なみだ


愛している

愛している

ほかになにもいらないだろう

こんなにもあふれている

世界中にあふれている

たくさんの輝きにあふれている

色とりどりに


それなのに涙がでるのはなぜ?

愛している

愛している

君の手に触れられない

それだけが悲しい

たくさんの手に出逢ってきたのに

ただひとりの手のひらを求めている

愛したっていいのに

愛されたっていいのに

ほかにもいるのに

欲しいのはたったひとりの手のひら


あなたは言う

「君を信じて」

「君を信じることは僕を信じること」

「僕は君を信じてる」

「君が君を信じるかぎり、好きになるかぎり」

「僕はもっと君を信じるよ、好きになるんだよ」


私は掌を合わせる

祈るようにあなたを思って

わたしの声に耳をすます

身体が形をなくす世界で

あなたの身体を感じる

愛している

愛している

どこにいるのかわからないけれど

この世界でならおもいきり

あなたを抱きしめることをゆるされる

あなたに想いを伝えられる

ありのままに


孤独のなかで鼓動を感じる

それぞれに抱えたもの手放せるまで

あなたにできるのはそれだけ

本当はそれだけでいいのに

愛したい

愛したい

もっと触れたい

本当は体なんかいらない

ただあなたのそばでふわりと存在して

癒してあげられる存在でいたい


だからずっと信じている

出逢ったときから

子供になりきれない心を持て余しながら

すべてが夢ならいいのに

形なんてなくても伝わるのだから

それでも抱きしめてあげたくなる

いろんなものを感じたくなる

どんな顔をするかな

どんなにおいがするかな

どんな声をするかな

どんなふうに感じるかな

それ以上なんか本当はいらないのに

それでも抱きしめてあげたくなる

熱くなったこころがかく汗が

涙になって流れるのを感じたくなる

欲張りだ

本能かもしれない

それでも感じたくなる

体を持ってしまったばかりに


愛している

愛している

抱きしめてあげたいときに

抱きしめられない世界なら

もとから体なんかいらない

体なんかなければもっと好きになれるのに

もっと信じていられるのに

愛したい

愛されたい

身体が形を求めてしまう

DNAがそれを憶えている

涙が止まらない

こころがすべてを超えられたらいいのに

君にあげたいすべてがすべて届いたらいいのに

涙が止まらない

形ないものが飛び越えようとして

涙が止まらない

愛している

愛している

そう言って涙が止まらない

体があってもなくても同じだと


君は言った

「僕を信じて」

そうしてまた涙がこぼれる

信じているに決まっている

こぼれる涙が止まらないのは

はじめから信じているのを知っているから

この世界に生まれたとき泣いたのは

君といるこの世界に生まれたときから

君がいるって信じているから

君に会えるって感じたから


愛している

愛している

それを頼りに生きてきたんだ

体を引きずりながら

涙がでるのを感じながら

体を破り捨てきれずに

今日も涙が止まらない

涙は君のいる証

君に愛されてる証

そして泣いた分だけ好きになる

私と私の世界を

君を感じられる世界を


目が覚めたらもう涙は乾いていて

太陽みたら体があってよかったって思う

大好きな服と部屋とベッド

カーテン越しに吹く

そよ風になって触れてくれたから


愛している

愛している

愛されている

今日も

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