ノンベジの国のクソ女さんたちへ愛を込めて
私の28歳は浮気女との同棲で幕を開けた。
だらだらと十余年続いた関係を終わらせる為のプロポーズ、終わらせた一年であった。
愛されるだけの価値が自分にはあるのだと信じ、相手の見たくない部分を見なかった結果、人生の大部分を無為にしてしまった。
彼女は普通に浮気をしていた。どうやら年下の文学少年たちが好みらしい。
私は普通にスマートフォンを覗き見たし、LINEのパスワードすら割り出して見た。
それを一年続けたのだ。浮気の証拠を固めるために。
一年間心を掻き毟られる様な気持ちで、冷めた様な関係性も、やはり多少の熱は残っていたのだと何処か冷めて俯瞰する私もいたが、これが愛着や恋なのか、殺意や独占欲なのか。この私を見ている私が一体誰なのかわからないような不思議な気持ちだ。
ハメ撮りは約束の一年でも摑めなかった。浮気相手のペニスのサイズや、女装姿と女性下着姿までは把握出来たが、意外と浮気女界隈でハメ撮りは一般性癖でないようだ。
仕方ないので浮気相手に撮ってもらった。
アレを手に入れた時の感覚は今でも忘れられない。
彼は律儀にも動画でくれたので、その声が私に現実逃避を許さなかった。
ああ、本当に終わっていたのだな と思った。
私は泣きながら別れ話をして、なんだかんだと関わろうとする浮気女を残して逃げるように海外へ来た。
まるで敗北者である。
すべて思い通りに進んだ一年だった。
信用出来ない相手と結婚する位なら別れたかっ
たし、海外にも挑戦したかった。浮気未遂でなあなあに終った前回と違い、今回はきちんと言い訳無用の証拠も得た。
しかし、まるでファンタジーの魔王のように
私は誰かに間違えていると、君に間違っていると言われたかったのだろうな。
だが私は勝利し、私は完遂した。
この世界は私のものだ。一欠片たりともくれてやるものか。
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