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【映画レビュー】こんな見た目で音楽映画!?意外と侮れない『カメの甲羅はあばら骨』の感想

どんな映画だよ、と思っていましたが、意外と楽しかった映画の話。

『カメの甲羅はあばら骨』のざっくりとした感想

『カメの甲羅はあばら骨』を見てきました。

カメの甲羅はあばら骨
制作年:2022年 / 制作国:日本
68分 / タイプゼロ制作
監督:モリ・マサ

https://eiga.com/movie/96449/

川崎悟司さんによる同名著書『カメの甲羅はあばら骨』をベースに、TOHOの幕間で上映されたショートアニメ『貝社員』を手がけたモリ・マサさんを監督に起用し、アニメーション映画化。どういう層に向けた映画なんだ!?と思いつつ、動物話は好きなので、気になっていました。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

よくこの題材で見応えのある映画にできたよ。

と言う感心させられる映画でしたよ。
良い意味で珍作。
一見の価値ありです。

ざっくりではなく、詳しい感想を書いていきます。


■物語の導入が上手い!一発で世界観を飲み込ませる!

本作を端的に説明すると、

「動物の骨格を持った人間たちの世界の……とあるスクールカースト最下層の少年たちの友情物語」

なんですが、そもそも動物の骨格を持った人間たちの世界ってなんだよ、という設定。原作本を知らないと唐突すぎるこの設定を、いかに飲み込ませるのかなぁ、と思ったらこれがまず見事!

骨を崇拝して、動物骨格化する讃美歌(?)から映画は始まります。

この掴みがもうすごい。
説明が必要そうな設定をざっと説明しながら

この映画どうかしてますよー。
コメディ作品ですよー。

というのをしっかりこの冒頭で示してしまう。
なんなら冒頭で一気に作品に引き込む。
という強烈なインパクトがあってナイスアイディアですよ。

冒頭のつかみで世界観やテンションを説明できて上手い!


■まさかの音楽映画!アガるクライマックス!

そして肝心の物語に入ると、骨格ネタを抑えつつも、スクールカーストのイケてない組のドラマに軸足を置きつつ、コミカルな友情劇に仕上げた優良作。

(C)カメの甲羅はあばら骨製作委員会 (C)川崎悟司/SBクリエイティブ

主人公の亀田は、カエル川とスクールカーストの下層の仲良しコンビ。そんな下層のはずのカエル川が急に人命救助をきっかけに人気者になってしまい、亀田がジェラシーを感じて、性格を歪ませていく……という、結構しっかり人間ドラマが描かれています。

正直どう活かすか悩むような題材を、工夫でちゃんと見応えのある内容に仕上げているのが見事です。

ストーリー重視にはなっている分、骨要素を弱めなのですが、そこを補うのが主人公の亀田の隠し芸“骨琴(こっきん)”

亀田はあばら骨を楽器にして応援するという隠し芸を持っているのですが、その得意技がしっかりクライマックスの見せ場となっているのが、骨映画ゆえのポイントとなっています。

そして、このクライマックスの音楽がまさかのめちゃかっこいい!

(C)カメの甲羅はあばら骨製作委員会 (C)川崎悟司/SBクリエイティブ

それまで情けない音色に聞こえていた骨筋に、盛り上がるアレンジが加わり、とんでもない聞き応えになっております。

やけに音楽がやけに洒落てると思ったら、今作で音楽を担当しているのは、「空色デイズ」の齋藤真也さんに、『劇場版呪術廻戦0』の照井順政さんといった豪華な面々が参加しているんですよね。

天月さんや高垣彩陽さんにも謎すぎる劇中歌を歌わせたりってところも攻め方がすごいですが、この映画、まさかの音楽が見どころとなっている、音楽映画ですよ。そりゃあサントラも出ますわ。

このみてくれでまさかの音楽が見所!クライマックスは必見!


■結果的にもったいないルックス!

観る前は、この映画誰が観に来るんだろう……なんてことを思っていましたが、蓋を開けてみたら工夫に富んだ面白い映画になっていて、びっくり。
セリフの余計な一言がまた面白かったり、モリ・マサ監督、長編もイケるんだ、という嬉しい発見となりました。

こうなってくると、ちょっと不気味なキャラクターのルックがもったいなく、そもそもの題材の癖が強すぎるのが、興行的には足を引っ張ってる気がします。

今回は動員数ランキングなんかには、名前が上がってこなかったタイトルとなりましたが、今後題材次第では大ヒット作がコロッと出てきてもおかしくないと感じました。

モリ・マサ監督、名前を覚えておいた方が良さそうです。
覚えやすいしな。

とっつきづらい見た目や題材で興行的にはだいぶ損している気がする。


まとめ

●冒頭のつかみで世界観やテンションを説明できて上手い!
●音楽がとても良い。
●モリ・マサ監督の名前を覚えておいて損はない。

というわけで意外な優良作でした。
たまにこういう掘り出し物が出てくるから、油断できないです。

あと、本編と関係ないんだけど、
週替わりの来場者特典があったことにびっくり。

コンプする人とか居るのか……!?


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