見出し画像

日本と中国 相続の違い⑨

みなさんこんにちは。行政書士市川聡子事務所の市川です。
昨日は立春でしたね。とはいえ、まだまだ寒い日が続きます。。。

さて、本日は日本と中国の民法の違いを読みとくシリーズ⑨
1131条の「被相続人に扶養されていた者の権利」についてです。

中国民法典1131条

1131条(意訳)
相続人以外で被相続人に生活を頼っていた、または相続人以外で被相続人に生活を頼ることが比較的多かった者には、適切な遺産を分与できる。

理解が難しい条文です。
そこで。。。調べてみました
最高人民法院民法典贯彻实施工作领导小组
来源:中华人民共和国民法典婚姻家庭编继承编理解与适用
中国の最高裁判所のお偉い方がこの中国の民法を実施するために作成した
「理解と摘要」にたどり着きました。

そこには1131条のことを
「本条是关于继承人以外的人酌情分得遗产的规定。」とタイトルが書かれています。
酌情(Zhuo Qing)とは?。。。「具体的な状況から判断して」です。
ということは「本条文は相続人以外の人の、実情に即して判断する遺産分割の規定」と、言ったところでしょうか。

条文理解をかいつまんで説明します;
(既に廃止となった)相続法という法律の14条にはかつて「相続人以外で就労ができない、または収入源が無いため被相続人に生活を頼っていた、または相続人以外で被相続人に生活を頼ることが比較的多かった者には、適切な遺産を分与できる」と、太字の部分が加えられていたが現行法では削除され、被相続人に生活を頼っていた相続人以外の全員が相続の対象になる、と対象者が拡大された。一般的には被相続人と近親者間で扶養関係が発生した人を対象としているが、被相続人が死亡した時点でその扶養関係が一方的に終了し、扶養されていた側の生活環境が一方的に悪化してしまうのを鑑み、被相続人の死亡後、一定の遺産を分与できることとしている。

だそうですね。。。

日本の民法では、877条のように扶養義務者としての条文 ↓

(扶養義務者)
第八百七十七条 直系血族及び兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務がある。
 家庭裁判所は、特別の事情があるときは、前項に規定する場合のほか、三親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。
 前項の規定による審判があった後事情に変更を生じたときは、家庭裁判所は、その審判を取り消すことができる。

民法 | e-Gov法令検索

があるものの、ここでは相続については記載がございません。
日本では「相続人以外(第三者)」に遺産を相続させる場合は、遺言書に第三者に遺産を相続させる旨を記載するのが一般的となります。

日本の民法で相続で扶養に関する法律は配偶者居住権(民法第1028条)配偶者短期居住権(民法第1037条)辺りとなりますが、どちらも「配偶者が対象」となりますので、「相続人以外」と規定されている中国の民法典1131条の規定とは異なる点に注意が必要です。

いかがだったでしょうか。
以上ご参考にしてみてください。
本日も最後までお読みいただきありがとうございました。
記事が気に入ったらスキ!していただくと励みになります。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?