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プレミア頂上決戦直前! 進化するマンチェスターシティの強さを探る!

絶対的強さ



プレミアリーグ、クライマックスです。

今季のプレミアのトピックスと言えば、
・アーセナル復活
・ブライトン躍進
・リバプールどうした?
・チェルシー監督2度交代
・コンテやっぱり揉める
・ロナウド


と、相変わらず話題が尽きないイングランドですが、そんな中でもはや通常運転と言いますか、あまりサプライズ感がないと言った方がいいかもしれないですけど、マンチェスターシティが今季も最後まで優勝争いに残ってます。新加入のアーリング・ハーランドを獲得して、えげつない得点力を見せつけてますが、ここまで来てしまうとサプライズ感がなくて「あ~そうですか」なんですよね。

そんな中で、もう終盤戦です。今季のプレミアでセンセーショナルなチームといえばアーセナル。長いトンネルを抜けて、ひっさしぶりにプレミア制覇に向けて首位を快走していますが、その後ろにピッタリとくっ付いているのがシティです!その差勝ち点5!しかもシティは2試合消化が少ない!この2チームがミッドウィークに直接対決する!!盛り上がってきました!!では相変わらずの強さを見せて、尚且つ進化を続けるシティを見ていきましょう!!!



圧倒的なシティの強さ

■シティ・ハーランドver

今季もやっぱり強さを見せていると思いきや、シーズン中盤まではアーセナルに独走を許していました。シティとしては珍しく、勝ち点を取りこぼすゲームが多かったんですね。

昨シーズンからの大きな変化と言ったらやっぱりハーランド。

得点ペースを考えたら、やっぱ化け物すぎる。昨シーズンまではフォーデンをトップに使ったゼロトップを高いレベルでやっていました。ボールポゼッションの質とかホントヤバいレベルだったんですけど、CLで優勝できないとか、シティに決定的に欠けてるものとは何なんだろうと考えたら、1発で仕留められるストライカーがいない。レアルとの準決勝は、あれはレアルの奇跡を素直に称えるべきだと思います。あんなん、100年に1度くらいの奇跡だろ!!
ああいうゲームを確実にモノにするためのピースとしてペップが欲しかったのが絶対的なストライカーでした。もともとハリー・ケインが欲しかったらしいですけど、ゼロトップやれるハリー・ケインと、THE9番のハーランドではタイプが違うので、ペップの本音はケインでしょうけど、ハーランドを組み込みましたよと。

ペップのハーランドを入れての実験です。


まずは、単純に昨年のベースにハーランドを組み込んでみる。

これがそのシステム。ここからカンセロロールとか、ウォーカー動いてとか、あとゼロトップ的な動きからの変化とか加えて

まず偽SBとしてカンセロ。昨シーズンはここにプラスαでフォーデンが加わってましたが、ハーランドが前線にいるので中盤のもうプラスワンはどうなったかというと

ウイングが内側入ってウォーカーが上がる。だけど守備ではかなりリスキーで、相当なアップダウンを求められる。

そしてもう1つ。これはペップの大ファインプレーなんですけど、「ここまでして最前線がハーランドである必要ある?」ということ。ハーランドは行動範囲も広く、シュートパターンも多彩。つまり、昨年のシステムにハーランドをただ単に組み込んだところでシステムは歪になるし、ハーランドの能力を発揮させられるかも分からない。ペップが気付いたハーランドの特性は、

ピッチのラスト3分の1まで運ぶことができれば、そこから先はハーランドがやってくれます。そうです。これ以上運ぶ必要がなくなり、だいぶ攻撃が簡略化されました。これがハーランドバージョン。

ペップはこれに気づいた後の組み合わせも特徴的で、まずウイングはゲームメイクにも優れていること。何故か突然、ジャック・グリーリッシュがゲームに絡んできたのもこれです。

ジャック・グリーリッシュ

そして、一時期マフレズが外れた。ハーランドで簡略化されたことで、ウイングに突破力はいらなくなったのです。今のマフレズはタメを作れるようになってゲームメイクでも期待できるようになってます。人間の進化は凄い。

そしてもう1つ。ハーランド版になったことによる1番の変化、SBです。ここもアップダウンとカンセロロールもいらなくなった。求められるのは、確かな守備力と偽SBとしてゲームメイクできる力。よりボランチ的な能力も求められました。
これによって「守備難なカンセロ、イランか」となり、バイエルンへ放出。そしてウォーカーも「偽SBができないから使えない」と公にペップから発言があったように、外れるようになった。

そうやってテコ入れを図ったペップがたどり着いた境地が「SB使わん」。

カンセロ放出後に何度かやった実験として、ベルナルド・シウバの疑似左SB化。

流石に無理あるだろ!とは思いつつ、昔クライフがドリームチームでギジュルモ・アモールとかに守備時はSBやれみたいなことやってたな、と思いつつ、無茶なことやってました。2月18日のプレミア第24節ノッティンガム・フォレスト戦はまさにこんな感じだった。

そしてついに見出した解決策。我々取材班は、その真相をこの目で確かめるべく、アラスカへと向かった。



■辿り着いた正解。4CB≒1バック

ペップがたどり着いた境地。それが「4CB」!!

