2021年阪神ドラフトを考える


今日は2021年の阪神のドラフトについて現有戦力から見ていこうと思います。すなわち、来年に向けて補強ポイントはどこになるのか、を独断と偏見により一旦整理する独り言に近いものになります。なお、著者はドラフト指名候補者についてそこまで詳しくないため、具体的な候補者をあげることはしません。また、簡便のため選手は敬称略とさせていただきます。

― 先発


本年の先発ローテーションは次のようなメンバーでした。

1年間ローテーションを守った組
西勇、秋山、青柳、ガンケル、伊藤将

谷間など、10登板未満
藤浪、髙橋、アルカンタラ、二保など

昨年からローテーションを守っていた秋山、青柳が今年もローテを守り、先発に回ったガンケル、そしてルーキーの伊藤将がここまで投げ切るなど、充実の先発陣でした。一方で、一番の計算外は西勇輝の防御率が大幅に悪化したことです。秋山、青柳は比較的来年も計算が立ちやすいですが、西の来年の活躍が不透明になったこと、ガンケルも複数年の実績がないこと、伊藤将も来年が2年目のジンクスになる可能性等があり、ローテーション投手は入れ替えが必要になるかもしれません。
幸いなのは候補はドラフトで獲得せずとも比較的いることです。筆頭は怪我さえなければ現在の快進撃のような投球が期待できる髙橋遥人、そしてルーキーながらウエスタンリーグで投手3冠(防御率、勝ち、勝率)を達成した村上でしょう。ここに来年は高卒3年目になる西純や、今年はリリーフで頭角を表した及川らが参入してくるはずです。
しかしながら、岩田稔、中田の引退に伴い、ウエスタンリーグの先発が不足することが予想されます。従って、ある程度1年目から2軍で経験を積ませられるような先発投手(大卒、社会人)を獲得する必要はあるように思えます。特に今年は阪神に少ない左投手の候補が多いと聞きますので、複数獲得しても良いかもしれません。

― 中継ぎ

勝ちパターン
岩崎、スアレス

ビハインド、あるいは7回
岩貞、馬場、及川、齋藤、小林、小川、石井など

西の不振に次ぐ今年のもう一つの誤算はここ数年安定した中継ぎ陣に安定感がなかったことでしょう。岩崎、スアレスに次ぐ7回の男がなかなか決まらず、交流戦付近までは小林、現在は及川が担っています。スアレスがメジャーに流出した際には岩崎以外勝ちパターンがいないという事態になってしまいます(その際には新外国人が間違いなく来るとは思いますが……)。
また中継ぎに関しては代替選手の候補の予想が立てにくいと言うのがあります。かつての桑原、守屋、島本らは一軍実績がないにもかかわらず突然一軍に定着しましたし、来年は急に誰かが覚醒するかもしれません。しかし、勝ちパターンに入れる可能性のある即戦力投手は獲得しても良いのではないかと思います。幸い広島栗林や横浜山崎のように、1年目から抑えをできるピッチャーというのは複数の例があります。

― 捕手

正捕手:梅野 控え:坂本、原口
2軍:長坂、榮枝、藤田、片山

正捕手の梅野がFA権を獲得しました。今年も安定した守備を見せていますが、打撃が序盤こそ得点圏打率の良かったものの、ここ数年に比べると少し落ちる印象です。坂本は今年出番が少ないですが、きちんと出場機会には爪痕を残しましたし、ベンチでの空気の盛り上げにも必要不可欠です。梅野の後継者としても、一軍の帝王こと長坂は特に悪いところがないですし、またルーキーの榮枝が想像以上に攻守に良いようなので、今年は獲得優先度は低いのではないかと思います。

