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クラシコへ向けてレアル・マドリード徹底攻略/フリックがもたらした"計画的カオス"

最強×最恐



まもなく始まるクラシコ!!!!



直近だとバルサ、レアルそれぞれチャンピオンズリーグで


レアル5-2ドルトムント

バルサ4-1バイエルン



ドイツの雄を蹴散らしてベルナベウで相まみえます。

ここ数年ではお互いが絶頂期に対戦を迎えるというのがそんなになかったんですけど、さぁバルサ!2年ぶりの勝利へ!




Possible to WIN


■レアルの現在地

現在のレアルなんですが、4-4-2にまだネガトラでなり切れていないという、アンチェからしたら生命線に問題を抱えるんですけど、ただ現状レアルはCLのリール戦しか負けてないので実際はそんなに大した問題ではないのかもと思っちゃうんですが、バルサからすれはそこは是非とも突くべきポイントなので見ていきましょう。


この前のドルトムント戦なんですけど、アンチェはこの試合でデフォルトの4-4-2にスターティングシステムを採用しているんですね。その4人のMFは誰なのかというところで

注)チュアメニ→バルベルデ

ロドリゴが中盤に加わっての4-4-2。だから当然、

こういうブロックになるんですけど、ドルトムントが突くのはやっぱココですよねということで

開幕から可変4-3-3でロドリゴが中盤には加わっていたものの、ベリンガムとの相性もあってかネガトラで問題が発生。もうハッキリとロドリゴを右!ってしましたけど、絞り切れていないところとか、先制点のシーンは例外っちゃ例外かもしれないんですけど、ところどころベリンガムが右の左カバーはモドリッチなんてこともあったのでここはカオスのまんまかぁ~なんて思ってましたよ!!

今のレアルからすると、ロドリゴがいるかいないかでだいぶ変わってきまして、アッ先に結論言うと、ロドリゴケガしてクラシコ出れないんで、たぶんギュレルになるんじゃないかなって思うんですね。だとしてもロドリゴの不在に対しての影響は結構あるんですよ。




■ロドリゴの影響力

ロドリゴがいる上でのデメリットはネガトラ。戻ってはきますけど全然絞れてないのでココは急所やなと。

右にいるときは特になんですけど、守備でバスケスが1人でヒーヒーしちゃう。アンチェが守備のときだけベリンガムを右に持ってくるのも、バスケスも本来はSBではないんで守備負担を考えてというのと、ロドリゴを起用するうえでのメリットは、今のチームなら戦術上最も重要な役割になるということからです。


じゃあそのメリットとは?なんですけど、それはポジトラ。今季は前線にエムバペが加わったので、ロドリゴとしても無理に点を獲る必要がなくなりました。つまり本業であるセカンドトップに専念できるということです。

基本的にはヴィニシウスかエムバペのスピードで押し込むんですけど、そのカウンターに厚みをもたらすために、また相手のネガトラが早すぎてスペースを消された時にもロドリゴが加わることでスペースがなくてもカウンターを繰り出せる。

スペースを失ったとしても、ロドリゴからポゼッションをスタートできる

ギュレルとの最大の違いは、ロドリゴはセカンドトップなのでフィニッシュにもかかわれるというところですね。ギュレルは10番なのでフィニッシュワークではロドリゴには敵わないでしょう。ドルトムントにとってもロドリゴのポジトラでかなり後手に回されてたので。

ロドリゴはレアルのポジトラをかなり支えていたので、ベリンガムもいますけど昨シーズンとは役割がかなり異なっているのでそこまでではないかなと。あくまでレアルのレベルにとってはという話で。バルサとしてはネガトラで常に上回れば高い勝機が訪れるでしょう。




■フリックのもたらした「カオス」という武器

フリックがバルセロナにもたらしたもの。


それこそ、過去のバルサにはなかったカルチャー「ストーミング」。


バルサはこれまで、ポジショナルプレーという相手の外壁から破壊していくスタンス、それこそチャビはそうだしペップはその頂点に立つ男です。

ただ、フリックがバルサにもたらしたストーミングはその名の通り「嵐」。

外から破壊していくのではなく、内部から破壊していく。相手をカオスまみれにし、混乱させ、自滅の道へと追い込む。


バルサのプレッシングは、即時奪還というよりそのプレッシングそのものが相手を打ち崩す手段としている。


奪われると同時に同サイドを圧縮。

ゲーゲンプレス開始のゴングは、相手を窒息させることにあります。スペースと時間。これを奪いに行く。ボールを迂回させる場所と、それを考える時間。格好いい言い方すれば、ゲーゲンプレスは時空を支配するスタイルです。ボール保持者及びその周辺にいる相手をプレッシングで消す。そして横と縦の全体を圧縮。

