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【本】『人新世の「資本論」』(斎藤 幸平/集英社新書)

こんにちは、『猫の泉 読書会』主宰の「みわみわ」です。

評判になっている『人新世の「資本論」』(斎藤 幸平/集英社新書)を読もうとしました。

第四章まで読んでいくうち、「今の方法がまずいこと、なぜかわれわれが貧しい暮らしになっていること等々、著者の主張と解説は、いちいち、ごもっともなんだけど、じゃあどうしたらよいのか? 絶望し滅びる以外に、私できることがあるのか?」 という暗い気持ちになって読めなくなってきまして、ちょっと目をそらして、お茶を飲みながら考えたんですけれど。

(あ、今日のお茶は、「生活の木」のハーブティのマスカット味です。最近は、手あたり次第に各社のハーブティを試しています。コーヒーはもとより、紅茶を飲むとお腹が痛くなるようになってきて、カフェインが悪いらしいという説にのってみました。)

「著者の一番大事な主張は、本の最後に書かれているはずだ」

そういうわけで、許しておくれ。まだ見ぬ、第五章~第八章たちよ! 君らをないがしろにするわけじゃないが、私は行くよ。

〇おわりに のまとめ

・著者は、人類が環境危機を乗り切り、「持続可能で公正な社会」を実現するために「脱成長コミュニズム」つまり、「マルクスで脱成長」を提案している。
・ここでいうマルクスとは、晩年のノートをもとにした「マルクス」である。
・希少性を生み出しながら利潤獲得を行う資本主義こそが気候変動の原因である。このまま続けば社会は野蛮状態に逆戻りする。
・3.5%の人々が非暴力的な方法で本気になれば社会が大きく変わるという説がある。

・・・なるほど内容的にも精神的にもスッキリしました。どうやら、この本は、逆から遡ると、理解しやすそうです。

〇第八章 気候正義という「梃子(てこ)」 のまとめ

・脱成長は自然回帰ではない。

・フィアレス・シティ:国家やグローバル企業よりも住民のために行動する地方自治体のこと。例としてバルセロナの2020年1月の「気候非常事態宣言」。10年かけて草の根の声を市政に持ち込むシステムを整備した。

・ミュニシパリズム:国境を超えて連帯する革新自治体のネットワーク。バルセロナの挑戦の秘密は、市民間の相互扶助だけではなく、都市間の協力関係があった。

・外部化社会とは、環境負荷をグローバル・サウスに押し付けること。わたしたちが暮らしているここもひどいことが多いけれど、グローバル・サウスではその極限までいっているということ。

・ミュニシパリズムは、グローバル・サウスにおける抵抗運動から積極的に学ぼうとしている。(ヨーロッパの啓蒙主義とは逆の流れ)。注目するポイントは「気候正義」と「食料主権」の運動

・食料主権の例:南アフリカはアフリカ最大の農産物輸出国の一つなのに、飢餓率が26%。2015年に市民は「南アフリカ食料主権運動」で、貧しい農民へ、農業の知識と資金を配り、農民が種子を自家採取して管理する持続可能な有機栽培を根付かせることを目指す。

・著者のいう〈コモン〉とは私的所有や国有とは異なる生産手段の水平的な共同管理をすること。もしもトップダウン型の政治形態でこれを行うと、これまであった共産主義国家になってしまうので、市民参画の主体性をはぐくみ、市民の意見が国家に反映されるプロセスの制度化が必須。

こんな感じで、逆から読むと理解しやすかったです。
理由を考えたんですけれど、「晩年のマルクスで脱成長」だとそこから猛反対が殺到すると危惧して著者は、反対意見に応えるネタを本の前にてんこ盛りしたのではないかと。それが重すぎて読めない私のようなタイプは後ろから読むもいいかもしれません。読みにくくてもどうにか読みたいと思うならば、ってことで。

■本日の一冊:『人新世の「資本論」』(斎藤 幸平/集英社新書)

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