― 内野手

ファースト:マルテ セカンド:糸原 ショート:中野 サード:大山
控え:木浪、熊谷、植田、山本、小幡など

まずはショートから。鳥谷以降北條、植田、木浪など数年間正ショートとして君臨できる選手がいないまま来てしまいましたが、今年は中野がショートの穴を埋めてくれました。やや長打率が低いですが、打率.270越え、そして盗塁成功率9割越えはすごいの一言です。なぜドラフト6位まで残っていたのか。来年も活躍を期待したいところですが、万が一2年目のジンクスになってしまった場合は小幡を我慢して使ってみてもいい時期に思えます。2軍での実績は十分です。また代走要員の植田、熊谷も本職はショートですし、少なくとも今年は社会人ショートを取る必要はないでしょう。ただしコンバートできる打力のあるショートは貴重なため、どんな時も狙っていいと思います。
続いてセカンド。一時期離脱もありましたが、糸原が今年もレギュラーを張っています。後半戦は打線に欠かせない活躍をしていますが、打撃が不調になると守備の秀でた選手ではないため少し厳しくなってしまいます。彼に時折の休みを与えるような選手が欲しいところです。ただ、DHのないセリーグで打てないポジションが多いと苦しいため、打力のあるセカンドは上位候補がいるようであれば獲得を狙ってもいいかもしれません。
続いてファーストサード。ここはオプションも多く、一軍戦力として困ることはないように思います。サードは不調でも20本塁打に届きそうな大山、そしてファーストは今年初めて怪我なく完走しそうなマルテ。マルテが怪我で離脱した際にはサンズにファーストオプションがありますし、あるいは大山をファーストにして佐藤輝や糸原をサードに回すことも可能です。一方で、2軍を見てみるとファーストは陽川、小野寺が主に守っており、サードは板山、遠藤、高寺らが守っています。高卒ショートをここ数年毎年小幡、遠藤、高寺と獲得してきたため、同時に出場するために彼らがセカンドやサードを守るのですが、本職の打撃型の選手が少ないことが気になります。特にファーストは、小野寺が一軍にいる間は中堅の陽川に打席を与えており、もう少し育成のために打席を割いてもいいのかなと感じます。このため、下位や育成で打力のある選手を獲得し、ファーストで起用してみてもいいのかなと感じます。

― 外野手

センター:近本 ライト:佐藤輝 レフト:サンズ
控え:ロハス、糸井、島田、小野寺など

まずは序盤の快進撃を支えた両翼であり、現在の打線の停滞の理由でもある両翼です。サンズは昨年と同様に序盤は活躍するものの終盤は失速しており、20HRしており残留するとは思いますがバックアップが必須でしょう。佐藤輝はいい意味で誤算でしたが、後半戦は苦しんでいます。来年は是非壁を乗り越えて欲しいですが、不振の際の候補は大いに越したことはないでしょう。控えもロハスがシーズン途中からの難しさもありますが思ったような成績が出せず、糸井も代打要員としての活躍の方が目立ちます。本当は怪我をしていなければ井上の絶好の出番だったのですが、間が悪く残念です。小野寺は今年球団の育成選手として初のホームランを放つなど飛躍の年になりました。来年の活躍も期待したいですが、ホームランを量産するタイプではないため、両翼の長距離砲の新たなプロスペクトが欲しいところです。特に今年不調の中堅高山がずっとレフトで打席を与えられていたのは、個人的にはもったいないと思っています。
続いて阪神のアキレス腱こと近本。毎年上がり続ける打撃成績と球界トップクラスのセンター守備は野手で一番替えの効かない選手だと個人的には思っています。特に去年は開幕の不振時に福留がセンターに入るなどといった場面がありました。今は、もし彼が離脱する際には打撃でも実力が認められつつある島田がセンターに入るのでしょうが、2軍を見るとこちらも島田の昇格以降は中堅の江越が入り続けており、彼は個人的に非常に応援している選手なのですが、そろそろ下からの突き上げがあってもいいのかなと思います。よって、両翼の打てる外野手及びセンターを守れる選手は必要と考えます。特に両翼は打線の核になってほしい選手のいるポジションであり、ドラフトではこういった選手は基本的に上位でしか獲得できないことから、もし候補がいるようであれば上位を割く必要があるでしょう。

― 結論

以上まとめます。
投手:2軍でローテーションを守れるような投手、及び即戦力中継ぎ投手。できれば左。
内野手:打力のあるセカンドの上位候補がいれば獲得。また下位から育成で打力のあるファーストあるいはサード
外野手:打力のある両翼、及び本職センターの選手。

個人的な優先度としては
即戦力中継ぎ及び先発投手>=打力のある両翼>打力のあるセカンド>センターの選手>打力のあるファーストあるいはサードといった感じでしょうか。一般的に打線の中心選手はドラフト1,2位でしか獲得できない一方で、投手は下位でも覚醒する選手がいることから、今年は投手がいい年とは聞きますが、これと思う打者がいるようなら是非上位で獲得してほしいと思います。

以上が結論になります。もちろんドラフト以外にも即戦力であればトレード、FAといった獲得方法もあります。これから筆者もドラフト候補の勉強をして来週のドラフトに備えようと思います。ここまでありがとうございました。

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