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木の器

長年しっかり使い込まれた漆器に、
細かなヒビを見つけたことはありませんか?

漆器のヒビの主な原因

落としたとか物理的な原因もなく、長年使っていて徐々にヒビが入った場合、器の中ではどんなことが起こっていたのでしょうか?


                お椀の見込みに細かなヒビの入った様子

例をお椀にすると分かりやすいでしょう。漆器の場合、熱々の味噌汁を注いでも手を触れないほど熱くならないのが利点とされます。

けれど、当然ながら器はわずかに膨張します。そして、表面の漆と中の木では膨張率は違い木の繊維が動きます。お椀が長年使用されるということは、相当の回数の膨張を経験するので、表面がヒビ状になってきます。

丈夫とされる金属でも、負荷が繰り返されると金属疲労でトラブルが起きます。木でも似た様なことが起きます。(画像のお椀の場合は一日一回使って、365日×20年… 約7000回使用)


     

専門的な話ですが、私の場合は横木どりのため長年の使用でヒビ状になりやすい。縦木どりの場合は、正円で狂いは少ないものの割れることもあり、どちらも一長一短あります。補強する工夫は様々あるものの、有機物である漆にも木にも頑強さは望めません

飾っているだけなら、100年でも200年でも漆器はピカピカでいられるでしょう。けれど、食卓を彩る器は、熱い食材もしっかり受け止め日々働いております。(働けばくたびれるのは、人間だけじゃないのです。)とはいえ、丁寧に使っていただければ、漆器は長く楽しめる器だと私は思います。


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