年連続で8位フィニッシュするなど評価を高めたデ・ぜルビは、イタリア代表監督候補にも名が上がる中で2021年よりウクライナの強豪シャフタール・ドネツクの監督に就任します。しかし、2022年2月より始まったロシアのウクライナ進行の影響で契約解除。

そして迎えた今季。ポッターの後継としてプレミアリーグに上陸したということです。


■3421から4231への変更

ではここからは、実際のゲームモデルをブライトンでの歩みと共に見ていきましょう。

就任直後はポッターの遺産をそのまま相続するということでシステムは3421です。基本システムを4バックでやってきたデ・ゼルビですが、3バックを継続。

しかし!!!


初陣の10月リバプール戦の引き分けに始まり、2分け3敗と結果を残せず迎えたは前指揮官ポッター率いるチェルシー。ここからデ・ゼルビの色が出ます。

ここからシステムを4231に変更。左ウイングに三笘を起用し、レアンドロ・トロサールを最前線で起用します。トロサールの最前線起用はデ・ぜルビっぽいですね。所謂ゼロトップのように「最前線に留まらない」タイプを置くことで前線の動きを流動的にします。ですが、流動的な前線を生かすためのビルドアップというのが大事なので、ここの工夫を見ていきたいです。

■相手を引きずり出す、ポジショナルなビルドアップ

先日のリバプール戦から

GK含めた3枚のビルドアップでスタート。リバプールはサラーとガクポの2枚で構えています。

サラーがプレスの走ります。この時点でブライトン3枚リバプール2枚と数的優位なので、サラーは内側へのパスコースを警戒しつつプレス。

CBが外を向いてパスモーション。この時に左SBが内側に絞って下がります。このポジショニングをSBが取ることによって

左ウイングの三笘に入れることができます。ここがビルドアップの出口。ココに入ったことでチームにスイッチが入る。一斉に前向きに走っていくでしょ。

三笘からトップ下のララーナがキープ。中盤を引きつけ、ここでタメを作って後ろからのプッシュアップする時間を作る。

ララーナからカイセドへ。カイセドは前を向いている状態&オープンスペースでボールを受ける&前に走るレシーバーがたくさんいるという、ウハウハな状態です。

カイセドはリバプールのミドルプレス隊3枚をも引きつけて裏に走る三笘に通すと。

2つ進んで1つ戻る

ブライトンは、ビッグクラブのような相手背負っている状態でも強引にターンして「さぁ一斉攻撃だ!」みたいなことができる選手がいるわけではありません。なので、ボールを前進させる役割の選手は"前向き"な選手に限られます。今の画像でも、縦パスを送っている選手は前向きな状態でパスを受けられた選手で、ララーナは無理して前を向いていないですよね。その前向きな選手を生み出すために相手を動かす。相手を動かすことで相手のバランスを崩していく。


■ポジショナルの基本、プレッシングのかわし方

続いてはコチラ

リバポ(めんどくさいんでこれで)は3人プレス。ブライトンは1人多い4人のBOX+SBを逃げ道として空ける。

ヘンダーソンが前に飛び出す。そしたら

ここが空く。CFの選手が下りてくる。更にサイドが空く

そのまま裏抜けのつもりが、ここは裏はリバポケア済み。もう1度立て直す。

もう1度同じ形。リバポ、左にスライド。

左CBに出してリバポを横ずれ。カイセド空くもチアゴがチェック

カイセド入ってブライトンボランチにプレスが喰いつく。今度は右CBが空く

カイセドにチェック入る。

リバポがブライトン右を警戒してくれたことでブライトン左が空く

左SBに入る。三笘が裏に抜ける。アレクサンダー=アーノルドがケア

リバポが裏ケアしたことで中盤空く。

右ハーフスペースに抜ける。リバポは鬼の左スライド

右大外に出す。リバポブロックが左に偏る。

ここはリバポのスライドが早くて詰まる。戦略的撤退

3度目のやり直し。組み立て直す。リバポの完全に引き下がったブロックを崩しに掛かる。

ここに必要以上に喰い付いてくれたリバポ。左CBに戻して

左SBへ。リバポ2度目の鬼のスライド。みんな疲れ気味。

ダイヤモンドを作る。2ボランチ+左SB+CF。この組み合わせはデ・ぜルビらしい

両ハーフスペースを一気に駆け上がる。前線に人数固めてリバポを後ろに幽閉。

やっとビルドアップの出口、三笘に入る。ビルドアップの作業は完了。


■相手を動かしてナンボ

デ・ゼルビサッカーは相手を動かして動かしてボールを逃がしていく。最後はウイングの突破力を生かす形を作って完了。数的優位の作り方からすべてがガチガチなポジショナルプレー。ここまで仕込めるデ・ゼルビすごい。おしまい。さようなら。




■次回、バルセロナのポジショナルプレーを歴史と共に振り返る。全てはクライフから始まった。


Thanks for watching!!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?