寧月(書デザイナー/教育者)

東京大学教育学部時代に不登校の子どもたちに関わったことからアートの世界へ。書塾花紅運営…

寧月(書デザイナー/教育者)

東京大学教育学部時代に不登校の子どもたちに関わったことからアートの世界へ。書塾花紅運営。誰もが自由に自分を表現できる社会へ。「百字文」「"和”はモダンである」http://neigetsu.jp/ja/

マガジン

  • ショートエッセイ

    適当に、適当に、ぼんやりと、書きます。

  • 与えられた日々

    「与えられた日々を目いっぱい生きる」。不思議な人生の成り行きで書道に行きつき、シングルマザーになり、たくさんのありがたいご縁に恵まれて日々生きています。

  • 自由に楽しむ書道の世界

    書道を始めてみたいけれど、学び方がわからないという方へ。自由に書の道を進み、自由な書塾を営んでいる身として、気楽に書いていきます。古典世界に興味がある本格派な人から、アートやデザインに挑戦したい方まで、「書く瞑想」としての書道の魅力をお伝えできたらいいなぁ。

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自由に楽しむ書道の世界

書道を始めてみたい、と思う方へ。 「書道の世界って何だか厳しそうだし、 いろんな団体があってよくわからないし、お金もかかりそう」 「いつか教えられるようになったら、と思うけど、どれくらいかかるのかな」 「一人で学んでみたいけど、本を見ても何を書けばいいのかわからないし」 大人になって、書道を始めてみようと思う方はたくさんいらっしゃいます。 それぞれに、仕事があって、子育てがあって、忙しい中で、 「書道をやってみたい」。それはとても素敵なことです。 書道は「書く瞑想」とも

    • 白洲正子というひと

      「食わず嫌い」という言葉があるが、「読まず嫌い」というものある。 先日、銀座のTSUTAYAをぷらぷらしていたら、日本文化にまつわる本を集めたコーナーで白洲正子の本に吸い寄せられた。 名前はもちろん知っている。日本文化についての随筆をたくさん書いた、教養の深い女性だということも、知っていた。でも、これまで毛嫌いしてきた、もしくは面倒臭くて避けてきた。 日々書道をしている人間として、日本文化関係の本はなんだかんだで読むわけだけど、だからこそ、わかっているようなことを言われ

      • 苔玉と子育て

        自慢じゃないが、これまで何度も観葉植物を枯らしてきた。 昔住んでいた家のリビングには出窓があって、太陽が燦燦としていたから育てるのが簡単だった。ネムノキもパキラもよく育った。 今の家にやってきて、私のデスクはあまり日が当たらない。出窓と同じ感覚で育てたら、シェフレラも、育てるのが簡単というパキラですら、枯れていった。日照不足だと気づくまでに時間がかかった。 リビングの南側に観葉植物スペースを作ってからは、よく育っている。それでも枯らしたくないので、枯れにくいものばかり集

        • カセットデッキとあの頃

          「ホントのコイズミさん」を聞き始め、宮藤官九郎さんとの対談の回で「あまちゃん」をrecommendされた。と思えば、同居の母がBSで7時台放映中の「あまちゃん」を見始め、毎朝、階下からハイテンションな主題歌が流れてくる。 「いいなぁ、あまちゃん、楽しそうだなぁ」と思っていた頃に、書塾の生徒さんに「先生、あまちゃん、見た?」と尋ねられて、いよいよこれは、「あまちゃん」を見なくてはいけない流れなのだと受け入れて、見始めた。 細かすぎる宮藤官九郎さんのネタに笑いを誘われ続け、日

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        • ショートエッセイ
          5本
        • 与えられた日々
          5本
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          10本

