ぼくのかんがえた『沈黙』について
『沈黙』とは「声」をめぐる映画です。正確に言うなら、ここでいう「声」とは「神の声」のことであり、この視点から見れば、この映画は二種類の「神の声」を取り違えてしまうことによる悲劇であると言うことができます。二種類の「神の声」とは、「踏み絵を強制されたロドリゴが聴く神の声」と、もうひとつは「十字架に架けられたモキチが息も絶え絶えに歌う讃美歌」です。
踏み絵を強制されたロドリゴが聞く神の声は、世界のあまりの残酷さの中で狂気に陥っていくロドリゴの幻聴なんですね。つまり、神は最初から