バックスはそんなに上がらなくてもいい、逆に守備力とゲームメイクができたらで辿り着いた先がこれです。ストーンズとアカンジは逆になったりするんですけど、アケは堅実さもあれば縦にも一応行けるしで重宝。右に関しては、ストーンズですね。ここがボランチ化してロドリと並ぶ。後ろ3枚と3-2で組んでビルドアップを作る。

ココが盤石である必要があって、前の4人、ベルバルド、デブライネ、ギュンドアン、グリーリッシュに繋げる。ここからハーランドへラストパス。もし引いてきてスペースがないようなら、グリーリッシュもベルナルドもしくはマフレズは本職ウイングなので、大外を攻略して崩しにかかる。

カンセロを使っていた時の懸念ポイントだった被カウンター処理については、元々にCB4枚を残しているから大丈夫なのと、いざとなればロドリも最終ラインに加われるから、鉄壁のディフェンスを結成できた。

この4人のCBは、守備だけではなく攻撃でも貢献できるという一家に1台あればいい物を4台も持っているという離れ業過ぎて、アケとアカンジは大外でウイングのサポートもする。この前のFA杯ではセルジオ・ゴメスが左SBで偽SBやって、左CBのラポルトがウイングを追い越してオーバーラップしてたから笑っちゃったんですけど、後ろ残ってるのが表記上4バックなんですけど実質ディアスの1バック的なところもあるんで、この質の高さはスゲーなと。



■3-2のビルドアップ、必要最小単位

せっかくアーセナルとやるので、FA杯のアーセナル戦を見ていきます。

この試合の最後尾はこんな感じ。
このシーンは、以前この記事で出した場面と同じなんで、基本立ち位置くらいのおさらいにしておきます。


リコ・ルイス(偽SB)が中に入り、この場面はギュンドアンが下りてくる。

別のシーンです。

基本立ち位置通り。

ストーンズからハーランドへ楔が入る。

ハーランドからリコ・ルイスへ。

右、ストーンズ空いた。

この時点でビルドアップは完結。相手のプレスの網をズラして、残り3分の1をハーランドに託せる状況=ストーンズが楽に出せる状況ができます。去年までならココからSBが上がってウイングに託してが始まるんですけど、ハーランド効果で、ここまでやれたらもうフィニッシュ場面ですよが今季のシティ。

ただこの場面。アーセナルの守備陣が揃っているので出せず、一旦マフレズへ。

マフレズで相手をズラせたことでリコ・ルイスが空く。マフレズが、ウイングっぽく単独仕掛けせず、これができるようになったから今でも使われてるんですね。

アーセナルは4-1-4-1でブロックを組めているので、もう1回やり直し。

再び3-2の陣形。さっきと違うのが、立ち位置がハーフラインまで上がれたこと。

ちょっとココで、相手側の意思も読み取ってみましょう。

陣形は出来上がっているので、あとは誰が誰にプレスするのかを相互理解できていれば、アーセナルは嵌めるだけ。

ストーンズが持ち上がっての局面は同数の3vs3。なんですけど、

更に後方待機しているアカンジはドフリーなので、パス渡ってからプレスを始めるのであったらもう遅い。位置的優位はシティが上回っている。

アカンジ持ち上がる。ストーンズがここで逆サイ(右への展開)への迂回ルートを作れた。アカンジが相手を引きつけて運ぶ"コンドゥクシオン"ですね。これが結構効いてる。

アケに渡してからグリーリッシュが落ちてくる。

これやれたらマジ理想的。

あ~、残念。潰された。

あまりSB上がらないでしょ。ガッツリ引かれた時、それこそこの前のシェフィールド・ユナイテッドとのFA杯セミファイナルではSB絡めてですけど、ハーランドというゴールモンスターを手にして「リスクを犯す必要ある?」なので、ガッツリ引かれたらその分カウンター受けるリスクは減るので存分に人数掛けて攻められる。ここの使い分けができるようになった。




■ビルドアップの簡略化=戦術の軽量化

このビルドアップに対しての対策としては、例えばこの前のバイエルンとのCL。バイエルンはこのビルドアップ隊5人に対してオールマンツーマンで対処してました。ビルドアップが随分と簡略化されたことで、マンツーマンっていうのは対策としては悪くないと思う。ただ、ハーランドを最前線に構えているよ、ということを忘れてはいけなくて、実際にこの試合のアーセナルもこんなことはやってました。

ラポルトからGKに戻します。

この場面でアーセナルはマンツーマン対応。パッと見では簡単に出せるところはないんだなコレは。すると

これやれちゃう。ハーランドへ1発で届ける。で、これなんですけど、ハーランドの周囲の位置が整っているので、ここまでペップは設計している。もし後方できつくなれば1発ハーランドへ届けてもいい。

グリーリッシュから右のマフレズへ。もう勝負し放題。

ロングボールを蹴ったにしてはクロスまでの流れがスムーズ。ウイングの司令塔化で、下手にビルドアップに加わる必要もなく、ゼロトップにして陣形をわざわざ崩す必要もない。ピッチのラスト3分の1を省略できたことがチームの役割分担を明確にすることができ、あらゆる局面で判断ミスなど起きなくなった。



無駄な動きがなくなったということですね。ハーランドいて、わざわざカンセロロールする必要はないんです。「カンセロロールすればもっと崩せるんじゃね?」「SB上げれば点獲れるよね?」ではないんですよ。果たしてそれやったところでハーランドは活きるのか?チームバランスは乱れるんじゃないか?そんなリスクを背負わなくても点獲ることは出来るんだぜ?で導かれた現在のシティです。やってること、よりシンプル。戦術の軽量化に成功したシティ、もはや隙は一切なし。




次回はプレミア頂上決戦シティvsアーセナル超速レビュー!!

Thanks for watching!!

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