クラウドになれる日がきたので思い出を振り返る
2020年4月9日.
現在の時刻,22時55分.
いま,我が家のPS4ではFFVII REMAKEのダウンロードが進行中だ.
この時間になると,ただただインターネット回線が細い.
ダウンロードは遅々として進まず,残り時間は2時間と3時間を行ったり来たりしている.
そんな画面を眺めて座して待つのも尺でシャワーを浴びているうちに,クラウドとかいうキャラクターがいかに自分に重ならずいたか,気がつけば思いを巡らせていた.
多分このゲームは,このゲームがどんなものであろうと,積み重ねてきたニアミスの過去にピリオドを打つ一本になる.
ねとらぼで繰り広げられた企画の題をもじるならば,「僕はクラウドではなかった」し,重ねていえばどちらかといえば「クラウドは敵の方が多かった」.
人生の中で何度も遭遇しては現在進行形で遠くにいるクラウドとそんな自分に向けて,少しだけ思い出を振り返ってみることにする.
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クラウドを初めて知った記憶は,もう曖昧になっている.
おそらく同級生がクラウドの真似をしていたのが,クラウドという概念を知った最初だと思う.
スカしていてクールで,大剣を振り回すゲームのキャラクターがいるらしい.
特に気にもとめず,僕はポケモンのレベルをひたすら上げたり,コロコロコミックを繰り返し読み返す日々を送っていた.
そんな僕が初めてクラウドと遭遇したのは,キングダムハーツIIだった.
正確にいえば,キングダムハーツII Final Mixという,キングダムハーツIIの拡張版だ.
KHIIのクラウドは,どうやらソラの顔見知りらしかった.
らしかった,というのも,僕は「やりたいゲームは最新作を遊べばいい」というモチベーションでKHIIFMを選んで買ってもらったからだ.
シリーズを一貫したシナリオを当時は全く意識してゲームを遊んでいなかった(むしろドラマチックなゲームはほとんど遊んでいなかった)無知ゆえの,勢い任せのKHII初プレイ.
物語が進んで到達したホロウバスティオンという街で,金髪の男が姿を表した.どうやら,これがあの有名なクラウドらしい.
ハーンとなりながらも僕は雑に本編を進めていき,クラウドと別れて次の世界に旅立った.
ここで,KHII世界のクラウドとの思い出は,一度途切れることになる.
なぜなら当時の小学生の僕は,少し先のボス・ザルディン戦で戦い方がわからず完全に詰み,KHIIを一度わきに避けることになるからだ.
ひとまず,自分の中でぼんやりと息づいていたクラウドという概念が,初めて形になったのがKHIIだった.
この時点では,クラウドに対する思い入れは,言ってしまえば皆無.
僕は元気で頼もしく前に進むソラ一行やカッコイイ遊戯王の決闘者やモンスター,ポケモン,友達との対戦ゲームでいかに勝つかに夢中で,クラウドはあくまで名前のあるサブキャラの一体だ.
ただ,「こいつは普通に強いんだろうな」という,この時点でも垣間見えるマイオナじみた強さへの印象だけが,思い出として残った.
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次にクラウドと遭遇したのは中学生のころ,PSPのDISSIDIA FINAL FANTASYだった.
今でもシリーズが続く,歴代のFF主人公らやヴィランが縦横無尽に飛び回る対戦ゲームで,僕は「こんなゲームがやりたかったんだ」としゃぶり尽くしたMHP2ndGを放って飛びついた.
幸い当時の友人らも興味を持つ者が多く,手塩にかけて育成したヒーロー・ヴィランを操って勝った負けたの戦いを毎日のように繰り広げていた.
まあ,当時の僕は1本もFFシリーズを遊んだことがなかったのだけれど.
単純に,対戦アクションゲームとしての気持ちよさとカッコよさに惹かれて,どこかの世界で活躍していたキャラクターに愛着を持って使っていたのだ.
要は,スマブラと同じ感覚だった.
閑話休題.
DFFでも,クラウドは普通に強かった.
自慢の大剣は大振りながらもキレがあり,パワフルで,対処が難しい.
当時の僕らは,スマブラのシールドや,三国無双の防御や,KHのリフレクトガードにまるで頼らない,当てるか避けるかで生きているガチャプレイヤー達だ.
そんなコミュニティの中で,クラウドの突進能力と広い追尾性能は猛威をふるった.
通常攻撃から派生してHPにダメージを与える超究武神覇斬,ギリギリまでエイムしてくる突進攻撃・ブレイバーは,半端な育成と実力のキャラクターをあっさり破壊してみせた.
初心者オススメキャラクタークラウド.
彼を前にして,僕はといえばFFIIIのオニオンナイトや,FFIVのラスボス・ゴルベーザを使っていた.
クラウドはシナリオモードで使ったっきり,育成すらもしなかった.
友人とのキャラ被りを避けたかったというのもあるが,クラウドのまっすぐでパワフルな強さに面白さを見いだすことができなかった.
小さくいなしながら動けたり,不意をついて大ダメージを与えられる,ギミックが面白いキャラクター.
クラウドはまあ,普通に強いんだろう.相手をするには厄介だし人口も多い.
ちゃんと使わなくても「こんな動きができて強いんだろう」と想像に難くなく,当時の僕の中では事実その通りだったクラウドへの開拓は,興味の対象外だった.
