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タモリさんの温かさ

佐原ひかりさんの「人間みたいに生きている」を読みました。
その感想はさて置き(いや、とっても面白かった!)。
読みながら、自分の高校時代を思い出したのです。
思い出すことはたくさんたくさんあるのですが、その中のひとつ。

当時はダウンタウンの全盛期だったように思います。
ボケとつっこみが軽快で、シュールでニヒルで。
あぁ、でもダウンタウンに限らず、「お笑い」が面白かったなぁ。
インターネット普及前夜ということもあったのでしょうね。

高校生の私たちは例にもれず、友達どうしでボケて、つっこみます。
本当に他愛もないレベルで、箸が転んでも楽しかったのです。
私にも「相方」のような人がいて、「相方」はとにかくボケる。
授業中でも、休み時間でも、ボケる。ウケる。人気者。中心人物。
そして私はそれにつっこむ。横にいる。そんな関係でした。

いつものように授業中にボケた「相方」に急に冷めた私。
つっこまない。つっこみませんよ。

「実はつっこみあってのボケなのだ」
「私がつっこむから、あなたはウケるのだ」

なんて、いやらしいことを考えていました。

なんだか疲れてしまって、次の日はズル休み。
朝からダラダラすごして「笑っていいとも!」を観ました。
繰り広げられる、いかんともしがたく平べったい展開。
ゆるやかな笑い。お客さんとのかけあい。
その、なんとも言えない緩さに、解凍されていました。
感動で心震えるほどに。そうか、これが欲しかったのだ!
タモリさん!ごめんなさい、ちょっとなめてた。

それ以来、私はタモリさんがすきです。
「ミュージックステーション」のときのやる気のなさも、
「タモリ倶楽部」のときの喜々とした顔も、
音楽をやっているときの変態的センスも、かっこいい!

あなたの、その温かさに、高校生の私は救われました。
次の日は元気に登校し、「相方」のボケにつっこんだのでした。
張り詰めることなく、緩やかに、つっこむのでした。

そして、ひそやかな自信をもって思うのです。

「私がつっこむから、あなたはウケるのだ」
音瑚ひらり


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