荻窪随想録番外――よるのどうてつがぎん
「西郊ロッヂング」の右から左に読む金文字で思い出したけれど、
小学校の、たぶん高学年の頃、
教室の後ろの本棚に置いてあった、誰でも自由に読んでいい本が、
あまりに寄せ集めのため、古ぼけていて、表紙も傷んでいたりしたので、
カバーをつけることを先生に申し出て、何冊かうちに持って帰ったことがあった。
その時、ある一冊に包装紙でカバーをつけ終え、
表紙に本に書いてあるとおりの字をボールペンで書き込んでから、
『夜の道鐵河銀』(よるのどう…?…か・ぎん)などと左から右に読んで、
ど