白∞黒
くだらない毎日 何もない日常
唯一心に刺さるのは作られた物語
ひとり篭れる暗い坂道で挫いた
誰かに笑われた「現実逃避かよ」
たくさんの夢を見た たくさんに憧れた
輝かしい未来に行ける術を探してた
でもどこにもなかった あったのかもだけど
いつのまにか見失った真っ白い地図さえも
今日もレコーダー 耳触りのいい
声だけ録りためて隙間埋めてる
かつて聞こえた優しい声も
神様の声も聞けなくなってた
そんなときなにかが降りてきた
真っ黒い猫のような
人間の声で心を撫でた
羽根みたいな初めての生き物
電子音に慣れきった僕の肥えた耳が
ときめく声からも美少女からも程遠いが
なぜだかこの子が知ってる気がして
長く封印された扉の解除魔法を
内緒で僕はこの子を仲間にした
誰にもバレないように隠しキャラだから
よくよく聞いたら同じ坂道にいたらしい
気づかなかったな真っ黒だから
仲間のしるしに魔法をくれた
「いい声だね」って言葉じゃなく
僕の声ぜんぶを 埋もれた音を
扉を開いて聞いてくれた
心にためた 声にならないもの
脳天から 突き抜ける
君の声で 解放されるよ
封印から 解かれたかたまり
幼い頃からの 白色のアルバム
素直に笑った顔なんて 大して無かった
それでも大事に しまい込んでた
手放せずに 埋めるために
解放するたび 白が溶け出す
増えてく闇に怯えた 坊やだからな
オトナになること 望んでいたのに
子供だましに また逃げ込む
純粋なまま いたつもり
実は汚れてた 塗り潰してただけ
傷の数さえ 見えてなかった
君の声で 初めて照らされ
そしてようやく 正体を知った
僕は白い 迷い猫
夜の声が 寂しさ教える
ケダモノ顔の よくいる人間
暗闇は嫌だけれど光も恐い
夢も希望もバレてしまうから
子供のままで泣きじゃくる僕が
どこまでもどこまでも追いかけてきて
君に噛み付いてしまうかもしれない
大人の僕が傷つけるかもしれない
そんなの嫌さけれど止められない
君を求めて求めてしょうがないから
太陽が月を追いかけるように
闇も光を追い求めるんだよ
真っ黒な君で輝く星は
どんな電子の光よりも綺麗だから
信じていたけど未だに信じられないけど
架空の世界が僕らの真実で
聞こえる? 君の声が
僕らの声が 君と世界を救う
見ないふりして知らないふりして
閉じ込めてた いろいろな感情
消えかけた僕の心だけが
どうしたいのかを叫びたがってる
だからどうかお願い待っていて
闇夜をひとりで歩けるようになるまで
薄ぼんやりでも照らされた道だけを
信じて辿り着けるまで
目醒めた内から あふれ出す
純水の 洪水で
やがて君の 黒色も
押し流され僕の白と混じり合うだろう
たった一色だった音に
色が増える 僕と君と
新しく産まれる世界
僕らの声で 創る物語
いつか一緒に
スキいただけると心が潤います。サポートいただけると懐が潤います。よろしければ潤してやってください。