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庵野秀明の14年目の正直ーシンエヴァンゲリオンまでの軌跡ー

※はっきりしたネタバレはないです。ただ、気になる方は読まない方が良いと思います。

2007年に「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序」は新たなエヴァンゲリオンシリーズとして公開される。

そして、その14年後である2021年、新劇場版四部作のラスト「シン•エヴァンゲリオン劇場版」がついに公開された。

この「14年」という数字は、エヴァンゲリオンの作中でも大きな意味を持つ。

新劇場版:Qとシンエヴァンゲリオンは、破の14年後の物語だ。

そして、エヴァに乗るシンジやアスカ、パイロットは、皆14歳だ。

「14年」とは、一体なんの数字なのだろうか。

庵野秀明が、アニメにハマるきっかけとなった作品がある。

それは、「宇宙戦艦ヤマト(以下ヤマト)」だ。

1974年に放映されたこのアニメに庵野は夢中になる。当時、庵野は、成績優秀な人が入るCクラスにいた。しかし、そのクラスの講義の時間は「ヤマト」が放映される時間だった。

庵野は「塾の成績をわざと落として、Bクラスに行き、『グレートマジンガー』を犠牲にしても、『ヤマト』までには家に帰ることにしていました。」と言う。

親にねだって、テープレコーダーでテレビの音をとり、「ニ話から最終話までは一時期ほとんど覚えてました、セリフを」と言う。

庵野は「ヤマト」により、アニメの世界にどっぷりハマっていく。

この時の、庵野の年齢は、14歳だった。

新劇場版のQとシンエヴァンゲリオンでは、14歳のシンジを残して、周りの人間が、みな14年の月日を経て大人になった姿が描かれる(アスカやレイはエヴァの呪いでビジュアルは変わっていないが)。

14歳からアニメにのめりこみ、オタクの道を進むことになった庵野と14歳でエヴァに出会い、大人になることができなくなったシンジ。

旧劇場版(「まごころを、君に」)では、シンジは、他者の存在を認め、「手をつなぐ」ことを選ぶ。

人は1人では生きていけないからだ(当たり前だけど)。

オタクの道をつきつめることは、1人でもできる。けれど、外には、もっと世界が広がっていて、それは、他者を認めないといけないのだ。

そして、シンエヴァンゲリオンでは、さらにその先が描かれる。

つまり、14歳で時が止まったシンジ(オタクたち)が「大人になること」。

それは、14歳からアニメの世界に憧れた庵野と、14歳で大人になりたくないと思ったシンジの14年目の正直だったのかもしれない。

参照:「庵野秀明スキゾ•エヴァンゲリオン」