金持ちジュリエット
ハイスペバリキャリ金持ちジュリエットは、黒縁眼鏡の向こうから鋭い眼光を光らせます。相対するロミオは溜息を吐きました。
「ジュリエット、どうして僕に執着するの?」
「貴方は私の運命だから」
「確かに君はジュリエットで僕はロミオ。運命みたいな名前だけど……僕は万年雑用。君は社長令嬢でありながら現場に出てひと月にして業績トップ。釣り合わない」
「私が働くから、貴方には家を守って欲しいの。貴方の作るオムレットは世界一よ」
「いやでも……」
「ロミオ」
ジュリエットはそう呼びかけて、黒縁の眼鏡を外し長い髪を揺らしました。シャンプーと香水が混じった、妙に妖艶な香りが部屋を包みます。
ジュリエットは細い指でロミオの顎をくいと持ち上げ、アフロディーテのごとき微笑を浮かべました。厚く艶やかな唇がゆっくりと官能的に開かれます。
「私が幸せにしてあげるから」
艶やかな笑みで悠々とそう言われ、
「ひゃい………」
乙女にされたロミオは答えました。
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