        記事

          すべてのあなたを知りたくて

          ほー、ほけきょ。 目を閉じると、ウグイスの鳴き声が聞こえる。 昨日まで、長野は小諸に旅してきた。その後遺症である。 小諸への旅は5度目になるが(正確に言えば小学生の移動教室を入れて6度目になるが)、ウグイスの鳴き声を聞いたのは今回がはじめてだった。理由は簡単で、初夏に訪れるのは今回が初めてだったからである。 旅の形にはいろいろあるけれど、同じ場所を何度も、時間をかけて訪れるというスタイルも、悪くない。 これまで小諸にやってきたのは8月、9月。9月のアマガエルは8月のア

          すべてのあなたを知りたくて

          女なら 女として

          女であれば、女である以上、女として生きたい。 あらゆる性の平等が唱えられるこの時代において、「女」という言葉はそれだけで「古い」のかもしれないけれど、私は、女であることが好きだ。 最近、ポッドキャストに「ホントのコイズミさん」という番組を見つけ、聴いている。キョンキョンこと小泉今日子さんがMCの、本にまつわるゲストを呼んでのトーク番組だ。 小泉今日子さんの声は、いい。頗る色っぽく、それでいて、いやらしくなく、むしろ、男っぽい。「ユニセックスな魅力」と言ってしまえばチープ

          「千と千尋」から見る儒教社会と老荘思想

          我が家はジブリ好きです。夕飯どき、あーだこーだと話をしながら、「よし、今晩はアレ(ジブリのタイトルの何か)を見よう」ということに、よくなります。 先日の土曜日も、その流れで「千と千尋」を見ることになりました。 見るたびに発見があるのが、ジブリの映画。今回も以前の私とは違う見方となり、久々にnoteにすることにしました。 油屋〜儒教社会という成長の場〜「千と千尋」のストーリーを説明する必要はなく、千尋は油屋に導かれ、リンや釜爺、そして湯婆婆と出会い、成長していく物語ですね

          「千と千尋」から見る儒教社会と老荘思想

          西洋哲学と東洋思想を横断してしなやかに生きるための本

          自宅待機中です。与えられた、ありがたーい時間✨ 先週、本屋さんで運命的に出逢った(そういう時ありますよね)、オーケストラ指揮者の伊藤玲阿奈さん「『宇宙の音楽』を聴く」が衝撃的に良い本でして、 私がこれまでぼんやーりと考えてきたことを、私の数十倍の読書量と考察と的確な言語化によって、ドンピシャりと誰にでもわかるように解説してくれている! 参りました!という感じです。 この本を紹介したいというのが目的ですが、折角の機会なので、「西洋哲学と東洋思想を横断する」という共通項で

          西洋哲学と東洋思想を横断してしなやかに生きるための本

          「アムリタ」を手に高野山へ③

          体でしか学ぶことのできない、密教。 私は書道が好きで、ヨガが好きで、それはどちらも頭で理解してもダメで、ひたすら体を鍛えるしかない。だから好き。 そんな私が、「アムリタ」を持って高野山に行った。 魂は生きているという「事実」 2泊目は真田家が宿坊にしたという蓮華定院。 ものすごく暗くて、蝋燭の火だけに灯されて金箔の調度品がきらきらと輝くみたいな妖艶な本殿で、阿字観のあと、ご住職は語ってくれた。 アメリカ人の女性が、夢にクチナシの花を持った若い女性と出会って、「お母

          「アムリタ」を手に高野山へ③

          「アムリタ」を手に高野山へ②

          高野山に入る前に一つ記事が終わってしまった。そもそも、私なんぞが難解な密教について解説することもできないし、グルメでもないので旅行情報を書いてもしょうがないと思っている。 私が書けるのは「私が感じた高野山」でしかない。 魂の積み重なりでできた、高野山 「この土地は魂が濃い」 そう感じたのは、実は高野山に入ってからではなく、なんば駅で南海電鉄に乗って、しばらくしてからのことだった。沿線には仁徳天皇陵に代表される古墳群があり、そもそも東京は魂の重なりが浅くて軽いことを知ら

