【映画レビュー】02映画としては上手くいってないけどプチホラーとして良く出来ていた『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』の感想
そういう路線で来るんだ!とびっくりした映画でした。
『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』のざっくりとした感想
『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』を観てきました。
2000年に放送された「デジモンアドベンチャー02」の登場人物たちのその後を描いた劇場版が登場。本宮大輔ら“選ばれし子どもたち”が大冒険を繰り広げてから10年が経った2012年を舞台に、世界で初めて“選ばれし子ども”になったという謎の青年・大和田ルイが今回初めて登場します。
監督は『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』や『夏へのトンネル、さよならの出口』の田口智久氏が務めます。
ちなみに私はデジモン直撃世代なので、『02』も当時見ていました。
そんな私が本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……
優良作。
『02』の後日談的な色は思った以上に申し訳程度。
オリジナルキャラのルイくん周りのエピソードがメインで、これが思った以上に不気味かつ悪趣味で最高。単発の一本としてたっぷり楽しませてもらいました。
映画のネタバレにも触れるもっと踏み込んだ感想を書いていきます。
『デジモンアドベンチャー02 THE BEGINNING』のもっと踏み込んだ感想
■『デジモンアドベンチャー02』の後日談エッセンスは薄め?
前作『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』がTVアニメ『デジモンアドベンチャー』を踏まえてその後日談……そしてラストを描こうという試みでした。
続編のTVアニメ『デジモンアドベンチャー02』の後日談を描いた本作も同じように『02』シリーズのフィナーレを描いたのかと思ったら……
全然そういうのじゃありませんでした。
あくまでも後日談というだけで、今回の映画は『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』のようにTVアニメ『デジモンアドベンチャー02』のフィナーレを描くようなものではありませんでした。
懐かしの進化の演出や主題歌など、かつてのTVアニメを観ていた人がグッと来る要素はもちろんあるのですが、その演出の使い方も「熱い場面」というよりも「割とどうでもいいような場面」とか、敵があんまり強そうではない「いまいち盛り上がりきれない場面」で使われている状態。
当時『02』のTVアニメーションを観ていた身としては懐かしさよりも、なんでもっとうまくやってくれないんだ、という歯痒さの方が強かったです。
そういう意味ではかなり残念な映画でした。
■デジモンを使ったホラー作品?凶悪映画
じゃあ、この映画自体が残念な物だったかといえば……
そうじゃないのがこの映画の肝!
この映画で初めて登場する映画オリジナルキャラクターのルイくんのエピソードはしっかり面白いです。
父親が重病で、母親もナーバスな状態となっていたせいか、虐待を受けていた幼き頃のルイくん。そんなルイくんを助けるために現れたのがデジモン・ウッコモン。
ルイくんを救うためにウッコモンは親の病気を治したり、母親を優しい性格にしたり、友達ができるようにしてくれたりとなんでも望み通りにしてくれます。
しかし実はそのためにウッコモンが両親を人形のように操っていたりと判明してからが地獄。事故的に負傷したルイくんに自分の片目をプレゼントしたりと悪夢に悪夢が重なり、ついにはルイくんに拒絶されたウッコモンがアイスのように溶けていく描写の不気味さはもはやホラー。
良い意味で印象深い悪趣味さに、デジモンでこういうアプローチを見たことがなかったので新鮮で楽しかったです。
「デジモンでこういうこともできます」というお披露目の形をするには、完結を描いたばかりの『デジモンアドベンチャー』や世界観が特殊な『デジモンテイマーズ』や『デジモンフロンティア』といった作品よりは『デジモンアドベンチャー02』が適任だったのかもしれないですね。
■結局腑に落ちてない最後の戦い
このウッコモンのホラー描写は良かったのだけど、そのエピソードと『デジモンアドベンチャー02』のエピソードとの繋げ方はこれまた上手くないのが悩ましいところ。
ウッコモンがルイに友達を作るために同じように、「人間にパートナーとなるデジモンを与える」という行為がTVシリーズで描かれた“選ばれし子供達”の正体だったわけですが……
あまりにも遠回しすぎるし、結構強引な設定過ぎて腑に落ちない。
しかも、今度はそれが全世界の人間にパートナーデジモンが与えられそうになる……という展開に「急に現れたら混乱を招くから危険」として阻止するのもなんだか早計すぎる気が。
パートナーとしての存在なら、悪霊とか害獣が解き放たれるのとは違うように思えて、正直パートナーデジモンを“持っている側”の傲慢に見えて、納得いかなかったよ。
私は全然パートナーデジモン欲しかったよ。
君たちだけずるい。
というかそもそもこのデジモン達とはズッ友だよみたいなラストも『デジモンアドベンチャーLAST EVOLUTION 絆』で消えてったパートナーデジモン達の話に言及されないからアレってなんだったんだという気もします。
まとめ
というわけでなんだか変な方向に尖ったデジモン映画でした。
もっとやりようがあったんじゃないか……とも思うのですが、このまま02シリーズを擦りながらいろんなデジモンアニメ作ってくれるのならそれはそれで良いかも。
あと、細かい良かった所としては、最後にD-3が消えていく描写はタイアップ商品に縛られていたデジモンシリーズがかつての縛りから解放されたようで感動的でした。(嫌な見方)
順番的には次はTVアニメシリーズ第3弾『デジモンテイマーズ』の後日談が映画化されてもおかしくないのだけど、このシリーズこそ私は大好きなので、今作を見るに変に変えられるならやらないで欲しいなァ……。
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