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国境なき弾圧

権威主義の指導者達は、その抑圧的な手法をグローバルに展開している

2021年8月28日

編集委員会

編集委員会は専門知識や調査、議論、そして長年にわたり培われてきた価値観に基づいて意見を述べるオピニオン・ジャーナリストの集団である。本委員会は報道室とは別の組織である。

 敵がどこにいようとも叩きのめすという話は、神話や文学、そして歴史の中で確固たる地位を築いている。お節介なギリシャの神々。ジェームズ・ボンドの殺しのライセンス。レオン・トロツキーをメキシコ・シティで追い詰めた、ヨシフ・スターリンお抱えの殺し屋。このような遺産があるにもかかわらず、なぜ今になって、国境を越えて反体制派を追い詰めようとする権威主義の指導者達について、人権団体が警鐘をならしているのかという疑問は当然湧いてくるだろう。

 その理由は何かと言えば、新たな強者による国境を越えた抑圧──威圧・拘禁・暴行・誘拐・国外追放、あるいは暗殺など──の範囲と規模、そして免罪性が、グローバル化やデジタルネットワークへの接続性、そして新たな監視方法によって指数関数的に拡大しているからだ。

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