          「アムリタ」を手に高野山へ②

          「アムリタ」を手に高野山へ①

          南海電鉄に乗って高野山に入った。リュックサック一つで身軽に行くと決めていたから、本は一冊。何の本にするかはずっと迷っていた。 上巻で止まっていた司馬遼太郎「空海の風景」か、知人に教えられた空海の解説本か。出発数日前、一つの本が私の頭にやってきた。 私は、吉本ばなな「アムリタ」をリュックに詰めた。 書道の世界からの、高野山 書道をしている者にとって、言うまでもなく高野山は特別な場所である。「弘法も筆の誤り」の言葉の通り、日本人にとっての書道の神様は弘法大師・空海。 臨

          「アムリタ」を手に高野山へ①

          最後は「魂」が入っているか

          作品展提出締切が今月末となり、続々と作品が集まってきています。 生徒さんたちと最後の最後に作品を選ぶとき、 「最後は“魂が入っているかどうか」と、私はよく言いますね。 「魂」という日常ではあまり使い慣れない言葉に、多少なり戸惑う生徒さんもいるかと思うので、少し解説をしておこうと思います。 (写真は真言宗豊山派金剛院様に納めさせていただいた寧月作品「魂」です) 「魂」と「心」「魂」とは何でしょうか。おそらくそれは、人間には捉え切ることのできない時空間の中で循環しているも

          最後は「魂」が入っているか

          実は?シングルマザーです。

          全く隠しておりませんが、シングルマザーです! 2022年現在、長女中学2年、長男小学5年です。 先日、書塾にて、とある生徒さんと2人のお時間があり、 ペチャクチャ楽しくおしゃべりしていたところ、 「先生の旦那さんはどう思ってるの?」と聞かれ、 「あれ、私、シングルマザーですよ〜」と答えたところ、 「え〜!先生には稼げてカッコいい旦那さんがいるとばかり思ってました〜!」と、ありがたすぎる勘違い✨をいただいていたことが判明しました。 離婚して早7年が経過。 昔のブログにはそん

          実は?シングルマザーです。

          古典臨書のさんぽ道〜自分の文字を見つけたい人編〜

          書の道は人それぞれ。 人それぞれにおすすめの古典臨書作品をご紹介するシリーズです。 さて、今回が最終回です。 最後は「自分の文字を見つけたい人」へ。 かく言う私も、まだまだ自分の文字が見つけられず、この道の途上にある人間です。いつか自分が自分の文字たるものを確立できたらいいなという願いも込めて✨書いていきたいと思います。 自分の文字の確立者、相田みつをさん身近なところで「自分の文字を確立された人」として思い出されるのは、相田みつをさん。 「にんげんだもの」の文字と言え

          古典臨書のさんぽ道〜自分の文字を見つけたい人編〜

          古典臨書のさんぽ道〜書道を教えたい人編〜

          書の道は人それぞれ。 人それぞれにおすすめの古典臨書作品をご紹介するシリーズです。 4回目は「書道を教えられるようになりたい人」に向けて。 生徒さん一人いれば、教えてみよう「いつか書道を教えられるようになりたい!」 と、思っている方。ぜひ、その思いを実現してください😊 書道が好きな人、人が大好きな人にとって、書道を教えることはとっても楽しいことです! 「自分に教えられるのだろうか?」 きっと、そんな思いを抱えていると思います。私もそうでした。 大丈夫です。時間をか

          古典臨書のさんぽ道〜書道を教えたい人編〜

          古典臨書のさんぽ道〜大人の手紙編〜

          書の道は人それぞれ。 人それぞれにおすすめの古典臨書作品をご紹介するシリーズです。 今回は、「大人の手紙」がテーマです。 唐突ながら、私はかわいい文字が書けません。 丸っこくて、やわらかで、見るからにかわいい文字が、書けない。 「書は人なり」です😅 かわいいお手紙が書きたい方は、 やはり現代のかわいい方の文字を真似するのがいい、と思います。 私がご紹介するのは、スラスラと縦書きに書かれた、 ちょっと古風な日本人女性らしいお手紙を書きたい! という方におすすめの練習方法

          古典臨書のさんぽ道〜大人の手紙編〜