見出し画像

【映画レビュー】どう考えてもどうかしている『映画おしりたんていシリアーティ』の感想

割と公開出遅れてのレビューとなりましたが、まだ間に合うはず。
結構どうかしている映画のお話。

『映画おしりたんてい シリアーティ』のざっくりとした感想

『映画おしりたんてい シリアーティ』を観てきましたよ。

映画おしりたんてい シリアーティ
制作年:2022年 / 制作国:日本
東映アニメーション / 50分
監督:門由利子

https://eiga.com/movie/96306/

東映まんがまつりのレギュラー作品として活躍してきた児童書発の人気アニメシリーズ『おしりたんてい』が、劇場版第4作目にしてついに単独作として公開!同じく尻型のキャラクター、犯罪者シリアーティとの対決が描かれるのですが、まさかのボイスキャストが福山雅治さんだというのだからびっくり。監督を務めるのは今作が長編初監督となる門由利子さんです。

ちなみに同時上映短編『映画おしりたんてい 夢のジャンボスイートポテトまつり』には『深海のサバイバル』の入好さとるさんが監督に名を連ねています。

本作を観てきた感想をざっくり一言で言うと……

どうかしていた。

と言う感じで良し悪し以上に、その異色さが際立つ映画でした。

『おしりたんてい』シリーズのどうかしている成分をちゃんと濃く、スケールを広げた初の単独長編映という立ち位置に恥じない一本。最後をシュールギャグでバシッとキメたところで不覚にも「カッチェー......」と思わされた時点で私は飲まれている。福山さんに何やらしてんだ。

一方で、謎解き要素が少なかったのは少し寂しめ。そういった面白さも少なかったせいか本編はもともと短いのに、それでも中盤に結構退屈さを感じたり。長編前の同時上映短編も地味に長い。

https://eiga.com/movie/96306/gallery/2/

あと、ヒロインのオードリーはとても可愛い。

以下、ざっくりではなくネタバレも含むもっと少し詳しい感想を書いていきます。

これまでのおしりたんてい映画の印象

これまでに『おしりたんてい』は3作品の中編を『東映まんがまつり』の一環として制作し続けてきました。

歴代おしりたんてい映画シリーズ
2019:映画おしりたんていカレーなるじけん
2020:映画おしりたんていテントウムシいせきのなぞ
2021:映画おしりたんていスフーレ島のひみつ

『おしりたんてい』の映画といえば、おしりたんていが何らかの事件に巻き込まれ、数々の謎解き要素をくぐり抜け、最後には特大の放屁でその場を収めると言うのがパターンの作品でした。

擬似参加型映画というのか、映画の大画面を使って遊ぶスタイルは、そのほかの未就学児向けアニメ映画(本作は低学年ぐらいまでが対象でしょうが)とは違った試みで、かなり好きでした。

が、今回の『おしりたんていシリアーティ』はその要素を結構削減。
定番のおしりを探せゲームや、開かずの間の暗号などはありつつも、新鮮味のある仕掛けもなくて、結構残念だったのです。

“シリアーティ”という高火力の飛び道具

じゃあ、『おしりたんていシリアーティ』は面白くなかったのかといえば、映画おしりたんていシリーズでは、この映画がぶっちぎりと言ってもいいぐらい好き、でした。

その理由はなんと言ってもシリアーティですよ、シリアーティ。

https://eiga.com/movie/96306/gallery/6/

もうデザインから勝ち。
鋭い眼光と、妙におしゃれなマスク(パンティー)、微妙な薄毛という明らかにおかしいセンスなのにしっかりカッコ良く見える絶妙な落とし所。
そして、さらにそこに福山雅治さんの声を乗せるのだから間違いない。

もともと『おしりたんてい』って、おしりの顔した探偵が「においます…」って言ったり、おならのような必殺技を放って周囲が劇画調になる、といったくだらないシュールギャグアニメという側面があったわけですが、まさにこのシリアーティはそのシュールギャグの側面を最大限に高めたようなキャラクターとなっていました。

クライマックスで、怪獣バトルかよっていうぐらいのオナラとオナラのぶつかり合いは、しっかり映画サイズのくだらなさとなっていて、笑うしかなかったです。

そして、そこからの海岸オチね。
なんか最近『ヴェノム2』でも観たなぁと思いつつ、意味はよくわかんないのにやたらかっこいい締め方は、この映画ならではの“正解”を極めたかのようで良かったです。

短編の使い方はあまり肯定できない?

逆にものすごくビミョーだなぁ、と思ったのが短編『映画おしりたんてい 夢のジャンボスイートポテトまつり』。

https://eiga.com/movie/96305/gallery/2/

実はここで描かれていることが『映画おしりたんていシリアーティ』の伏線になっていたり、おしりたんていがスイートポテトが好物という説明という役割を担っているのですが、正直これ単体では面白くないので、ビミョーな前日譚をただ見せられているだけで、あまりポジティブな感想が漏れない存在となっていました。

“ゆうき”と“せんい”が必要だ!
ってダジャレも言うほどうまくもなければ、話にも効果的に効いてないし、妙に冷める内容で、悪い方のくだらなさに映ってしまったのは残念。

くだらなさって武器を効果的に使うのって結構至難の業なんだなぁ……としみじみ思ってしまいました。この映画、逆に考えると、むしろシリアーティという存在がいなかったら、結構な大事故になっていた可能性もあるな、という危険なバランスの映画だったように思います。


そこそこお客さんも入ったようなので、良かった点を高めて、悪かった点を反省し、次回こそおしりたんていの映画シリーズの決定版を生み出して欲しいです。どれだけの人に望まれているのかはわかりませんが。


関連記事

予習記事(↓)


noteはほぼ毎日更新実施中!
更新情報が届くので、ぜひフォローよろしくお願いします。

コアな内容をお届けする月額480円の購読マガジンもやってます。
購読者増加中!ありがとうございます。

<記事購読メリット>
・よりディープなアニメーション映画の世界を紹介
・購入月の記事の有料範囲も読み放題
・単品購入よりも圧倒的にお得!

過去のアーカイブも月間ベースでご購入いただけます。
買い切りの方で買ってくれても嬉しいです。

お仕事も引き続き募集中ですので、お気軽にご連絡くださいませ。

nejimura@gmail.com

ここから先は

0字

月20回以上更新(多分)。一記事あたり25円以下でお楽しみいただける計算となっています。クレカ決済だと初月無料です。

アニメ映画に関する最新情報、イベントレポート、古今東西のアニメ映画作品レコメンド、海外アニメ映画事情、Tipsなどなど…アニメ映画に関する…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?