縦を圧縮すべくハイラインに設定

最終ラインは高く設定することで縦のスペースも消す。これによってハイプレスを回避すべく、ロングボールを相手に選択させたところで受け手となる相手FWはオフサイド。

ボールを持った相手の選手がパスを得意としない場合には、あえてその選手をチェイスせず、周りの選手に網をかける方法を取ることもできる。攻すれば相手はパスの出し処が無くなり、結果的にボールを奪い返しやすくなる。
またボールホルダーやまたボールホルダーやパスの受け手に圧力をかけるのではなく、両者の間に立って、パスコースを遮断することに力を注ぐ方法もある。

戦術の教科書 サッカーの進化を読み解く思想史
発行KANZEN
著者ジョナサン・ウィルソン 
田邊雅之
556項より引用

カオスとはこれです。プレッシングを回避すべくロングボールを多用するというのはよくありますが、それはパサーとレシーバーがタイミングあってこそ。内部破壊というのは、相手組織の相互関係から破たんさせる。バイエルン戦の後半は特にそうでしたけど、ハリー・ケインをよくオフサイドポジションに置き去りにできていました。だからケインとしては要求していないタイミングでボールが来たり、裏に抜けるプルアウェイしていないのにロングボールを放り込まれたり。だから狂気的なハイラインを敷いていても相手が内部崩壊さえしていれば裏に抜けられる心配などいらないのです。




■レアルのポジトラvsバルサのネガトラ

バルサのポゼッションは、今までであれば正しいポジショニングにいるからこそ成り立てた巨大ロンド式であって、構造上の仕組みによって相手を崩せていました。しかし今の場合、相手側から崩れていくので、仮に正しいポジショニングでなくともポゼッションは出来てしまうのです。これはフリックというかラングニックの哲学ではあるんですけど、フリックは上手くこれをバルサに合わせましたよね。外壁からでも崩せるバルサのポジショナルプレーに、ストーミングというカオスを融合させたらそりゃ理不尽な破壊力を身に付けてしまうでしょうよと。


ここまでネガトラがバルサの武器になるのはマジでペップ政権以来だと思うんですけど、ここで優位性を作れたら絶対的に有利に持っていけるだろうなと。
ラフィーニャがここまでフィットしているのもそこに要員があって、これはまた別の機会にやろうかなと思っているんですけど、要はカオスさえ巻き起こせば自分たちのポジショニングなんていうのはどうだっていいんですよね。ウイングのラフィーニャに常に大外を求めていたチャビとの戦術的違いはそこです。ラフィーニャの場合はネガトラの時点でグッと中に圧縮しているので、ポジトラに移行後も自分の強みを発揮しやすい。

ネガトラで中央に絞ることで相手を窒息させる。

奪ったと同時に相手の懐に侵入し、ポゼッションでの内部破壊を試みる。

基本的に柔道の試合では、どちらかがの選手が、「内股」のような技を仕掛けていく。
内股をかけられた相手はじっと耐えるか、あるいは「内股すかし」のような技をかけて切り返しを狙う。切り返しとは、フットボールでいうところのカウンターに相当する。
この手の切り返しは非常に有効になる。技をかけてきた人間は体勢が崩れているし、そこを突く形になるからだ。
だが攻防は、そこで終わらない。相手が「内股すかし」をかけてきた瞬間、さらに別な技で切り返すことができれば、もっと大きなダメージを与えることができる。相手もまた体制が崩れているし、「自分の返し技が返される」などとは夢にも思っていない。
やや説明が長くなったが、ゲーゲンプレスを始めとする「カウンターに対するカウンター戦術」は、この発想が極めて近い。

戦術の教科書 サッカーの進化を読み解く思想史
発行KANZEN
著者ジョナサン・ウィルソン 
田邊雅之
49項より引用

ラフィーニャの場合はこれができるんですよね。ブラジル人全員に共通することでもあるんですけど。


レアルからしたら、これがロドリゴの役目です。
ただそのロドリゴが今回はいないので、さぁアンチェはどうするか。バルサのトランジションのスイッチはラフィーニャが握っているのに対してレアルは。



とはいえ、スピードのあるレアルにとっての最大の武器はポジトラであるのは間違いありません。トランジションの能力に秀でた中盤がその背後に控えるので、ベリンガムやバルベルデで単機突撃できるのもレアルの強み。


ここの攻防は面白そうです。お互いの強みとするトランジションの時間帯は同じ時間に発生します。時間と空間を支配できるかがこの試合の勝利へのカギ。勝利の笑みはどちらに。





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