コマ大戦
「全日本製造業コマ大戦」
数年前、中小製造業の雄「由紀精密さん」が展示会で配布用にと「とにかく良く回るコマ」を作り、それをもらった同じく製造業等の面々が「コマならどこの会社でも作れるだろうから皆で作って競わせたら面白いんじゃない?」という話になったのが事の発端です。その後2012年の「テクニカルショーヨコハマ」で第1回大会が開かれ、以降全国各地で大会が開催されるようになり、コマ大戦協会も任意団体から現在はNPO法人となっています。
自分的には旗揚げした方々を元々良く存じていましたので当初から少しですが関りをもってはおり、ですが、実際に大会にでるという話になると、もう全然うちのような「切削系はど素人」には縁遠い世界ではありましたので、一観客として見ていた時期がかなり続きました。
そんな中でも何度か参戦はしたのですが、当たり前のようにまるで勝てず、この「勝てず」はトーナメントで上に上がれず、ではなく、対戦中に1回も勝ててないという事で、それぐらいまるっきりでした。
第1回開催時はほぼ、いかに良く回るかに主眼がおかれた「普通のコマ」が主で、その後一部「開き系」などというトンデモなのが作られる事もまれにありましたが、そうそうどこでも作れるものではなく、また上下逆にして回し重心を上にすることで飛ばされにくくするという対策や、その後高さの制限も出来たこともありめっきり見なくなる中、比較的小径で良く回るコマにして「相手と逆の回転で回し相手の力を吸収して最終的に勝つ」というのが一時トレンドとなっていました。
(余談。この当時は同体も多く、まー大会の時間が長かったです)
この手のコマだとさらにうちのような「精度の良いものなんか作れないところ」はもう相手になんかなるわけないんですが、誘われて大会(両毛場所)に出る事になりましたので、この手の相手に何か対策できないかなと、試しにうちのねじ(ナベ0番1種M2×3)を相手のコマに当たりそうな高さの『片側にだけ』締めこんでみたら、これがまあものすごい破壊力でして。
これはスゲーぞと勇んで大会に臨み、が、皆に知られてない形状なので逆に変なプレッシャーもかかってしましまして足がガタガタの中、一回戦が運よく「良く回る小さ目のコマ」という事もあって何とか無事初勝利をあげる事ができまして、以降この「イボ系」がコマ大戦の中でも完全に一つの戦型となったようです。
ちなみにそれまでにも、外周をギザギザにするとか突起を数か所付けるとかなコマはあったとは思います。が、この「片側のみ」ってのがキモだったんだようですが、自分的にはこうすれば相手を飛ばせるだろうってな確固たる考えがあったわけではなく、数か所ねじ締める時の位置決めができないから一本でいいや、っていうのが実情で、それがたまたまいい結果になっただけでして。
大会の結果が良いと良く話しますが、うちの旋盤は家庭用100Vで動く卓上旋盤しかありません。ねじを締める時はハンドタップでの加工用にボール盤で穴をあけますが、位置がずれる事も普通にあり数個ねじ締めると一直線になって無い事の方が多いです。
でもそれって勝敗にはほぼ関係のない事。別に見た目の綺麗さや機械で回して良く回るのを競う大会ではなく、決められたルールの中で人がコマを回していかに相手に勝つかが「コマ大戦」ですから。
うちは私1人で運営している超極零細まち工場です。ねじ製造がメインなので切削系の技術は何にもありません。ですが、おかげさまで今までに2度優勝も出来、大会で上位に行く事もちょこちょこありますので、これはコマ大戦で勝つのは参加する会社の規模や業種によるわけではないという一例にはなるかと。
これがコマ大戦の醍醐味だと思っていますm(_ _)m
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?