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荻窪随想録番外――花火もできない

先頃、杉並区は公園の利用の仕方を見直して、
お試し期間として今月から、これまでより少し規則をゆるめてみることになった。
それによって私は初めて、公園で花火をするのが「事前届け出制」であったことを知った。

しかも、任意の「団体」が青少年の育成を目的とした場合、さらに夏休み期間に限ってしか許されていなかった。

なにかと知らないことの多い私には、にわかには信じられないことだった。
公園に行くと、確かにやたら禁止事項を書いた看板ばかりがあるとは思っていたけれど、
子どもが自由に花火をすることもできなかったとは。

それだと、子ども同士で、「今日、花火やろっか」と言って、
連れ立って花火を買いに行くこともできないし、
あるいは、お父さんやお母さんが「今夜は花火をしましょうか」と言って、
子どもといっしょに花火を選びに行くこともできない。

それでも、ベランダや庭のある家に住んでいる子はまだいいかもしれないけれど、
そんなふうに家族うちだけでやっていたら、ほかの家の子どもとの交流の輪が広がらないだろう。

私が子どもだった頃のはるか昔には、
誰かが公園で花火をやっているのを窓から見たら、自分も出ていってみたり、
あるいは、明日は自分もやろう、と思って、翌日すぐに花火を買いに行ったりしたものだが。

そんなわけで、それはあまりにも不自由だ、という声が当然上がったようで、
今回はそれを汲んで、
お試しとして特定の公園に限ってだけれど、夏休みの間だけ、個人でも事前届け出なしでできることになったそうだ。

ただし、大人を含む5人程度までで、手持ち花火に限る、という制約つきだが(時間も午後6時から8時まで、しかもやはり、夏季のみ、と制限されている)。
今の都会の子は、ドラゴンはできないわけか。

とはいえ、このようなルールの見直しはよいことだろう。
そのほかの自転車の乗り入れや、ボール遊びの規則の緩和も含めて、
来年3月まで試してみて、また子どもも含めたアンケートを取って、今後どうするかを正式に決めるらしい。
そうすれば結果によっては、もっと緩む可能性もあるし、花火のできる公園も増えるかもしれない。

せめて花火くらい、やりたい時にやらせてあげたらどうなのか。
眺めているほうにとっても、夏の風物詩だと思うのだが。

杉並区ホームページ「新しい公園利用ルールの試行」
https://www.city.suginami.tokyo.jp/guide/machi/kouen/1095183.html


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