40代の推しと、アイドルの年齢制限

22才の私は、老いることがものすごく怖い。今は最先端のテクノロジーもある程度使えるけど、オカンはLINEもろくに使えないし、それによって世界に取り残されてしまうのが怖い。見た目が老いるのも、体が思うように動かなくなるのも、世界で起きていることや新しい価値観についていけない老害になるのも、全て怖い。今の自分は確かに過去の自分よりいい姿だと言えるのに、いつかそうでなくなってしまうことが、とてつもなく怖い。。

そんな恐怖を少し和らげてくれるのは、私の推しである。

私の推しは、KinKi Kidsの堂本剛。もともとアイドルが好きだけど、若いグループやジュニアもDD(誰でも大好き)している中、私はKinKi Kidsがアラフォーになってからどハマりした。

最初に見たコンサート映像は、2015-2016のコンサート。もともと実力があるアイドルが好きなのだが、ジャニーズジュニアが一切おらず、有名な音楽家と対等な立場と関係性で演奏しパフォーマンスを作る、ジャニーズらしくない感じにどハマりした。こんな世界があったのか。ジュニアや後輩がキンキの曲をカバーしてくれる姿をみて、それもそれで良さはあるけれど、本家とは比べ物にならんな、と鼻高々にファンをしていた。

その後、彼は突発性難聴になる。そして、踊れない、ギターを弾けない、なんならステージにも立てない時期があった。まだ現場にはいけてないが、映像を見た限り、病人が頑張ってステージに立っている、という印象が強い。

そんな状態なのにキンキキッズを成り立たせてくれていること、20周年だからファンに恩返ししなきゃとステージに立つ姿に、ものすごく感動した。でも、どこかで、私の大好きな、キンキのハイレベルのパフォーマンスはもう見れないのかな、と思っている自分がいた。まあそんなことは自分にも剛くんにもどうしようもないことで、過去のものは過去として映像を見ればいい、今の彼を受け入れるのがファンのすることだ、と思っていた。

2021年の年明けに、彼らのO正月コンサートを見た。
衝撃を受けた。私が見たどのライブ映像をも超えている。

パニック障害や、ドクターストップがかかってる膝や、聞こえない耳を抱えて、またコロナ禍でのソーシャルディスタンスを保ちながらの、配信でのパフォーマンス。でも、僕らがステージに立たないと仕事がないスタッフもいるのだから、という覚悟、ファンに愛を伝えたいという覚悟を口にしながらコンサートをしている姿。そんな、自分と社会の限界にうまく対応し、今までとは違う姿に進化してアイドルとしてのパフォーマンスを高めている姿。それを見て、普通のアイドルとは桁外れの感動に貫かれた。

特に、オーケストラバージョンのスワンソングは、こんなやっすいイヤホンで聞いていいものではない、こんな私が直視していいのか、と畏怖すら覚える迫力があった。

ああ、私が40代になったら、彼らほど輝いていないだろう、と、ガックリとしてしまった。自分の体と世界の限界を乗り越えて、さらに凄みのあるパフォーマンスをしてのける彼らに、シンプルに感動し、尻を叩かれたような気がした。私もああなりたい、と思えた。老いることは、今までできたことができなくなることではない、今までの姿から進化して、よりすごいことができるようになることなんだ、と希望が持てた。どんな若いアイドルよりも、キラキラして見えた。

高校生の頃からV6も好きなのだが、彼らの25周年コンの「#今がいちばんであること」というコピーが好きだ。今のV6は、若い頃ほどの人気もメディアでの露出もないし、キンキの剛くんほど大々的なものはないかもしれないが、身体的な限界もたくさんあるだろう。しかも、彼らはキンキや後輩の嵐・関ジャニのようにドームツアーをしたこともない。しかも、せっかくの25周年のアニバーサリーイヤーがコロナに見舞われたというのに、それでも、「今がいちばん」と言えることが素敵だった。

確かに、彼らは今がいちばんである、と思う。学校へ行こうの時代を終えて、セクバニコンあたりの謎トンチキソングだらけの時代以降、V6の近年の楽曲はイマドキのアーティストから楽曲提供を受けて、すごくおしゃれな曲が多い。The ONESあたりからV6らしさをアップデートし続けているなと感じる。

25周年コン、ほんと最高だったなあ。たくさんセットを使い、昔のコンサートで録音してあった観客の声を流していたり、細かいところまで行き届いた演出が、他のグループの生配信とは桁違いで素敵だった。スノも好きなのだが、若さを生かして何日も何公演もするけどセットは一つ、っていうもの好きだけど、年齢からくる体力の限界と折り合いをつけながら、最先端のテクノロジーを駆使して収録の良さを最大限引き出してる感じが大好きだったなあ。

ジャニーズジュニアに、22才という年齢制限ができた。若くないジュニアは切り捨てる、転じて、若くないジュニアには価値はない、という思考の現れにも思える。アイドルは若くないと価値がないなんて、そんなことは笑止千万。何歳になっても、耳が聞こえなくなっても、思うように踊れなくなっても、私の推しはステージでキラキラ輝き、ファンを誰よりも大切にする、世界で最高の推しです。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?