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散歩びより … 清住緑地、丸 池
梅雨時に水辺のご案内というのも、我ながらテーマの選択ミスかもしれません。けれど、心安らぐ風景であり歴史的にも興味深い場所なのです。
富士山の伏流水による湧き水の公園で、また歩いて10分ほどで一日100万立方メートルの水量を誇る柿田川湧水群があります。地元の人は湧き水を普通だと思っていることに、よそから来た私はとても驚きます。
境 川.清住緑地
境 川
ここの正式名称は境 川.清住緑地ですが、私には境川がよく分かりませんでした。調べてみると、全国にたぶん50か所を超える境川があるようです。(同じ静岡県にも、他の境川がありました。)
ところで、下のサイトを読むと、いつの間にか境川は目立たない川になっていたようです。(とはいえ、まだ流れている箇所もあります。伝承では、鎌倉時代に堺川が国境に定められたとか。)また、全国各地に境川があるのも納得です。
「境川」と名付けられた理由は,「駿河国」と「伊豆国」を分けるためでした。(略)
長泉町の下流は「清水町」となりますが,三島市はそのまま続きます。旧国の区分では,長泉町と清水町は駿河で,三島市は伊豆でした。
すなわち,長泉町・清水町と三島市を分ける行政界の所に,今は痕跡だけとなった「境川」が流れていたのでした。
清住緑地
気持ちの良い場所ですが、時間をかけ様々な人の賛同を得て、2020年8月に拡張整備が終わりました。環境保護団体の協力により、素敵なビオトープ(生物生息空間)になっています。
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清住緑地は境川の遊水池*であり洪水の一時貯留の役割も果たしているのですが、同時に湧き水の出ていた場所でもありました。写真撮影の前日に雨が降ったためか、湧水が勢いよく噴き出していました。
*遊水池 … 洪水調節のための貯水池の一種。特に人工的施設を設けず、自然の形で水を導き、洪水が去ってから河道に水を戻す。中国伝来の治水工法/広辞苑より
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近寄ると、もこもこと水の柱みたいです。
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緑地の別名は「朝比奈トンボの里」と呼ばれるほど、多種類のトンボが見られるそうです。(トンボ博士として有名な朝比奈正二郎博士が、かつてこの場所に別荘を持ちトンボの研究をされていたとか。)
昆虫以外にもミシマバイカモなどの植物が植えられ、野鳥もサギやカワセミなどがいます。のんびり歩いていると、カモなどはよく見かけ近づいても逃げません。
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丸(玉)池公園
清住緑地の南隣りに、丸池公園があります。というか、一続きの親水公園になっています。丸池は一周380メートルで広々しています。下の看板の正面と左横の岸辺には桜の並木道があり、春にはお花見弁当を広げる親子連れなどでにぎわいます。
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ところで、丸池は、今も農業用貯水池です。湧水を田んぼに利用するため池です。けれど、江戸時代(1825年)には池の管理権(水利権)を巡って、七つの村の中で水争いがおこりました。江戸で裁判にもなったそうです。その後、明治6年(1873年)に和解、丸池は七村の共有財産になったそうです。
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(略)水争いの裁判のため、二人の名主が江戸で亡くなりました。100年目に当たる年、大正12年(1923年)に建てられた石碑。当時の村長は両氏の追悼にため池の大改修をし、碑を建て後世の人々に伝え、今後この水源地を大切にすることをのぞみました。
水の確保は稲作には欠かせません。そういえば、子供の時の話を思い出しました。日照りが続くと、田んぼの水を抜かれないように夜中の見回りに行くと、友達から聞いたことがあります。農業人口は激減しその切実さが伝わりにくいのですが、かつては日本各地で同様の水争いがあったことでしょう。(もちろん、多すぎれば洪水になるので、遊水池にもなった清住緑地はかけがえのない場所だったのでしょう。)
豊かな水辺の美しい所ですが、多様な生き物だけではなく人の生命をもつなぐ水の有難さを思い起こさせてくれるようです。
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