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【映画レビュー】アンネの日記で現代人の頬をぶっ叩くような傑作!『アンネ・フランクと旅する日記』の感想

レビュー掲載が遅くなってしまったのが申し訳ないのですが、すごく良かった映画です。

『アンネ・フランクと旅する日記』のざっくりとした感想

『アンネ・フランクと旅する日記』を観ました。

アンネ・フランクと旅する日記(原題:Where Is Anne Frank)
制作年:2021年 
制作国:ベルギー・フランス・ルクセンブルク・オランダ・イスラエル合作
99分
監督:アリ・フォルマン

https://eiga.com/movie/96350/

第2次世界大戦下のオランダにてアンネ・フランク氏が記したとされるアンネの日記を原案に、『戦場でワルツを』『コングレス未来学会議』のアリ・フォルマン監督がアニメーション映画化。アンネの空想の友人であるキティーがタイムスリップして、アンネの生涯をたどる作品です。

本作を観た感想をざっくり一言で言うと……

むっちゃ良かった!!!

“歴史物の重そうなやつかな”と思いきやちゃんとポップ!
『戦場でワルツを』『コングレス未来学会議』と同じ監督とは思えない明快さでありつつも、刺すとこちゃんと刺してくるバランス感がさすが。

「アンネ・フランクって誰?」とか「なんか日記が有名な人」ぐらいにしか知らない人でも、全然行ける行ける。むしろあんまり知らない方が、本作の主人公であるキティーに気持ちを乗せやすいぐらいあるかもしれないぐらいでした。

ちなみにそのあたりの話はアニギャラREWさんにて書いております(↓)

アニギャラREWさんでは書いていない部分で、ざっくりではなくより詳しい感想を以下、書いていきます。

アリ・フォルマン監督とはどういう監督か

『アンネ・フランクと旅する日記』を監督したアリ・フォルマン監督と言えば、現実とアニメーションを混在させるような手法でおなじみ……といった監督だったのですが、意外だったのは今作はその要素がパッと見ではこれまでの作品に弱かった点が気になりました。

ドキュメンタリーをアニメーションで描きながらも、ラストでグッと現実に肉薄させる『戦場にワルツを』とか、現実世界とアニメーションの世界を物語上でシームレスに繋ぐ『コングレス未来学会議』など、かなりトリッキーなことをやってきたことと比べるとこの『アンネ・フランクと旅する日記』はおとなしめでした。

意図的に、今回はおとなしい演出にしたのかなー……と思いきや、実は当初は2Dアニメーションとストップモーションアニメーションを組み合わせた作品にしようとしていたとのことで全然奇をてらったことをやろうとしていたようです。(↓)

残念ながらそれは実現しなかったようですが、その名残は一応本編の一部背景が実写のシーンに流用されているわけですが、それでも本作は映像的な奇抜さは弱めでした。

正直、奇抜な映像にしなかったことが意外と本作を観やすい作品にできてるのかも、とも思ったり。

大胆なギミックによって強烈なフックこそ失ったけれども、その落ち着いた雰囲気と、大きくは変わらない画面から古き良きアニメーションを観るようにこの映画の物語を追えるようにできていて、結果的に親しみやすい作品につながったように思います。

スクリーンショットではそこまでパンチを感じなかったけど、ナチスのデザイン(やたら不気味で良い)とか映画スター達との突撃シーンとか、意外と映えシーンも多かったですしね。

もっとお客さんが入っていいような傑作!

一方で、やはりフックは失っているので、それほどお客さんが入っていないような現状が非常に残念

公開2週目の時点で1日1回の上映しかないような映画館も多くて、観に行きたくても行きにくいような状態になってしまっているんですよね。

ただ、上映終了の劇場も多い中ですが実はこの週末や5月から上映を開始する映画館もあるようなのです(↓)。

このnoteでは、応援を十分にできていませんでしたが、これから公開する地域の人に少しでも届いて欲しいな、と思いながら書いていますよ。


原題の「Where Is Anne Frank」……「アンネ・フランクはどこ?」と言うこのタイトルがただ単にキティーのセリフをなぞっただけのものではありません。

アンネの日記を擦りに擦り続けて半世紀以上。
君たちはどう変わったんだ、とこの映画が日記で思いっきりぶっ叩いてくれるような作品となっております。

原題の真意を受け取った時のこの映画の攻撃力は絶大な傑作ですので、ぜひぜひ映画館に足を運んでくださいませ。


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上映情報が明らかになった際にあげた予習記事(↓)


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