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【映画レビュー】『アーロと少年』の感想。涙を流しながら「もう一歩」の札を上げる私

※この記事は過去にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開としております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12140340439.html

※当時ピクサー作品が個人的にイマイチめな流れだったことを踏まえて、読んでください。

ピクサー大丈夫か問題はまだつづく。

・・・ということでごめんなさい。
貶しっぱなしじゃないですが、文句多めのレビューなのでこの映画が「好き!」って方は読まない方向でお願いします。

『アーロと少年』のざっくりとした感想

アーロと少年
制作年:2015年 / 制作国:アメリカ
ピクサースタジオ制作 / 93分
監督:ピーター・ソーン

https://eiga.com/movie/77788/

「インサイドヘッド」に続くピクサースタジオ最新作。
公開延期を経て煮詰めに煮詰めた本作が、米国に約半年遅れて日本に上陸です。

本作の感想をざっくり一言言わせてもらえば

そりゃあ泣くけど・・・これはどうよ

という正直首を傾げたくなる作品でした。
もうちょっと詳しい感想を書いていきます。

言葉にしないところがやっぱりグッとくる!

先に言っておくと、この映画で私は二度泣いてます
あそこ!・・・とそことつながるあそこ。

「アーロと少年」では台詞で感情を伝えるところや、あまりにもベタすぎる演出が多々あったりで、正直『これはどうよ』ポイントが多めだったのです。ですがしっかりキメる所はキメるというか、この映画の重要な部分なシーンが非常に感動的でよくできたものだったので、私の感情が高ぶりました。

それはまさに“アーロ”と“少年”の重要なシーンであり、この映画の肝。
そこだけはちゃんと抑えられていて良かったです。
思えば「アーロと少年」ってタイトルは、確かに主旨に合った間違いじゃない命名っぷりだったのですね。原題は「グッドダイナソー」ですけど、意外とこっちの方が適当だと思います。まんまじゃねーかって言われればそうなんだけど。

ちなみにここじゃない。

どうした?湧き溢れるダメダメっぷり

・・・ではっきり言って上の褒めシーン以外は、結構ダメダメだと思ってます。(ごめんなさい)

なんというか、シュートはしっかり決めてゴールに入ったけど、全体的な試合はかなり微妙。

例えば、言葉で思ってることや、鑑賞者へのメッセージを伝えてしまっているところが多めなので、結局言葉でそのまんま伝えるなら「映画じゃなくていいじゃん」と思えてしまいました。

途中で出会うTレックス達(直立風に歩いてたのがちょっと気になったけど、さすがにうるさいか)との出会いによってアーロの心情も変化するのだけど、まんまTレックスさんが言葉にしてアーロに影響を与えるので、いちいちうまくない。PIXARってもっとさり気なく感情とか意図を伝える術がうまいと思ってただけに、あえて言葉にされてしまうと『すっごくかっこ悪く』見えてしまいました。しかもできるとこができてる(上記の感動シーン)だけに、尚更残念に感じました。

その他にも、アーロと少年が親しくなる描写が意外とぞんざいで、「あれ?いつの間に仲良くなってない?」って作中で思わされたり、土砂描写が前半であれだけ酷かったのに、後半の結果を見ると意外と無事くね?とか細かい突きどころも多かったです。

そしてラストもラスト、「アーロがあることをする」ところで映画終わりますけど、あれも『それはそれで話が違わね?』って感想が率直な感想でした。

エンディングのベストフレンドは、やっぱり名曲だなぁと思いながら、このモヤモヤを噛み締めました。
なんだよこの後味。

いつまで抱える気だ“リアルすぎて弊害”問題

そしてなにより皆が思っていることだと思っているのですが
ピクサーはいくとこまでいきすぎて、ついにリアルすぎて違和感!!という域に踏み込んでしまっています。

もはやテンプレート感想でもある「本物みたい」という感想を私も思ったわけですが、はっきりいってやり過ぎにしか見えませんでした。

・・・というのもアーロやスポットがかなりディフォルメされたデザインなので、あれだけリアルな背景に置かれると、浮いて見えてしまいました。
もちろん、表面の質感とか血が滲んでたりとかアーロのビジュアル的なディティールも凝ってるには凝ってるけど、背景が圧倒的すぎてそういうディティールじゃ調和できないレベルでリアルでした。

結果的に、ディズニーの過去作「ダイナソー」ぐらいの恐竜のほうが、この映画には馴染んだと思うのですが、それじゃあ見た目の魅力は半減したとも思うと、むしろアーロレベルのディフォルメ加減に背景の質を落とすほうが正解なんじゃないか……ってなると、これだけ凝ったのが裏目に出ちゃうって悲しい事態ですよね。

リアル描写への調和では「WALL・E」が依然完成形だったんじゃないかと思います。ピクサーはもうリアル化方面の能力値上げる必要ないんじゃないかな?

なんで「WALL・E」で出来たことが出来てないかって作ってる人が違うんですけどね。

そして、このリアルすぎ描写は私の苦手な“昆虫気持ち悪い問題”にも及んでました。この映画に出てくる虫描写・・・私の中でのアウトゾーンに入っているんですよね。「メアリーと秘密の王国」同様、目を覆いたくなるぐらい気持ち悪かったです。もっと虫嫌いへの配慮は心がけてくれたら個人的には嬉しいです。そういえば「WALL・E」のゴキブリは最適バランスでしたね。
奇しくもここも「WALL・E」が良例でした。


そんな感じで、今回もちょっと残念めな感想を抱いた作品でした。
ここ数年のピクサーはどうも私とは相性が良くないようでして、なんだか寂しくもあったり……。

ディズニーアニメーションサイドが文句なしの傑作を連続でたたき出してる分、名誉挽回の一作が欲しいところなんですが、私の中で『インサイドヘッド』がそれになりきれてないのがより残念なところです。

今年はPIXARがもう一本『ファインディング・ドリー』を出してくるので、今度こそ有無を言わさぬ大傑作が飛び出してくるのを期待しております。

※ちなみに以降、『トイストーリー4』からピクサーブランドの質は完全復活と考えております。

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