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【映画レビュー】まずは一撃!『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』の感想

浅野いにお先生の漫画では『おやすみプンプン』が大好きだったんですよ。

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』のざっくりとした感想

『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』を試写で観させていただきました。

浅野いにお先生の原作漫画作品の初のアニメーション映画化。
2014年〜2022年にかけて連載されていた『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション』を前後編の長編作として上映。こちらはその前章。
主演キャストには、YOASOBIのボーカル、幾田りらさんと、今や大人気のマルチタレントあのさんが選出。なぜか監督というクレジットが公表されておらず『ぼくらのよあけ』の黒川智之さんがアニメーションディレクター、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』シリーズの吉田玲子さんがシリーズ構成・脚本、『地球外少年少女』のProduction +h.がアニメーション制作を担当しています。

本作を観た感想をざっくり一言で言うと……

今の所……快作。

原作未読派にこそオススメしたい変則青春SFストーリー。前後編ですが、この前半だけでもしっかり心にズシンとくる起承転結があります。

一方で原作既読組は「えっ!?」と構成に驚いて、多分後編をどうするのか気になるはずです。


映画の内容に踏み込んだもっと詳しい感想を書いていきます。


『デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章』のもっと踏み込んだ感想


■これが浅野いにお作品の映像化か!

まず第一に言及したくなる部分は原作漫画を読んでいた身なので
「映像化するとこんな感じになるのか……」
という感想ですよ。

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やっぱり浅野いにお先生の作品の映像化は実写作品こそあれどアニメーション化はほぼ初めてなので、『デデデデ』のキャラクターが動くとこんな感じなのかといった部分や、時折登場するギャグみたいな造形のキャラクターもそのテイストで登場するのか!みたいな驚きがありました。

一方で細かいところにはショックも。

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宇宙船や宇宙人の言語に関して、漫画では奇妙なひらがなのような文字でその異質さを表現していたのですが、果たしてどうアニメーション映画化するのか?とワクワクしていたところ……

作中、割とそのまんま“謎ひらがな”が映像として登場したのにはビックリ

それは白旗だよ。

宇宙人たちの言語もそれとない割と普通な謎言語として再現されていて、意外と“普通”だったのが少し残念だったり。期待していた映像化とはちょっと違ったというのが正直な感想かもしれません。

もちろん、良かったところもゼロではないです。

映像作品ならではという意味ではBGMとして、さり気なくでんぱ組.incの「あした地球がこなごなになっても」が挿入された時は衝撃。

歌唱部分はなかったので、すぐにこの曲とは気づかなかったのですが、この頃のでんぱ組.incの曲をめっちゃ聞いていたので、何だか聞き覚えのある曲の一説に自然とせつなさがこみ上げて来ましたよ。

この曲は浅野いにお先生が作詞やアートなどにがっつり参加していて、リリース時は漫画の連載の最中でもあった曲なんですよね。
個人的にはかなり嬉しいサプライズでした。

まぁ、これも“アニメーション”ならではの演出ってワケでもないんですが。

原作漫画の映像化としてはアニメーション的な魅力は弱め


■根本的な物語のポテンシャル

とはいえ、映画が面白くないかと言われればちゃんと面白いです。
だって原作がちゃんと面白かったから。

原作漫画では結構終盤で明かされる「門出とおんたんの秘められた過去の話」を原作漫画から構成を思いっきり変更して、まさかまさかの前章のクライマックスに持ってくるんだからびっくり。

(C)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

『デデデデ』は青春群像劇としての面白さの部分と、SF的な面白さの部分があるんですが、前章では後者をオチに持ってくるようなスタイル

「まさか“そんな話”だったとは……!」

という原作においても衝撃を受ける大きな山場をしっかり前章で味わえるのは親切だと思うし、前後編にしたはいいけど前半で盛り上がりに欠けてしまうというパターンを回避できてるベストムーブだと思いましたよ。

そういう意味で、原作漫画を読んだことない人にこそオススメできますわ。

問題はここからどう後章に持っていくのかという点。
明らかに原作漫画とは違った構成で進めていくことが必至なので、大きく結末は変わることはないと思うけど、いったいどんな進め方をしていくのか原作漫画読んだことある派としても楽しみではあります。

もともとの原作漫画が面白いから、映画もちゃんと面白いよ。


■あのちゃん最高!おんたんのハマりっぷりがすごい!

あとやっぱあのちゃんことあのさんですよ、あのさん。
おんたん役を務めるあのさんが良い仕事をしているのです

(C)浅野いにお/小学館/DeDeDeDe Committee

幾田りらさんは『竜とそばかすの姫』で声優できるのは知ってたけど、今回はむしろあのさんの活躍に感心。あのさんのハマり役ぶりというか、解釈一致ぶりが凄まじいです。多分ナチュラルに声優業も上手いんだと思いました。

前章の内容的にはおんたんよりも門出の物語の方が色が強いはずなんですが、思いっきりおんたんが門出役を喰ってると思いましたよ。

おんたんがどこかあのさんっぽいせいかもしれないので、別のタイプの役でも声優業での活躍も見てみたいです。

あのちゃんのおんたんがハマりすぎ!


まとめ

●“アニメーション”としての面白さは弱め
●だけど原作漫画が面白いし、原作漫画既読派も驚きあり
●あのちゃん良き。

という感じで、ひとまず前章で良くも悪くも一発かましてくれた感じの『デデデデ』でした。

さぁここから、前章の評価も変化してくる後章に向かうワケですが、後章の公開は4月19日……!


ではなくて

公開は約1ヶ月ほど延びて、5月24日(金)に変更

ブラッシュアップに頑張って欲しいので全然構わないのですがGWを逃すのは興行的には痛かったり......するのかな。


公式サイト


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▼今回の映画の予習記事はこちら

▼アニメーションディレクターの黒川智之さんの前作のレビュー


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