ここでも僕は,クラウドになることはなかった.
そんな中で,僕はFINAL FANTSASY VII ADVENT CHILDRENを友人から借りて観ることになる.
どちらかといえば目的は,FF7ACに当時付属していたFF13の体験版だった.ゲーム雑誌で美麗なグラフィックとカッコいい戦闘を目の当たりにして,初めてFF本編のプレイを決めた.
小学生当時クラウドの真似をしていた友人が,FF7ACのブルーレイ版を買っていた.
是非にとお願いして,FF13の体験版ごとブルーレイを貸してもらう.
体験版をサクッと遊んで13発売に期待を高めた後に,AC本編の視聴を開始.
ゲームではなくて映像作品に,なぜそんなに面白い面白い言っているのか,あまりわからないままの視聴開始だった.
この時点でも僕の中でのFF7知識は,ペラッペラなものだった.
クラウドとエアリスがいて,何人か仲間がいて,セフィロスと戦うシナリオ.エアリスの辿った運命をちょっとだけ聞きかじっているくらい.
ゲーム雑誌やDFF,耳に入ってきてしまったネタバレによって構成されたFF7を内に秘めて,画面を見つめた.
そんな状態でもFF7ACは面白かった.
実写映画のようなグラフィック.シリアスな感情描写.激しくも悲しげで,熱さと切なさが入り乱れる戦闘シーン.
クラウドかっこいいじゃん……
こうしてクラウドが自分の中で,1キャラクターとしてきちんと愛着を持ったのは,FF7ACがきっかけだった.
クラウドは強くてカッコいいことを好意的に捉え,好きなキャラクターの1人とすることができた.
自分の中にあったぼんやりとしたクラウド像を,しっかり形を成した.
しかし,それ以上でもそれ以下でもなく,僕がFF7を遊ぶことはなかった.
自分の知っている好きなクラウドは,美しく儚く力強く激しい戦闘をするクラウドで.PS時代のローポリで頭身の低いクラウドではない.
FF13を心待ちにし,アクションゲームで育ってきた自分にとって,FF7の本編はあまりにも理想から遠かった.
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そうして月日はしばらく流れる.
この間にも僕はクラウドとニアミスをし続けた.主に,コラボ先でのゲームでだ.
KHIIをクリアした.クラウドは自らの宿命の為にソラそっちのけで戦って,どこかに行ってしまった.
KHシリーズを遊び,オリンポスコロシアムでよりスカしてて厨二っぽいクラウドとも出会った.なぜクラウドに羽根が生えているのかはわからずじまいだった.
パズドラに突然やってきたクラウドが,僕の光パーティを強化した.ただパズドラに飽きだしていた時期だったので,育成も半ばにゲームを引退してしまった.
スマブラにクラウドがDLCでやってきた.アホほどでかくて力強いバスターソードを高速で振り回し,かと思えば圧倒的に堅い間合い管理で,僕の使う小柄なネスは苦渋を飲まされ続けてきた.
では自分がクラウドを使うかと言えば,DFFの頃同様,「シンプルに強いとわかっているキャラを使いこむことに興味がない」病気が出て,自分の分身とすることはなかった.
そうした中で,FF7の世界観設定や他のキャラクターを知りはしたものの,ACを面白いと知ってもなお,クラウドはあくまで「FF7からきたクラウド」で,僕はクラウドではなかった.
この頃から,にわかに噂が流れ始めた.
FF7のリメイクが出るらしい.
自分の青春時代で何かと顔をだし,頻繁に世間を賑わせてきたソルジャーが,彼の世界を連れて帰ってくる.
噂が公式の情報に肯定され,REMAKEのトレーラーを初めて観た時は,自然と「すごい」と口に出してしまった.
あのFF7からきたクラウドが,ブルーレイのFF7ACでカッコよかった彼が,心のどこかに引っかかっていたFF7の世界が,自分の憧れのままにゲームになっている.
このゲームは,やらなくてはいけない.
決意するのに迷いはなかった.
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そして今,時間は4月10日の0時45分.
一度の延期を挟んで,今日,FINAL FANTASY VII REMAKEは僕の手元にある.
すでにダウンロードとインストールは完了して,僕の起動をいまかいまかと待っている.
体験版でゲーム序盤も遊んだ.アクション寄りのRPGゲーム.FF13以上のグラフィック.案外軽妙に喋るバレット.愉快でハラハラして美しい,僕のやりたかったFF7だった.
でも,本編は期待と違うかもと,まだ少しだけ不安だ.
もしかしたら,システムが自分の好みに合わず,やりかけで終わるかもしれない.
シンプルで強くてかっこいいクラウドを使い込む気になれないかもしれない.
シナリオや世界観が気にくわないかもしれない.
いつかくるこの日のために,中学生以来,FF7のシナリオの詳細なネタバレはなるたけ避けてきた努力は良い実り方をしないかもしれない.
でも,一つだけ確かなことがある.
あと一回○ボタンを押せば,僕は初めて,クラウドになれるらしい.
こんな思い出を書いておこうというきっかけになった記事↓
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/2003/30/news001.html
全文公開設定です. 書ける頻度は多くないかもですが,思いついたこと考えたことを文章にしていきたいと思っています. いただいたサポートはゲーム購入や生活費,イベント参加に使わせていただきます.ここまで読んで下さってありがとうございました.