「関西女子のよちよち山登り 5. どんづる峯」(2)
前の話 / 次の話
人とすれ違えないくらいの細くゆるやかな坂を登っていく。五分も経たないうちに、前を行く次郞の足が止まった。
「あれ、おかしいな」
「どうしたん」
「いや、こっちのはずやねんけど」
次郞は言いよどみ、道の脇にある一本の木を指さす。
細い木の幹にラミネート加工された紙が掛けられている。
「『行き止まり この先 香芝市』?え、この道行き止まりなん?」
「そんなはずないねんけどなあ、香芝市のホームページにも、なんもお知らせなかったし」
次郞