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初めてのキャラデザ備忘録

友人のすちゃとさんが主催する誰デザに参加した。
初めてビジュアル含めて真剣にキャラクターデザインをした。
今まで小説を描いたり落書きをしたりでオリジナルのキャラクターを作った経験はゼロではなかったが、ビジュアル方面を真剣に詰めるのは初めての経験だった。
色々考えて取り組みいい経験になったので、備忘録として残しておく。

誰デザとは、『誰のキャラデザだゲーム』の略称。

これは、

  • キャラクターデザインと全身立ち絵の作画担当を別人が担当する

  • 作画担当が自分以外の誰になるのかはわからない

  • 自分以外が描いた立ち絵を見たフォロワーに、自分がデザインしたキャラクターを当ててもらうのを目標とする

という絵描き同士の交流企画だ。

お題は『7つの大罪』。漫画の方ではなく概念の方で、参加者はそれぞれ異なるものを担当してキャラデザを行う。
自分がデザインするのは『憤怒』をモチーフとしたキャラクター。
デザイン上の制約はモチーフ以外なく、自由にキャラクターを作ることができた。

他の参加者は皆さん一様に何らかの製作実績を持っていたり、好きなものをきちんと作品で示していたり、キャラクターを作る・描くにあたって自分よりも圧倒的に秀でている人ばかりだった。

そのため、自分はまず最低限の役割として、

  • モチーフである『憤怒』であることを8割以上の正答率でわかるようにする

ことを命題とし、それに加えて

  • 作画担当の絵柄に左右されない意匠を採用する

  • デザインに説得力を持たせる

  • 自分のクセはなるたけ殺さない

を可能な限り実現しようと決めた。
決めたと言っても、デザインしながらぼんやり考えていたことを言語化した部分があるので、もうちょっとふわふわした気持ちでデザインしていた。

これらについて、初めてキャラデザをした経験の記録と、のちの振り返りの備忘録のために書き残しておく。

モチーフである『憤怒』であることを8割以上の正答率でわかるようにする

まず、『憤怒』モチーフであることについて8割の正答率を目指す、というのは、そもそも見てくれる人を意識してのこと。

「7つの大罪を題材にして描きました!」と言ってフォロワーを始めとする人に見せて、ちゃんと「それっぽい!」「いいね!」と思って欲しいし、他の分かりやすくて優れたデザインに負けて消去法で推定されたくない意地からこういった大目標を設定した。

100%にしなかったのは、他の人のデザインは全員のイラストが完成するまで最後までわからないため。色合いやデザインが万一混ざったら……とか、自分の考えが世間からズレているかわからない……とかいう不安から。

追加の3点についても触れておく。

作画担当の絵柄に左右されない意匠を採用する

まず、一緒にこのお題に取り組むイラストレーターの皆さんそれぞれで、絵柄も得意なモチーフも異なりそうだということは分かっていた。
そのため、誰が描いてもそのキャラとわかるほどに強烈な姿であったり、意匠を採用するのが良さそうだと考えた。

これは最近お熱のMARVEL映画およびゲームに影響を受けた。
MARVEL作品には長い時代愛されているヒーローやヴィランがたくさんいる。
そして、特定の作者が1人で描き続けているのではなく、作品によって担当するイラストレーターやデザイナーが異なるという特徴がある。

作品や時代で全く異なるデザイナーによってビジュアルが構成されながらも、強烈な個性でちゃんとそのキャラクターであることが見て取れて、それぞれの作り手のこだわりが発揮できる。
そんなデザインに憧れた。
等身が高くても低くてもわかりやすい特徴がいくつかあるようにして、描き込む余地とデフォルメしやすさの両立を目指した。

……というのはちょっとだけ後付けで、描く人が得意な絵柄で描けて楽しいようになるたけ強くて分かりやすい特徴を作ろうという気持ちが先行した。
女性にしたのも、女性キャラクターが得意な人が比較的多そうだから、のように、参加者を改めて考えた上で変更した。
ちなみに最初はキツめのオジサンだった。

