【一人読み】冬の光に乗せて
性別不問 人称変更可 語尾変更可
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今日、君を見つけた。
いつも待ち合わせしていたあの場所で。
君は静かに立っていた。
出会った時と何も変わらなくて。
懐かしさに涙がこぼれたんだ。
声をかけられたらどんなに幸せか…。
もう僕の声は君には届かない。
懐かしい想い出が。
楽しい想い出が。
溢れてきて止まらなかった。
どうして君の手を離してしまったのかな…。
どうして君に伝えなかったのかな…。
好きだという思いだけを残して。
僕は「さよなら」を告げた。
ずっと後悔していた。
僕だけがあの日から何も進んでいない。
急に降り出した雪は。
君の肩に小さな花を咲かしていた。
冷たい雫は涙と一緒に頬を濡らしていく。
道行く人は驚き、何度も振り返るけれど。
誰も僕に声をかける事はなかった。
キラキラと輝く涙は。
知らぬ間に星の欠片となって消えていった。
いつまでも忘れられない自分が情けない。
その場にしゃがみ込むと。
いつの間にかできていた水たまりに僕の姿が映った。
なんて情けない顔をしているのだろう…。
しばらくそんな顔を眺めていたら。
雪は止み、君は居なくなっていたんだ。
雲の切れ間から光がさし。
冬の空気がキラキラと反射している。
「もう大丈夫だよ」と水たまりの中の僕が話しかけてくる。
ふと空を見上げると言葉を失う程に輝いていた。
僕が向かうべき道が見えた気がする。
もしまた、君に出会う事ができたら。
もしまた、君と話すことができたら。
変わらない笑顔で笑いかけてくれますか?
僕はすっと瞳を閉じ光と共に消えていく。
「ずっと大好きだよ」
だからいつまでも笑っていてよ。
君の涙は僕が一緒に連れていくね。
おわり
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手に取って頂きありがとうございます。
こちらは他サイトで投稿していたシナリオになります。
拙い文字たちですが可愛がってくださると嬉しいです。
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