ジャニーズのリーダーシップスタイルを比べてみた

RIDE ON TIMEというドキュメンタリー番組がある。Netflixなど各種サブスクで見ることができるのだが、色々なジャニーズのグループの裏側を垣間見ることのできるとても面白い番組だなと思っている。

もちろんTV番組、ドキュメンタリーとは製作側の見せたいものを見せるものなので、あくまで上澄みしか見えないということは前置きさせていただきたい。

前知識として、ジャニーズでは年長者(タッキー、関ジャニあたりの世代)が今、若手グループ、特にジュニアをプロデュースしている。

それを踏まえて、ここで、RIDE ON TIME(そして私のジャニオタとしての知識)を元に、ジャニーズの年長組のマネジメントスタイルを比べてみたい。

目次
① 古き良き日本の体育会系先輩・タッキー
 (派生:関ジャニ大倉・横山)
② 後輩の自主性を尊重する寄り添うメンター・屋良くん
③ タスクの完成度が最優先の職人肌・堂本光一
 (派生:松潤)
④ 【番外編】プロセスと表現の面白さを尊重するアーティスト:堂本剛

① 古き良き日本の体育会系先輩・タッキー

特に、滝沢歌舞伎ZEROの特集のエピソード(Season 1 ep 21-24)に垣間見える。そして私がSnowManにどハマりしているのでそのあたりで知識がある。

SnowManは何年もタッキーの舞台に出ていて、最も信頼を置いている後輩、といったところだろう。タッキーが引退し、スノが舞台を引き継いでタッキー社長の元にCDデビューする、という世界線の中で、彼は古き良き芸能界の怖い先輩、という姿がしっくりくる関係性だと言える。
上下関係がしっかりしていて、後輩は常に敬語で物腰が低く、タッキーに対してふざけるような雰囲気はほとんどない(例外は向井康二ぐらい)。新しく公開された映画でもタッキーが監督であり、タッキーが作りたい世界観を実行する駒がスノーマンであるように見える。

恐怖政治のようにも見えるが、ジャニーズjrはあくまで、バックダンサーとしてやれと言われたことをきっちりやるという存在なので、仕事の中で自主性や創造性を問われるわけではない(もちろん成功するのに絶対必要な要素だが)。そんな世界線で成り立つリーダーシップ像なのは、理解できる。

ただ、すごくドン引きするなあ、と思ったのは、喧嘩した子をみんなの前でキスさせて仲直りさせる、というもの。そんな懲罰のようなことをして仲が良くなるわけがないし、後輩にオーナーシップを全く与えず、気持ちを尊重することもない世界線を再生産しているのが彼のリーダー像なので、令和に全く合わないといっても過言ではないかもしれない。同世代が仕事でそんなことさせられていると思うと本当にドン引きするしジャニオタ辞めたいとすら思った。

(派生:関ジャニ大倉・横山)

この二人も少しタッキーに似ているような気もする。あまり詳しくないので詳細は割愛するが、彼らは関西ジャニーズjrをプロデュースしている。関ジャニがやっていたことを再生産させたい、というのがすごく色濃く出ているプロデュース方法だなと思う。もともとエイトが先駆者となった、コントをやらせたり、松竹座に立たせたり、すごく縦のつながりを重視している印象。関西出身者として、関西っぽさとアイドルの融合、というのは関ジャニがもう切り拓いてしまった道なので、さほど真新しさもなく、後輩はどう頑張っても関ジャニを越えられない、というジレンマに立たせてしまっている感はなくはない。後輩に怒ったりしている姿は関西の運動部の部活っぽいので、タッキーよりももっと泥臭い関係性のような印象はある。

② 後輩の自主性を尊重する寄り添うメンター・屋良くん

屋良くんはあまり馴染みのない名前かもしれないが、嵐やタッキー、関ジャニと同世代で、ダンサーとして活躍し、RIDE ON TIMEではジュニアのTravis Japanの舞台の振付師としての姿が特集されていた(Season 2 ep 6)。

すごく印象的だったのは、登場するとメンバー一人一人が笑顔になって、ハイタッチして、抱きついて、楽しそうな雰囲気作りを大事にしているんだなあ、というところ。そして、一人一人と相談に乗って、不安ややりたいことを聞き出していたところ。しかも、その時に、屋良くんは寝そべり、ジュニアは座っていて、屋良くんがジュニアより目線が下になるようにしていたこと。フィジカルに目線を下げてくれる存在ってきっと、あんな上下関係厳しすぎる世界ではものすごく貴重なんじゃないかなあと思ったり。

もちろん肯定ばかりするわけではなく、時には厳しいことを素直にわかりやすく伝え、後輩が涙するシーンもあった。舞台に上がる直前のトラジャに声を掛ける姿も、愛されて信頼されているのがすごく伝わる光景だった。

