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君の顔面に恋をした

夫は、私じゃない人と結婚したほうが幸せになれたんじゃないかな、とよく思います。

私は決して一般的に言う、いい妻ではありません。

家事もできないし、夫を立てることもしないし、すぐ夫への感謝の気持ちを忘れそうになるし、夫より自分優先で物事を進めようとするし、夫が悩んでいても見て見ないふりをすることもあるし、夫のアイスクリームを勝手に食べちゃうし、つまらない話だと途中で寝るし、早い話、ものすごく自分勝手なので。

もっと優しくて思いやりがあって包容力があって、彼を優先してくれる人と一緒になったほうが、夫は幸せだったんじゃないかな、と結構な頻度で思います。
そして、いつか離婚されるんじゃないかなって、半分本気で思います。


そんなことを先日母に話しました。
すると、母が言いました。

「私もパパはね、別の人と結婚した方が幸せだったと思う。なんなら、別の人と結婚してたらあんなに早く死ななかったと思う」

パパというのは、亡くなった私の父のことです。
父は母の顔面が気に入って結婚しました。
いわゆる一目惚れです。

母は今でこそ、その面影はあるのかないのかわかりませんが、若い頃はびっくりするほど綺麗な人でした。
町を歩けば、すれ違った男性が振り返り、社交の場に行けば、その輝く美しさと気さくなジョークで場を一気に華やかにする、そんな人でした。
パーティーなどのために母がめかしこんだ時などは、子供ながらにうっとりと見惚れてしまったことを今でも忘れません。

父は、そんな母にイチコロでした。

若い頃母は、性格的にも非常に光の強い人だった一方で、父は陰や暗闇をイメージさせるような正反対の特性がありました。
母は思ったことはなんでも言う、性格的にもキツイ。父は寡黙で忍耐強い。
ある意味、父の我慢の上に成り立っていた関係とも言えます。
それもあって、母は先のセリフを言ったのだと思います。

それを受けて私は言いました。
「パパはお母さんの顔面にやられたのが運の尽きだったね」

「うん、しょうがないわよね。美人が好きなんだからあの人」

「うん、それは仕方がない。美人好きは仕方がない。パパが悪い。美人がよかったんだから」

「そうよね」

「うん」

こんな不毛な会話を交わした母と私でした。


美人に惚れ込んで、美人とその娘のために一生懸命働いて、なに不自由のない生活をさせて、残った心配事は娘の結婚ぐらいという時に亡くなった父。

私の夫は、美人でもない私に惚れ込んで、一生懸命働いてくれて、不自由だらけの生活だけど、でも私が彼を大切にできるチャンスはまだたくさん残されている。

今のうちにもう少しいい妻になれるように、ちょっとだけ努力しようかなと思います。
「ちょとだけ」とか「しようかな」とか言ってる時点で、意志弱っ!と思いますが 笑


ふと自分に聞いてみたくなる1000の質問 #10

大切な人を、ちゃんと大切にできていますか?

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