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【映画レビュー】30年の時を経て子供だまし映画へ進化!(泣)『黒猫警長之翡翠之星』の感想

※この記事は2015年にアメーバブログで投稿した記事の再編集版として無料公開しております。
https://ameblo.jp/nejimakikoibumi/entry-12085777356.html

中国の映画館で観た映画のレビューです。

『黒猫警長之翡翠之星』のざっくりとした感想

『黒猫警長之翡翠之星』──こと『黒猫警部 宇宙船グリーンスター』を観てきました。

黒猫警長之翡翠之星
制作年:2015年 /  制作国:中国
監督:ユー・ションジュン

夏に日本へ帰る前に見た一作ですが
すっかり感想を書き忘れておりました。
2015東京・中国映画週間で上映されるということで
珍しく邦題が定まっている一作でもあります。

見てきた感想をざっくり言うと

ガッカリの子供だまし

でした。

これから見る人も居るのにそういうこと言うなよ!
って感じもありますが、
もうちょっと詳しい感想を書いていきますね。


『黒猫警長之翡翠之星』のもっと踏み込んだ感想


■黒猫警部とは!?中国では誰もが知る往年の人気キャラ

そもそもこの黒猫警部とは、中国では非常に知名度が高いキャラクターです。1980年代に全5話の中編アニメ作品として制作され、なんとこの5話を2015年の今でも(!)繰り返しTV放送しており、何世代にも渡って知られるキャラクターとなっております。

現に私も3年前に中国にやって来ましたがすでに、何回も黒猫警部のアニメをTVで見ております。

意地悪な見方ではあるものの本作の魅力は黒猫警部の尖りに尖った正義感。
悪への容赦は半端無く、今回の映画にも登場する悪役イージーアールの耳をかつて撃ち抜いたのも黒猫警部です。

子供向けアニメとは思えない描写で、耳を撃ちぬかれて悲しむ彼。
それを見た警察たちは…..

高笑い。

どーよ、これ!

子供向けアニメのはずなのにこの外道っぷりはさすがだし、今もなおこれが放送され続けているのは非常におもしろい話です。

そんな黒猫警部の30年ぶりの新作と言われたら期待せずにはいられないわけです。

そんな前提の上での以下の感想です。


■意外とガッカリ!丸くなった黒猫警部!

こっから映画の感想。

冒頭、古い黒猫の絵で「请看下集」のイラストが出たのがまさかのピーク

綺麗なデジタルアニメの上に明らかに“浮いた”3DCGの飛行機が飛び交い出します。

あー、これ……ガッカリアニメパターンだ……
…….と早速察し。

今回の敵である
スペースゴリラが出てきたところでさらにガッカリ……。

いかにもアメコミ風の既視感バリバリのヴィラン。
新しさもなければ、黒猫警部らしさもないビミョーなデザイン。

極めつけは、ついに登場する黒猫警部!!

なんだか容赦なさがなくなって丸くなってる!
正義感はそのままに、穏やかさを兼ね備えた
アンパンマンみたいな性格のキャラクターになってしまっていました!
(ただしホログラムの助手は可愛いからアリ)

女性キャラクターに電話番号を聞かれて、110番を答えてしまう天然っぷりも披露して見事テンプレの善玉となってしまっておりました。

いやー……子供向けアニメのヒーローとしてはこれが正解なんだろうけど
黒猫警部って今風になるとこんな「普通のアニメになってしまうのか!」という悲劇を感じてしまいました。
(ちなみにその普通さも中国アニメ水準)


■このブタなんなんだよ!!そういうのじゃないんだよ!

そして個人的には一番の大問題。
新キャラとして子どもの豚くんが謎の登場!!

準主役として
運良く憧れの黒猫警部に出会い、助けられ
そして警部を大いに助ける役として大活躍します!!

……。

そういうのじゃないんだ!!
そういうのを求めてなかったんだ!!

終盤この男の子が
子供と思えないほどの黒猫側の大戦力として活躍するって…..

それもおかしいじゃん!!
こないだまでフツーの生活していた一般人なのに
どんだけの実力あるんだよこの子!!

もっと黒猫警部の悪に容赦しない最新の活躍を見たかったのに、こういうぬるい新キャラクターを活躍させられても興ざめだし、結局、人並み以上の実力を持った少年なので共感性がまったくないドラマに。
ご都合主義感丸出しの仕上がりとなってしまいました。

重力を操作する機械を使った戦いや
黒猫警部の変形型バイクマシンなど、
素材としてアガるものがちょいちょいあるのですが
結局子供だましに落ち着いてしまうのか、
非常に不満な一作となってしまいました。


最後、
警部と少年豚くんが握手をするシーンで提携銀行の広告したり
地下鉄が明らかにおかしいとこを開通していたり、と
愉快な突っ込みどころは多数あるんだけど……
なににしてもふつーのキッズ映画でした。

エンドロールで旧アニメが再生されるのですが
今思うと、あの味があってこその黒猫警部なのかもな!
とも思わされました。

日本上映を見に行かれる方は是非
旧版を見てから比較して見るのをオススメします。


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