表情がキツめなデザインなのは、単純に『憤怒』だからというのもあるが、自分が好きなキャラクターのタイプにこういう表情ができるヤツ、というのがあるから。そこは自分のクセなので一貫させた。

デザインに説得力を持たせる

デザインに説得力を持たせるという点については、『憤怒』という比較的分かりやすい題材を受け取ることができたので、それを邪魔しなくて気持ちがいい組み合わせを見つけることを通して、『どういう憤怒キャラ』を作るのか考えた。

色々アイデアやモチーフを探って、最終的には当時観た映画『RRR』の主人公が一人、『ラーマ』に着想を得ることになった。
単純にこの映画から得られたエネルギーがとんでもなかったというのもあるが……

https://www.youtube.com/watch?v=Zy0KvFewgyI


ラーマのことを簡単に紹介する。
彼はたった一人で敵の群衆を制して任務を解決できるほどの身体能力を持つ優しき軍人であるが、自らの悲願と任務のため、友であるもう一人の主人公『ビーム』といずれ敵対する運命を持つ。
もしラーマが友情を見いだせず、冷徹な軍人として大成していたら……という考えを起点として、

  • 軍人で指揮官

  • 怒りの化身

  • 群衆を憤怒の感情で扇動する

をキャラのコンセプトとして、様々なデザインを試していった。

ただし、『鋼の錬金術師』のキング・ブラッドレイ大統領や、『ゼノブレイド2』のメレフなど、参考になりすぎてしまう好きな軍人キャラ(大統領においてはまんま題材が被る!)が何人か存在していた。

これらと差別化しつつ、せっかく7つの大罪以外自由だからという点で、神話などで使われるような人外要素も足して、より憤怒らしいビジュアルを目指した。
今思うと多腕はシヴァ神の影響だし、ドレッドヘアは恐らくストリートファイターのネカリの影響を受けている。
赤い肌はゴッド・オブ・ウォーのクレイトスの影響かもしれない。

あとは参考資料のため、図書館に行って軍服や7つの大罪関連の書籍を漁ってみたりした。
特に軍服なんて今までちゃんと描いたこともデザインしたこともなかったので、あからさまな嘘が含まれないように慎重になった。

結果、ナポレオン軍の服とインドに駐在していたイギリス軍の服と、個人的な趣味が混ざった服装になった。

自分のクセはなるたけ殺さない

自分のクセがなにかも正直分かっていないけれど、ここまで書きなぐってきたように映画やアメコミや少年漫画のヒーロー・ヴィラン、軍人キャラが好きだということはわかっている。

なので、「多分作りたいキャラクターは美少女ではないな」とは当初から感じていた。
ただし上述した通り色々と自分が気にかけたい要素がある。
それらとのバランスを取りつつ、半人半神チックで男性的な雰囲気もある女性のキャラクターというビジュアルに落ち着いた。

憤怒のキャラクターデザイン


繰り返しになるがデザインを受け取った人に自由に描いてほしかったので美(少)女に描ける余地を残しつつ好きな意匠を詰めるようにした。

設定画では、無駄に動作の設定や行動指針、取りうるアクションなども文字で言及してみたりした。

デザイン提出までに考えたこととしてはこんな感じだろうか。

提出後、追加資料の提案が主催からあったため、補足資料として表情のアップを追加提出した。

顔のパターン

意図的にキャラクターのデフォルメ度合いをいじって、最初に提出したものと顔つきを変えて何パターンか描いてみて、どれで描いても、自分の絵柄でいいですよ! と示したつもり。

あとは肩の繋がりも一応。
複数のフィギュアを参考にしたものの、多腕キャラは脇の下からもう一対の腕が生えているケースが多そうってことに提出後に気づきました。そちらの方が可動域も広い。
まあ自分からそんなに戦わないって設定のつもりだったし、まあ個性の範疇かな……

最終的に描いていただいた立ち絵は提出したデザインよりもデフォルメが効いている作画で、シルエットや要素をうまく設定画から拾って素敵にまとめてくださっていた。
未熟なキャラデザをうまくまとめて素敵なイラストに落とし込んでいただけて本当に感謝しています。


