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タリバン政権下のアフガニスタンを舞台にしたアニメーション映画たち

時事的な導入になるのですが、アフガニスタンの話

アフガニスタンの各地が、反政府勢力であるタリバンによって次々に制圧されており、ついに首都カブールが陥落しようとしており、おそらくこの記事がアップされて、まもなくアフガニスタン政府は降伏を選択すると思われます。

歴史のまた一つの節目を感じるニュースです。

本来有利だったはずのアフガニスタン政府が、なぜこんなことになってしまったのかは、以下の記事がわかりやすく記してくれています。

Twitterなどでもリアルタイムで情勢を共有してくれている人も居て、緊張感が増しているのがわかります。この後、アメリカなども大きく動いてくると予想されるので、日本も緊急事態宣言だ台風だと大変な状況にありますが、余裕のある人は気にして状況を追っていきたいところです。

アニメーション映画のマガジンをやっていることもあり、せっかくなのでタリバン政権下にあるアフガニスタンがどんな状況なのか、というのをアニメーション映画で知ることができる映画があるのでそれを紹介します

ブレッドウィナー/生きのびるために

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ブレッドウィナー / 生きのびるために
(原題:The Breadwinner)
制作年:2017年 / 制作国:アイルランド・カナダ・ルクセンブルク共作
監督:ノラ・トゥーミー

2001年のアメリカ同時多発テロ事件後のタリバン政権下のアフガニスタンにて生活する少女パヴァーナが、家族の要であるはずの父親が連れ去られてしまったことから、男性に扮してどうにか状況の改善を図ろうとする物語です。アフガニスタンの過酷さだけでなく、“物語”の大切さを説く一面も持った映画です。

制作は『ウルフウォーカー』でおなじみのカートゥーンサルーン。
監督は『ブレンダンとケルズの秘密』のノラ・トゥーミーさん。
ポップで可愛いキャラクターデザインで親しみやすさがある一方、タリバン政権下の理不尽さが痛感できる体験と、悲しいだけではない落とし所が絶妙な一本です。

Netflixでは『生きのびるために』のタイトルで先行配信。その後劇場公開を果たし原題の『ブレッドウィナー』でも展開されているので、二つの邦題を持つ作品となっています。

カブールのツバメ / カブールのツバメたち

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カブールのツバメ / カブールのツバメたち
制作年:2019年 / 制作国:フランス・ルクセンブルク・スイス合作
監督:ザブー・ブライトマン、エレア・ゴべ=メベレック

1998年、タリバン政権下のアフガニスタンの街に生きる二組の夫婦、そしてタリバン側についている寡黙な男・アティクとその妻の物語が交錯する映画です。

地下教室で真の歴史を教える闇教師になるか悩む夫を、「最高じゃない 自由を教えられるなんて」と言えるズナイラが強くてかっこいいです。作中で活気のあったシアターの情景を想うシーンがありますが、近年カブールにも家族向けの映画館が出来たニュースがあったりと、この作品との繋がりを感じます。そんなカブールもまさに陥落を迎えようとしています。

日本ではTAAF2020などで上映された限りで、全国上映を果たしていないのですが、配信作品として上陸済み。一時期はアマプラやU-NEXTなどで有料配信を果たしていたのですが、現在は配信状況も変わってきており、多くの映像配信サービスで配信期間が終了。2021年8月現在だと楽天TV観られるようで、結構レア映画となってしまっています。レンタル7日間330円。

タイトルには映画祭などでのタイトルと、配信時のタイトルで「たち」が付いたり付かなかったりしてまして、こちらも邦題に揺れがあります。


戦争物って重くてとっつきにくいという人も多いと思いますし、ここで紹介している二本ももちろん“明るく楽しい映画”ではないのですが、重いとか辛いというドラマだけでなく、絶望的な状況下での希望も描いていたり、エンターテイメントとしてもしっかりおもしろい映画となっています。

あと注目点として、どちらも女性がメインキャラクターとなっており、タリバンがどう女性を扱っているのかという点も観ていくと今のアフガニスタンのあり様に危機感を感じられるのではないでしょうか。

どうしても遠い国の出来事ということで、ニュースに対する解像度が上がってこないと思うのですが、ここで紹介した映画を観れば、今起こっている事態への危惧であったり、少なくとも現在のアフガニスタンへの興味が増してくるでしょう

遥か彼方の国に住む一市民としてできることは限られているとは思いますが、まずは1人1人が“気にかける”か“気にかけない”かで日本としての総意のようなものにも変化が生まれてくると思うので、まずはアフガニスタンへの興味を生むためのフックとして、ここで紹介したアニメーション映画を活かしていただけたらと思います

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