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責任感ある人々の静かな怒り

2021年8月19日
ポール・クルーグマン(オピニオン・コラムニスト)

 ロラパルーザについて少し話をしてみようか。このイベントは昨年は中止されたものの、数週間前にシカゴにおいて、再び長期間にわたるこの音楽フェスティバルは開催され、38万5,000人以上の観客を集めることになった。多くの人々が、この膨大な騒々しい観衆達によって、コロナウイルスのスーパースプレッドイベントを生じさせるのではないかと懸念していた。

 だけど、このフェスティバルでは入場者達に、ワクチン接種証明書か新型コロナの陰性証明書を要求しており、途中から屋内用マスクの着用義務をも導入している。そんなわけで、参加者達から感染者はほとんど出なかったようだ。

 これは何を意味しているのだろう?多くの人々が多かれ少なかれ新型コロナワクチンに期待していた、普通の生活や、それがもたらす娯楽への復帰が、米国でも起こり得たということだ。そうはならなかった理由──南部の多くの病院が限界に近い状態で、我々が未だ恐怖の中で生活している──は、十分な数の人々が未だワクチンを接種しておらず、その多くがマスクを着用していないことに起因している。

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