昇華〜抽象的人物画〜

ネジの絵はぱっと見、人物画に見える。

主に女性、特に人魚が多い。

けれど、実は抽象画だと思っている。

人物を描くことそのものが
目的ではないからだ。

モデルもいなくて、
自分の頭の中と手で産み出される架空の姿。

その「彼女たち」が、
ネジの感情の状態や表したい感覚を
役者のように表現し、代弁してくれる。

表情や手の動き、
髪の毛の流れ方、
あらゆるものを使って。

裸の絵に抵抗を示す人もいたが、
自分の心の醜い部分もすべてをさらけ出す作業なので、
服を着せてしまうと意味をなさなくなる。

苦しみも悲しみも寂しさも、
すべて彼女らが背負ってさらけ出してくれる。

そうして、ネジの感情は昇華される。

作品となった彼女たちは、
人の目に触れて、心に触れて、
もう一度、生まれ変わる。