先述した、タッキーのような、古い芸能界の上下関係の方がジャニーズでは普通だと思っていたので、彼のエピソードをみた時、こんな素敵な人がいるのか!と思った。トラジャのポテンシャル、そして彼らの活躍と成長を信じ、伸ばすのがすごくうまいのだろうなと思った。何より、彼らが楽しそうにしている姿や、新曲が難しい!けど楽しい!と言っている姿は、みているこちらも楽しい。彼のようなリーダーシップスタイルの方が、若手の育成に向いていそうだが、どうなのだろうか。

③ タスクの完成度が最優先の職人肌・堂本光一

光一はジャニーズが帝劇に立つなんて、と言われてきた時代から、Endless SHOCKという舞台の座長を20年以上続けてきた人である。ジャニーさんの作った台本や演出ではなく、自分でオリジナルのミュージカルを作りたい、と、台本、演出、そして主演を自らつとめている。Season 2, ep 19, 20参照。あとはKinKi担なのである程度知識がある。

彼は、慣習よりも目の前の作品の完成度にこだわる人である、という意味でタッキーなどとは少し違う。タッキーや関ジャニの二人は結構ジャニーズイズムの継承に力を入れているイメージだが、光一はあくまで作品の完成度にこだわり、ジャニーズキャストを減らしたっていいじゃないか、ぐらいのことは全然いいのけそうではある。実際、DREAM BOYSというジュニアとキンプリの二人が出ていた舞台の演出をした際に、ジャニーズの舞台でのお決まりであるショータイムを、全てカットしてもいいじゃないか、と言っていた。

ストイックすぎて周りにぶっきらぼう、ということは全くなく、SHOCKカンパニーをすごく大切にしていて、特にふぉ〜ゆ〜の4人からいじりまくられてる姿をみていると、すごく信頼関係があるんだなあ、と思う。キャスティングの推薦も、もうSHOCKには出ていないふぉ〜ゆ〜のメンバー(福ちゃん)に相談したりしているそうな。後輩をただの駒としてみているのではなく、自分を支えてくれているカンパニーのひとり、というニュアンスが強いのが、タッキーらとのマネジメントスタイルとの違いかもしれない。

個人的にエモいのは、退所したメンバーの話題はタブーという雰囲気のあるジャニーズ事務所だが、SHOCKのインスタでは、今井翼やその他すでに退所した、昔SHOCKに出ていたジャニーズのメンバーをちゃんとフォローしているところ。めちゃ細かいところだが、事務所云々という表面的なところを気にせず、自分のカンパニーを大事にする、という姿はエモい。表層や慣習にこだわらず、作品の完成度を最優先し、でもちゃんとカンパニーを尊重する姿は素敵だ。

(派生:松潤)
後輩のプロデュースも少しやっていると思うが、ここでは嵐のコンサートの演出をする姿に触れたい。Netflixで嵐の特集番組をみていたら、コンサートの演出は松潤が深夜まで考え込み、(スタッフも共に残業)、他のメンバーからの口出しの余地はない、そんな雰囲気があった。そのタスクの不均等な分け方も、まあ彼らのしたいことならいいのかもしれないが、職場での心理的安全性という意味ではなんだか活動休止が理解できてしまったかもしれない。

④ 【番外編】プロセスと表現の面白さを尊重するアーティスト:堂本剛(ENDRECHERI)

ENDRECHERIはあくまでジャニーズ事務所と切り離された活動であり、後輩はいないので一応番外編という位置付けで。

堂本剛のソロプロジェクトであるが、ENDRECHERIはあくまで音楽プロジェクトの総称だと捉えている。たくさんのダンサー、ミュージシャンと共にセッションしながら作り上げるスタイルで、ミュージシャンの一人が「他の現場ならこんなエフェクターを使わせてもらえないけど、ENDRECHERIの現場は好きなように使わせてくれる」と言ったそうな。

金になるかどうかよりも、演出や音楽のバイブスを優先して、楽しく作り上げる雰囲気がある。彼はENDRECHERIの生配信コンサート中に、パニック障害の発作が出たらしいのだが、それでもコンサートを中断せず、MCで説明が入る。「アイドルってこういうもの」という形に囚われずに、関わる人のありのままの姿を受け入れながら楽しい音楽を作る、それを重要視している雰囲気がある。それは彼のソロ活動の原点が、アイドルとしての堂本剛と彼の本当の自分との違いに苦しんだ経験から始まったものだから、というのはかなりありそうだ。

自分の偏った知識を元につらつらと書いてきたが、要するに、ジャニーズとはいえいろんな人がいて、それぞれ長所も短所もあり、時代遅れなところもあるんだ、というのが伝われば嬉しい。




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