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元社畜のおじさんが家を2軒買った話の1軒目の話2/2

そうこうしているうちに奥さんに某教授から修士と博士に進んで大学教員になる気はないか?、というお誘いがあった。現在奥さんは首都圏の某大学で教鞭を取っているが、もちろん当時はモノになるかどうかなんてやってみなきゃわからない話、でもどうしてもやってみたいというし奥さんほどの才女を子育てと家事で疲弊させてしまっているという負い目感情もあった。

そして詳細は省くけど学費とシングルインカムで家計は火の車になった、輸出企業で働いていたおじさんの会社も折り悪く悪夢の民主党政権下の円高で会社は傾き年収は落ちた。それでも月々3万円ちょいの家に住めていたおかげで何とか持ちこたえた、贅沢はできなかったけどすぐそこのきれいな海でおいしい魚がたくさん釣れた、スズキやヒラメの刺身とムニエル、カルパッチョ、アラ煮。おいしい魚が大好きな奥さんとおじさんはそれだけで満足だったし、旅行といえば1BOXカーにイレクターパイプでベッドを作って、車中泊であちこち出かけてイワタニのろばた大将でいろいろ焼いて第三のビールを飲んで眠って朝日とともに起きた。一生忘れられない時期になった。

そして奥さんはその駅弁国立の助教になった、給料は円高地獄を生き延びた会社に勤める高卒のおじさんよりも少ないくらいだった。けど世帯収入は一本を僅かに超えた、家計の上では劇的な変化だった。そして火の車から抜け出した家計を眺めていた奥さんが恐ろしいことを言い出した、一条工務店で家を建てたい。正直賛成しかねる部分もあったが、親方日の丸でパーマネント(任期なしでずっと安定している)雇用の奥さんがずっと夢見ていたことだった。最終的には同意した、ついでにおじさんの実家を処分して今住んでる家におじさんの両親を住ませることにした。

なにしろおじさんの実家は中途半端な温泉街と田んぼしかなく、路線バスにも見放されて車がなければ杉林に包囲された監獄のような場所だ。おじさん両親は渡りに船で飛びついて今は余生で駅チカ暮らしを堪能している、親孝行なこっちゃね。誰が買うと思っていた田舎の家は、これまた隣県の大学教授が購入して余生をそこで過ごしている。なんという適材適所、なんだか守られている感を感じるおじさんだった。

そして次はついに一条工務店で家を建ててみたよ

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