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本当の「自由」を知った瞬間

小さい頃から「ペット」というと犬ばかりで、猫の良さを知らずに大人になった。
というのも、そもそも猫が身近にいる環境になかったせいか、大人になってからも猫には怖いイメージがあったからだ。

ところが、「猫もまあまあ可愛いんだな」と思わざるを得ない猫ブームが到来し、まんまと影響される。
そんな私が愛猫と出会ったのは、「猫を飼ってみたい…」と思っていた矢先の事だった。

生後1ヶ月にも満たない子猫を偶然保護し、この子を家族として迎え入れるかどうかという家族会議を開く頃には、すでにもう愛着が湧いていた。
だって猫を飼ってみたいと思ってたのだから。
当然である。

そして私は、犬と同じような感覚でその子猫を「飼うこと」に決めたのだが、迎え入れて数日後、衝撃を受けた。


子猫は結膜炎で、目薬をするよう獣医さんに言われていたので、「猫」という生き物を何も知らない私は子猫に近づき、当たり前のように目薬をさそうとする。
すると物凄い顔で歯茎をむき出しにし、「シャアアアァァァ」と威嚇されたのだ。

その瞬間、私の頭の中では色んなことが巡った。

今、私は飼い主で、私がいなければこの子は生きて行けない状態である。
勿論犬や猫がそんなことを考えないことはわかっているが、それでも犬は数日一緒に過ごせば懐き、吠えることはあっても噛み付いてくることはなかった。

なのにこの子猫は、生まれて間もないにもかかわらず、自分の何倍もある大きさの生き物(私)に対して「お前の思いどおりにはならない」という意思表示をしたのだ。

感動である。


私は何故猫が人気なのかがわかった。

猫は、私たち人間や犬とは違う、「何者にも従わない」という自由な生き物だからだ。

猫は主従関係を作らない。猫にあるのは好きか嫌いか、ただそれだけである。
何一つお世話をしてくれなくても好きな人には甘え、なつき、全てのお世話をしてくれようが気に入らなければ噛みつき、避ける。

そして噛みつき、避ける相手であろうと餌を貰えば食べる。だからと言ってなつくことはない。あからさまに避けるのだ。

なんて自由なんだろう。

36年生きておいて、私は初めて本当の意味での自由を知ったような気がした。
「やりたいことをやる」が自由に生きることだと思っていたが、そんなレベルではない。

猫にとってはやりたいことをやるのなんて当たり前で、やりたくない事はやらない。やらされない。
誰にも服従せず、自立している。

猫は自分の欲求を満たすため以外には、飼い主を待たないし、飼い主に擦り寄らないし、期待にも応えない。

とにかく自分に従順。

そんな猫の本質を知り、私は「自由に生きる本質」を知ったのだ。

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