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朱(丹生)をめぐる素人考え

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私は根来を手掛ける漆作家で、朱に関心がありました。古代に朱(丹生)は金よりも高価で貴重な鉱物だった、と聞きます。先人の書籍や身近な所から、素人ながら考察してみます。
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散歩びより … 丹生神社、青龍寺

散歩には遠すぎるのでしょうが、用があり静岡から高知県へ行ってきました。そして、前から気になっていた土佐市の丹生神社と青龍寺を回ってきました。丹生について分かったと言うほどではないのですが、いくらか手掛かりがあったのでそのレポートです。 「古代の朱」著者は松田壽男、ちくま学芸文庫に収録されています。この本のさし絵に驚いたことが、そもそもの始まりです。 本のページをめくっていると、あれれ自分の知っている場所が、丹生の関連で紹介されてる!青龍寺までは行ったことがあったのですが、

散歩びより … 奈 良(2022年)

出かけたのは一か月ほど前、梅雨入り前の六月初旬 3日間でした。興福寺、久米寺、丹生川上神社(3社)などを回りました。あまり知られてない場所もありますが、「人の行く裏に道あり花の山」的な面白さがありました。というよりも、奈良はどこに行っても歴史に結びついた特別な地域なのだと、しみじみ感じました。 唐招提寺 静岡からの途中で交通渋滞があり、どうにか閉門前にたどり着きました。鑑真和上像特別公開を期待していたのですが、事前予約が必要だったと行ってから知り残念でした。また、雨で暗か

工房スナップ … 朱の色

顔料の朱 赤色の顔料として使われている朱は、天然では*辰砂 しんしゃ(朱砂、丹砂、丹朱)という鉱物から作られます。わが国では古代から産出しており、高松塚古墳や法隆寺金堂の壁画に用いられました。現在では採れないので、工業的に作られています。 ( 陶器の辰砂は、銅を含んだ釉薬をかけ、還元焼成したものです。名前は同じですが、その原料.成分は異なります。) 根来塗は朱と黒の美しい対比が特徴ですが、朱の色味は様々です。 大まかに言うと、赤味の強い方から本朱(真朱 まそほ)、赤口(鎌