自分以外が描いた立ち絵を見たフォロワーに、自分がデザインしたキャラクターを当ててもらうのを目標とする

という部分については、⑥が多かったです。

これは自分も⑥のデザイン好きだったし、とても良くわかる。
もっと突き詰めていきます。

以上、デザインした当時のことを振り返ってつらつらとまとめてきたが、本当にこれで良かったのかはまだわからない。
少なくとも小学生から大人まで、このキャラを描こうと思えば頑張って特徴を選んで描ける造形になったと信じているものの……どうなんでしょう。

余談だけど、昨年末に友人の家でクリスマスパーティーをした際にホスト夫婦の小さな娘さんが後日、参加者たちのことを絵で描いてくれた。
自分はこげ茶色の線で力強くグルグルと描かれていて、精一杯の力で楽しかった思い出を描いてくれたこと、そこに自分がいたことに本当に感動したし嬉しかった。
もし誰か小さい子が自分のデザインしたキャラクターを見て何か影響を受けて、「このキャラクターはこう」と、画用紙を塗りつぶしてくれていたら、これ以上ないくらいに嬉しいなーなど、いま考えたりした。

まあそんな知名度も見せる機会も現状ないし、今回のは自分の中で設定してた対象年齢も違うのだけれども。ガハハ
そのくらいの意識でデザインしたらいいもの作れるのかなーと思ったって話。

今回は自分のデザインの話に主眼を置いて描いたため自分が製作した『怠惰』の立ち絵について言及をしていなかったが、線の細くて中性的な成人男性?をあまり描いた経験がなかったため、非常にいい経験になった。
何度も練習して、どうやったらいただいたデザインを良い立ち絵に起こすか考えて製作したものの、最後出来上がったものは怠惰という題材にあまり沿えてない感じがして納得いっていない。
もっと怠惰感をポーズや構図で示せればよかったなあ。ジャケット裏の怠惰モチーフの図柄をなんとか見せたかったけど引きの構図ではそもそも模様として沈んでしまったし。どうするのが良かったんだろ。自分の好みでデザインを改変しすぎると誰デザゲームの趣旨から外れてしまうし。
諸々実力不足。素敵なデザインをいただいていたのに申し訳ない気持ちです。


結び。
この度は誰デザゲームという良い機会にお誘い・参加させていただきありがとうございました。
キャラデザという行為はとても楽しいものだったので、今後は何もなくとも一次創作というものを改めてやってみてもいいなと考えるきっかけになりました。
自分のデザインした憤怒のキャラクターを見て、いいデザインだなとか、描いてて楽しそう/楽しいなとか思われていたら幸いです。
Twitterで投票いただいた方もありがとうございました。
自分が周りからどんなデザインをすると思われているのか傾向が知れてとても楽しかったです。
また、他の参加者の皆さんがデザインしたキャラクターがどれも個性的で最高で、それらと並んでキャラクターを作れたことが非常にいい経験になりました。
そして、自分のデザインを元に素敵なイラストを描いてくださったすちゃとさんありがとうございました。
自分のデザインで誰かが絵を描いてくださるというだけで嬉しいのに、それを自分の絵柄として掴んで素敵な立ち絵としてまとめあげてくださったのが本当に感激でした。

冒頭の正解発表にも添付していましたが、がっつりリアル調のイラストを正解発表用に描いたのでここにも展開しておきます。
こういう作画でもちゃんと憤怒になっている……よね?

今後とも絵を描いたりなんだりしていきますのでよろしくお願いします。
しばらくは相変わらず二次創作が多いと思います。

よければTwitterやpixiv等SNSフォローしてください。

また何か楽しいことがあればぜひお誘いください。

全文公開設定です. 書ける頻度は多くないかもですが,思いついたこと考えたことを文章にしていきたいと思っています. いただいたサポートはゲーム購入や生活費,イベント参加に使わせていただきます.ここまで読んで下さってありがとうございました.