医学書探訪 | 子宮頸癌取扱い規約 病理編 第4版
日本産婦人科学会、日本病理学会による「子宮頸癌取扱い規約 病理編 第4版(2017年7月発行)」を読んだ。
まず理解すべきなのは、現行の子宮頸癌の組織学的分類であろう。WHO分類第4版(2014年)に準拠したものにアップデートされている。
例えばすこし古めの教科書であれば当たり前であった、細胞診判定「ベセスダシステム」の分類であるLSIL(low-grade squamous intraepithelial lesion)やHSIL(high-grade squamous intraepithelial lesion)が、組織学的分類にも使用されるようになった。
ほかにも国際機関(具体的にはWHO、FIGO、AJCC/UICCなど)の分類に準拠したものを参考に、各所がアップデートされている。
ただ一方で、本書は2018年に発行となった新FIGO(The International Federation of Gynecology and Obstetrics)進行期分類には対応していないため、「子宮頸癌進行期分類」の項目はインターネット上に日本産婦人科学会がアップしている通知を参考にしてほしい。
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子宮頸癌はHPVワクチンについての報道が度々国内ニュースやSNSを賑わす状況にあり、関係医療従事者はみな忸怩たる思いであったはずだが、ここにきてようやく光明が見えつつある。
ワクチン接種の「積極勧奨」の再開、キャッチアップ接種、そして9価ワクチンの無料接種の開始などだ。
▶NHKによる9価ワクチン無料接種開始についての報道
▶厚生労働省の関連サイト
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WHOによれば、子宮頸癌は女性にとって4番目に多い癌で、2020 年には 604,000 人が新たに発症し、342,000 人が死亡したと推定されている。
恐ろしい病気であると同時に、HPVの特定のタイプ(ハイリスクHPV)が原因であることが多く、ワクチン接種と前癌病変のスクリーニングや、早期発見・早期治療で対策が可能な疾患でもある。
適切な学習、実践に努めたい。
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